ビデオ会議システム導入事例
「テレプレゼンスの時間貸し」で企業の出張コスト削減に貢献するリージャス
企業向けにレンタルオフィスを提供するリージャスは、会議室に臨場感に優れるテレプレゼンスを導入。グローバル企業がビジネスコミュニケーションの壁を乗り越えるツールとして位置付ける。
リージャスグループは、各国のさまざまな企業向けに、レンタルオフィスや会議室などを提供する「ワークスペースソリューション」を用意している。同グループは、21年前にベルギーのブリュッセルで1号店をオープンして以来、現在に至るまでに世界85カ国500都市、1100拠点にネットワークを広げ、まさにワールドワイドな展開を行うグローバル企業になった。大手顧客としては、ノキア、グーグル、マイクロソフトなど、世界に名だたる企業も多い。
リージャスのワークスペースソリューションとは、簡潔にいえば広い意味での「仕事場」という概念を含んだサービス付きオフィスのこと。いわゆる「貸しオフィス」とは異なり、敷金、礼金、保証人も不要で、インターネット、多機能電話、秘書サービス、データセンターまでオプションで完備している。必要なサービスを必要な期間だけ任意に選び、コストを最小限に抑えることが可能だ。できるだけ資産を持たず、身軽な状態で事業を展開したいという最近の企業ニーズにマッチするビジネスモデルといえる。同社の事業は国内でも順調に推移し、現時点(2010年10月現在)で東京(14拠点)、横浜、大阪、神戸、名古屋、福岡、広島、仙台などの主要都市を含む国内23拠点においてサービスを展開している。
前述のように、リージャスではオフィス以外に会議室の短期利用型サービスも提供しており、全世界のビジネスセンターにおいて既にビデオ会議システムを完備している。以前から複数拠点で音声・映像を利用した遠隔会議を行いたいという顧客ニーズがあったからだ。加えて、特にリーマンショック以降はどの企業も大幅な経費削減を迫られ、出張を抑えつつ生産性を高める手段を模索しており、利用が大幅に増えたという。
ビデオ会議システムは、フェース・ツー・フェースでの会話と同様の効果が得られ、タイムリーな報告業務や定期的な面接などで重宝されるケースが多い。とはいえ、あらゆる状況に適しているわけではないようだ。「例えば、研修などのトレーニングで長時間利用する場合には、通常のビデオ会議システムが最適とはいえない。画面サイズ、画質、回線品質などを考慮すると、ビデオ会議の長時間利用は厳しいと感じていた」と語るのは、日本リージャス会長・北アジア地区担当の呉 偉(くれたかし)氏だ。
そこで同社は、2010年3月から東京・大手町のビジネスセンターに、ビデオ会議システムよりも先進的な「テレプレゼンス技術」を利用した専用会議室を導入し、東京、シドニー、シンガポールの3拠点を結ぶサービスを開始。現在これらの拠点に加え、上海、パリ、フランクフルト、香港、ムンバイ、モスクワ、ロンドン、マンチェスター、シカゴ、ロサンジェルス、ニューヨークなど14拠点にテレプレゼンスルームを拡大し、数多くの企業ユーザーに対して新しいサービスを提供している。
テレプレゼンスがグローバルコミュニケーションの課題を克服
「テレプレゼンス」という言葉をまだ聞き慣れない読者も多いだろう。最近にわかに注目を集め始めた疑似体験型会議室環境の技術である。テレプレゼンスを利用すると、遠く離れた参加者全員があたかも自分のすぐ目前にいて、同じ部屋で会議を行っているかのような錯覚に陥るほどの臨場感が得られる。実物大の相手と目線を合わせる形で会話ができるため、コミュニケーションも円滑かつ自然に行える長所がある。
呉氏は「テレプレゼンスは、従来のビデオ会議システムとはまったく違うもの。ビデオ会議の要素を持ちながらも、映像と音声が断トツにいい。それこそ1、2日にわたる長時間の会議に利用しても、まったく疲れを感じない。初めて利用するお客さまからも、リアルの対面会議と比べてもまったく違和感がなく、本当に驚いたという声をいただいた。また、われわれはテレプレゼンスを提供するだけでなく、自身もユーザーとして実際に活用している。物理的な出張がほとんどなくなり、移動時間やコストの低減、生産性アップにつながるソリューションだと確信した」と評価する。
最近では主要なビデオ会議システムベンダーから同技術を利用したソリューションが続々と登場している中、リージャスグループはポリコムのテレプレゼンスソリューションを選定した。
「リージャスはグローバルに事業を展開しているため、サービスも世界に向けて提供ができることが大前提だった。また、これまで長期にわたってビデオ会議システムを使ってきた経験から、そのメリットや特徴、ユーザーの利用形態なども熟知している。その上で、ビデオ会議システム以外にテレプレゼンスソリューションもポリコムが最も優れていると判断した。われわれとコラボレーションできるという条件で、テレプレゼンスはポリコムを、通信ソリューションプロバイダーはケーブル・アンド・ワイヤレスを選んだ」(呉氏)
会議システムをオールインワンで最適化した状態で導入
ここからは、リージャスが採用したテレプレゼンスソリューションについて具体的に紹介する。ポリコムでは、この分野のソリューションを「イマーシブ・テレプレゼンス・ソリューション」と呼んでいる。リージャスが実際に導入したのは、その1つである「Polycom RealPresence Experience High Definition」(以下、RPX HDシリーズ)。RPX HDシリーズでは、ディスプレー数や座席数などから最適な製品を選択できるように、複数のモデルが用意されている。
大手町ファーストスクエアにあるリージャスのテレプレゼンスルームには「RPX HD 210M」が採用された。巨大なシネマビジョン型スクリーン2画面(1920×720ピクセル)から超高精細なHD映像を映し出し、音声もワイドサラウンド機能により臨場感をもって再現する。「相手の微妙な表情はもちろん、その場の空気感も伝わってくるため、相手の反応を見ながらやりとりできる点が最大のポイントだ。例えばテレプレゼンスを使って遠隔地間で接客の研修を行う場合、研修生の細かい動きがよく分かるので接客態度などをチェックするのに役立つ。既存のビデオ会議システムではこのようなケースで限界があった」と呉氏。
これらテレプレゼンスソリューションは、ポリコムが部屋ごとオールインワンパッケージとして提供しているものだ。会議システムだけでなく、テーブルやイス、照明、ウォールパネルまで、テレプレゼンスに最適化されたコンポーネントを提供している。座席は10人まで座れる構造になっており、目に見えるところには機器を極力置かないように工夫されている。
会議テーブルにはプレゼンテーション資料や表データなどを相手側と共有して会議ができるように、コンテンツ表示用の15インチLCDディスプレーが組み込まれている。また、各種機材の制御用にタッチパネル式のコントローラーも用意されており、会議の開始・終了や、音声ボリューム調整などが操作可能。「専用のオペレーターも要らず、ユーザー自身で簡単に操作できる。何かトラブルがあっても、コールセンターに問い合わせれば迅速に対応してくれる。個人的にはビデオ会議システムよりも操作が簡単だという印象を持っている」(呉氏)
さらにカメラの角度や高さなども利用環境に合わせて最適化。大型スクリーンの中央には超小型CCDカメラが2台埋め込まれており、「EyeContact技術」によって目線を合わせた自然な会話ができるようになっている。天井には無指向性マイクが目立たないように設置されており、全方向からの集音が可能だ。また照明については、顔に不要な影ができないようにルーパーが付いたものを採用し、ライティングにも気を配っている。
約75%の出張コスト削減を実現した企業も
テレプレゼンスは、このようなハイエンド環境で利用できる上、コミュニケーション面や業務効率などでのメリットも数多くある。しかしながら、前述のように利用環境も含めたシステム全体の導入となると、数千万円規模の投資が必要になる。一般企業が容易に導入できるわけではない。呉氏は「中小企業にも、このような素晴らしい会議環境を広く利用してもらいたいと考えている。われわれのコンセプトは、さまざまな企業にテレプレゼンスを時間貸しで使ってもらい、出張に代わる選択肢を提供することだ」と強調する。
具体的な時間貸し料金は、テレプレゼンスルーム代も含めて1時間当たり4万4999円(1~4人)、または7万1999円(5~10人)となっている。利用時は通信料金も別途掛かるが、出張に掛かる交通費、滞在費、場所代などを考慮すれば、かなり大きなコスト削減効果を期待できる。「人数や期間、場所などの要素にもよるが、実際にわれわれのサービスを利用している大手ユーザーの試算では、出張する場合に比べてトータルコストを約75%も削減できる」(呉氏)
リージャスでは、今後も同様のテレプレゼンスルームの導入を進めていく方針で、年内に全世界でさらに11カ所拠点を増やし、計25カ所の拠点にまで広げていくという。呉氏は「日本国内では、われわれのサービスはまだまだ認知されていないと感じている。技術の進展に伴い企業のワークスタイルが多様化する中で、ビデオ会議システム付きの貸し会議室を積極的に活用するなど、従来とは異なるコミュニケーションの選択肢があることを知ってほしい」と語る。同社は、最新鋭のテレプレゼンス環境をリーズナブルな料金で利用できるようにすることで、中小企業から大企業までグローバル展開できる重要なビジネスツールとなるようにしていきたいとしている。
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