Web会議システム紹介:シスコシステムズ
強固なセキュリティとモビリティを両立させるWeb会議システムの雄「WebEx」
全方位型でHDビデオ会議システムを提供するシスコは、一方で世界市場トップシェアを握る「WebEx」という強力なWeb会議システムを150カ国で展開している。WebExが世界中で評価されている理由はどこにあるのか。
「WebEx」は、世界150カ国、毎月1000万人以上が利用し、ワールドワイドのWeb会議サービス市場で51.9%のトップシェアを占めるWeb会議システムだ(「Frost & Sullivan, World Web Conferencing Service Market, July 2008」による)。WebEx自体は1996年に設立、2007年にシスコシステムズ(以下、シスコ)に買収され、現在に至っている。一方でシスコは、従来一般的に利用されているハイエンドのビデオ会議システムにも注力する。2010年4月にはノルウェーのタンバーグを傘下に収め、高精細HDビデオ会議システムのラインップ拡充を図っている(タンバーグ製品についての詳細はビデオ会議製品紹介記事を参照)。
では、同社はビデオ会議システムとWeb会議システムのすみ分けについて、どのようにとらえているのだろうか? 同社コラボレーションソフトウェアグループ マーケティングマネージャの内田耕太郎氏はこう説明する。
「Web会議を、いわゆるビデオ会議のWeb版や廉価版というイメージでとらえるユーザーが多いようだが、実はそうではない。ビデオ会議が臨場感を伝え、役員レベルの重要会議で利用されるのに対し、Web会議の方はデータ共有、実務レベルの共同作業に適している。従って、資料やデータを共有しながら会議ができることが重要になる。Web会議システムにはほかにも、PCとWebカメラ、ネット回線さえあれば、すぐにスタートできるという手軽さがある」
もちろんWeb会議システムを組織で導入する場合には、一般的な会議から多人数での映像配信まで、さまざまな利用目的がある。そこで、WebExのラインアップでは大きく4つのタイプが用意されている。具体的には、ベーシックな機能を備え、いつでも簡単にオンライン会議が可能な「Cisco WebEx Meeting Center」、従業員、顧客、担当者などを集めて効果的なオンライントレーニング空間を作り出す「Cisco WebEx Training Center」、インターネット上でプロモーション用のオンラインセミナーなど数千人規模のイベントを開催できる「Cisco WebEx Event Center」、オンラインでリモートサポートを実現する「Cisco WebEx Support Center」の4製品である。本稿では、オンライン会議を目的としたCisco WebEx Meeting Center(以下、WebEx)を中心に紹介する。
| サービス体系 | ASP/ライセンス |
|---|---|
| 対応OS | Windows/Mac OS/Linux/Solaris |
| 最大接続数 | 3000(Cisco WebEx Event Center利用時) |
| 最大表示映像数 | 6 |
| 基本機能 | ドキュメント/アプリケーション/デスクトップ共有機能、ホワイトボード、ファイル転送機能、テキストチャット機能、録音・録画機能、チャット、投票、ノート、注釈、アクティブトーカー機能など。10カ国語対応 |
| 多機種連携 | スマートフォン(iPhone、BlackBerry)、iPadなどの各種モバイル端末 |
| 料金 | 月額基本料金7016円(最低提供単位10アカウントから) |
2010年11月に発表されるWebExの最新バージョンでは、主に画面インタフェースが改良されているという。例えば、デフォルトのホーム画面はシンプルなメニュー構成となり、誰でもすぐに利用できるよう工夫されている。
Web会議の画面では、参加者の映像は画面右側のタブに6人まで表示される。映像の圧縮符号化方式はH.264形式で、VGA(※640×360/30fps)までの品質をサポートしており、前バージョン(352×288/15fps)と比べても滑らかな映像に向上した印象を受ける。またネットの回線状況によって、これらの解像度やフレームレートは自動的に最適化されるようになっている。
※国内では2011年2月より提供開始予定。
Web会議では、資料・データを共有しながら会議をすることが前提となるため、プレゼンテーション手段も1つの評価ポイントになる。WebExでは、Microsoft PowerPoint、Flash動画、ストリーミングなどを使用した幅広いプレゼンテーションが可能だ。
また、「ドキュメント」「アプリケーション」「デスクトップ」「ホワイトボード」といった共有機能によって、共同作業もスムーズに行える。もし会議中に資料を相手に送りたい場合は、ファイル転送機能が利用できる。さらに、チャット、投票、メモ用のノート、注釈など、会議参加者の意思疎通を補完するツールを数多くサポートする。こうしたプレゼンテーションやコラボレーション作業については、音声、ビデオ映像、注釈などを含めて、すべてのやりとりを丸ごと録画することが可能だ。
Web会議に参加するユーザーは、PCからのアクセスだけとは限らない。WebExでは音声会議をサポートし、VoIP(Voice over IP)会議と電話会議の両方に対応している。PCを所有しているユーザーはヘッドセットでVoIP会議を行い、手持ちのPCがないユーザーは直接電話から会議に参加できる。電話で参加する場合は、センター側から自分の電話にコールする、あるいは指定の電話番号に直接かけて接続する。発話者を判別できる「アクティブトーカー」も便利な機能だ。会議に参加する人数が増えると、誰が、何を発言したのか分かりづらくなる。本機能は、発話者を自動判別して、発話者の映像を中央のメイン画面上に大きく表示する仕組みだ。
政府・官公庁から支持される「堅固なセキュリティ」と「安定通信」
通信の安定性と高度なセキュリティも、WebExの大きな特徴だといえる。世界7カ所にデータセンターがあり、かつ99.99%以上の信頼性を誇るWeb会議専用ネットワーク(Cisco Collaboration Cloud)上で運用される。万一どこかの拠点に障害が発生したとしても、システムのバックアップがシームレスに行われ、会議中は安定した通信を実現する。
また、通信にはSSLで暗号をかけ、さらに共有資料などのデータもAESで暗号化するなど、セキュリティ対策も強固だ。高い安全性を示すSAS70(米国監査基準70号)の認証も取得済みだという。「サーバ上にドキュメントデータを残さない独自方式を採用しており、安心して機密会議に利用できるメリットもある。こうしたセキュリティ要件をしっかり満たしているのが、各国の政府や官公庁から幅広く支持される理由だ」と内田氏は述べる。
対応言語は日本語のほか、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、韓国語、中国語、スウェーデン語と大変幅広く、まさにグローバル企業向きのサービスといっていいだろう。また、動作環境もWindows、Mac OS、Linux、Solarisの各プラットフォームに対応している。
SaaSでUCアプリケーションを統合
シスコは、WebExを支援する統合コミュニケーター「Cisco WebEx Connect」を提供している。SaaS(Software as a Service)ベースのアプリケーションプラットフォームとして、企業内と顧客とのコミュニケーション環境を統合するツールだ。インスタントメッセージング(IM)、音声/ビデオチャット、デスクトップ共有、Web会議などの標準アプリケーションが含まれており、WebExからユニファイドコミュニケーション(UC)の世界に接続する入口のような役割を果たす。例えばIMを利用すれば、WebExによる会議の前に参加者のプレゼンスを確認し、招集を掛けたりできる。
また同製品は、IM間のメッセージ交換の標準プロトコルXMPP(eXtensible Messaging and Presence Protocol)を採用しているため、社内だけでなくほかのIMを利用している社外ともやりとりが可能だ。このようにCisco WebEx Connectは、シスコのコラボレーションポートフォリオのベースになるプラットフォーム製品として位置付けられている。
・Cisco WebEx Connectの参考記事
スマートフォン/モバイルデバイス連動で新しいワークスタイルを創出
WebExで特筆すべき点は、iPhoneやiPadなどのスマートフォン、モバイル端末にも積極的に対応していること。現在、WebExにiPhoneから参加できる「Cisco WebEx Meeting Center iPhoneアプリケーション」がApp Storeにて無償提供されており、既に31万6000回もダウンロードされた人気アプリケーションになっているという。この専用アプリケーションをインストールすると、iPhoneの3GネットワークやWi-Fiを経由してWebExのWeb会議に直接参加できる。データと音声の両方をサポートし、会話を聞いたり発言したりしながら、会議の中で公開されたドキュメント、アプリケーションの共有画面などを見たり(iPod touchでもデータ共有が可能)、ほかの参加者とのチャットも可能だ。
同様に、iPadでコラボレーションを実現する「Cisco WebEx Meeting Center on iPad」もApp Storeで無償提供されている。本アプリケーション画面上のタグを幾つかタップする(電子メールまたはカレンダーの招待状に記載されたURLをタップする)だけで、iPadからオンライン会議に参加できるようになる。主な機能についてはiPhoneアプリケーションと同様だが、iPad版の方が大きな画面でミーティングに参加できるため使い勝手がいいかもしれない。
このようにWebExとスマートフォンやモバイルデバイスの連動により、メールなどの静的なコミュニケーションのみならず、外出先や移動中でもリアルタイムに会議を行えるなど、従来にない新しいワークスタイルを実現できるだろう。シスコは2010年6月、ビジネス用のAndroidタブレット「Cisco Cius」を発表した。ビデオ会議機能に対応し、同社の各種コラボレーションアプリケーションとの連動を予定している。今後もさまざまな専用クライアントをリリースし、モバイルへのコラボレーション対応を積極的に進めていく方針だという。
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