Interop Tokyo 2010イベントリポート
Interopで占うユニファイドコミュニケーションの近未来像
2010年6月7日から5日間、ネットワーク技術の祭典「Interop Tokyo 2010」が開催。有力ベンダーが集う展示会からユニファイドコミュニケーション関連製品の動向を追った。
2010年6月7日から11日まで開催中のネットワークの総合イベント「Interop Tokyo 2010」。同イベントは、ネットワークを中心とした最新技術やトレンドを紹介しているが、“Interop”の語源となるInteroperabilityの単語の意味する通り、新しい製品や技術の「相互運用性」を検証する場でもある。その意味では、IP上でさまざまなコミュニケーション手段を統一するユニファイドコミュニケーション(以下、UC)のソリューション提案にふさわしいイベントだといえる。ここでは、Interop Tokyo 2010の展示会に出展された主なUC製品をダイジェストで紹介する。
Web会議と連動する統合コミュニケーター
展示場内で単独ベンダーでは最大規模のブースを構えたシスコシステムズ(以下、シスコ)は、NGN(次世代ネットワーク)を利用した「テレプレゼンスサービス」(仮称)が多くの来場者の注目を集めた。
このサービスは、フレッツ 光ネクスト(ひかり電話)を使ってHDビデオ会議システムを月額課金のASP形式で提供するものだ。端末にはシスコのテレプレゼンス製品「CTSシリーズ」を用いる。大きな特徴は、センター拠点向け大容量光IP電話サービス「ひかり電話ナンバーゲート」で広帯域通信を収容し、HDビデオ会議の多地点接続を実現していること。多地点間のテレプレゼンスをサービスレベルで提供するのは業界初だという。設備の運用管理を行うNTTビズリンクは、5月31日にシスコと共同で同サービスの商用化に向けた検証を行うと発表、2010年下期内にはサービスインする予定としている。1回線で4拠点まで収容でき、3分間200円程度の従量制になる見込みだ(フレッツ 光の月額利用料が別途必要)。
またシスコは、コラボレーション系ツールとして「Cisco WebEx Connect」を参考出展。プレゼンス管理やインスタントメッセージングの機能を提供するSaaS(Software as a Service)型の統合コミュニケーションソフトで、WebExのWeb会議サービスを補完する役割を持つ。WebEx Connect画面上でコンタクトしたい相手のプレゼンスを確認後、そこから会議用Webクライアント(WebEx Meeting Center)を起動してシームレスに打ち合わせなどに移行できる。さらに、同社の「Cisco Unified Communications Manager」(CUCM:呼制御サーバ)と連動するアドオンソフトを導入すると、ツールから直接電話を発信したり、音声会議に参加したりすることが可能だ。シスコは、同様の自社運用型の統合コミュニケーター(Cisco Unified Personal Communicator)を提供しているが、「オンプレミスとSaaS、ユーザーのビジネスニーズに合わせて選んでほしい。相互のメッセージ交換も可能」という。インタフェースなどの日本語化は完了しており、2010年第3四半期中にリリースされる予定。
IP電話から勤怠管理も可能に
一方、UC分野でシスコと提携関係にある富士通では、「企業力を高めるコミュニケーション活用」というコンセプトで「UnifiedLink」「WebAddressbook」の2製品を展示した。両製品とも、CUCMの呼制御機能との連動を前提に開発されている。
前者は、グループウェアや業務アプリケーションなどとの間でHTTPベースの連携機能を提供するアプリケーション連携ソフト。グループウェアとIP電話をUnifiedLinkでつなぐことで、例えば打ち合わせ相手のスケジュールを登録し、相手の内線電話のディスプレー上にポップアップ通知するといったことができる。展示会では、実際に富士通社内で利用している勤怠管理システムと連携させ、「部下の勤怠申請を上司がIP電話上で確認して承認する」というシナリオによるデモンストレーションを披露していた。「HTTPでメッセージをやりとりできれば、富士通製品以外のどのようなアプリケーションでも利用できる」(富士通)が、同社が公開するUnifiedLink専用APIに合わせて作り込む必要がある。
後者のWebAddressbookは、名称通りWeb電話帳となるサーバ製品で、外出先から携帯電話などで社内の共有電話帳にアクセスし、検索した相手先番号をクリックして発信するクリック・ツー・コール(Click-to-Call)を可能にする。内線番号を覚えておく必要がない、番号入力の手間が省けるなど、省力化のメリットに焦点が当たりがちだが、「情報セキュリティを目的に金融業が導入するケースも多い」(富士通)という。携帯電話のアドレス帳に個人情報を残さず、さらにWeb電話帳からの発信をオフィス経由の発信とすることで相手に携帯自体の発信番号を知られずに済むからだ。内線通話の徹底とセキュリティ保護という点から、携帯電話を内線電話化するFMC(Fixed Mobile Convergence)サービス活用の鍵となるアプリケーションといえる。
用途が広がるHD映像コミュニケーション
ここ1、2年でビデオ会議システムのHD化が急速に進みつつあるが、その高精細の映像は企業内の会議だけに適しているわけではない。パナソニックが出展する「HD映像コミュニケーションシステム」は、今後は業種を問わずさまざまな用途にHD映像が生かせることを訴求するため、あえて「会議システム」とは銘打っていない。「大学の遠隔講義、アパレルでの衣類の質感確認、医療現場における症例画像共有など、使い道は多様化している」(パナソニック)
システム自体は、ハードウェアベースのコミュニケーションユニット、専用マイク、HDビデオカメラなど一般のビデオ会議システムと同様の構成である。その一方で、サブカメラとしてハンディカメラを利用したり同社製ホームAV機器が搭載するシステムLSIを採用するなど、家電メーカーらしいアプローチが見られる。
同社のブースでは、NTTが提供するPCソフトウェアベースのHD映像コミュニケーションシステム(H.264ビデオコーデック「RISCA 264-HD」)とNGNで相互接続し、フルハイビジョンの映像を流す様子を公開した。独自のレート制御技術により3Mbpsの帯域でもスムーズにHD映像を伝送できるのが売りだが、NGNのQoS機能によってさらに安定した伝送が可能になるという。NGNへの正式対応は2010年秋を予定している。システムの価格は約100万円。なお、NTTもRISCA 264-HDを2010年第3四半期までには商品化する予定で、パナソニック以外のベンダー製品とのNGN相互接続も図りたいとしている。
UCは、音声、メッセージ、動画、データ通信といったコミュニケーション手段をユーザーが状況に応じて透過的に活用するソリューションである。最近では各コミュニケーション手段の品質や表現力が著しく向上し、業務への適用範囲が一気に拡大したため、ユーザー側の活用の仕方次第でビジネスプロセスが大きく変わる可能性が高まっている。規模が年々縮小傾向にあるInteropだが、UCに関しては、こうしたネットワークの相互接続性を生かせる展示会でどれだけ多くの、多様な活用事例を見ることができるかが、来場者にとっての関心事になるだろう。
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