Web会議システムは出張費削減などのコスト効果ばかりがクローズアップされがちだが、それだけでは導入の成果とはいえない。業績改善に結び付くWeb会議の“見えざる効果”を明らかにする。
今、企業のIT活用に求められているのは、“守りのIT”(コスト削減)であれ“攻めのIT”(業績改善)であれ、「確実かつ短期に効果を上げられる」ことだ。それを実現する1つの手段として注目を集めているのが「ユニファイドコミュニケーション」(以下、UC)である。
UCは「個別に利用されていた音声(アナログ電話/IP電話)、テキスト(メール、インスタントメッセージング)、動画(Web会議/ビデオ会議)、データ通信などのコミュニケーション手段をIPネットワーク基盤上で統一し、TPOに応じて効果的に活用するソリューションの集合体」と定義される。
つまり、さまざまなコミュニケーション手段を統合することによって、企業活動を活性化、効率化させようという試みを指す。ただ、この説明だけでは「多くの社員を抱える大規模企業向けのソリューションでは?」「導入するのに多くの費用と期間を要するのでは?」という疑問が当然わいてくるだろう。しかし、最初からすべてのコミュニケーション手段を統一する必要はない。手軽に導入でき、即効性のある要素からまず始めることも可能だ。
そこで今回は、UCを構成する具体的なソリューションを簡単に説明した上で、その中の1つである「Web会議」の導入を業務の向上に結び付ける方法を紹介する(Web会議については、別記事「読めば分かる! Web会議とテレビ会議の違い」を参照のこと)。使い方を少し工夫するだけで、コスト削減や移動時間短縮にとどまらない大きな成果を上げられるということを、ユーザー調査と具体例を交えながら説明していこう。
冒頭に述べたように、UCとは複数のソリューションを集めたものだ。その構成要素は「どのようなコミュニケーションシーンに着目するか」に応じて、大きく以下のように分類することができる。
「IP電話」や「IPテレフォニー」などと呼ばれ、UCの基本的な土台を成すソリューションである。アナログ回線の代わりに、インターネットなどのIPネットワークを介して音声をやりとりする。
文章ではなく音声によって要件を的確に伝えることのできる「ボイスメッセージング」、手短な要件をリアルタイムに伝えることができる「インスタントメッセージング(チャット)」などが含まれる。
インスタントメッセージングを使えば、電話のようにリアルタイムに相手と対話できる。しかし、相手が取り込み中の場合にはメールを送って相手の返事を待つ方がいい場合もある。つまり、適切なコミュニケーション手段を選ぶためには、相手の状態を確認し、把握する必要がある。PC操作状況などを基にそれを実現するソリューションを「プレゼンス(在席管理)」と呼ぶ。
離れた拠点間でも映像・音声・データを共有したやりとりを可能とするものである。本稿のトピックであるWeb会議もここに分類される。ほかには、相手があたかも目の前にいるかのような状態を作り出す「テレプレゼンス」、会場に足を運ばなくても視聴が可能な「Webセミナー」などがある。
従来「コールセンター」とも呼ばれていたものである。上記に挙げたさまざまなソリューションを駆使して、音声や文章による説明だけではなく、映像や実際の操作実演も交えた顧客サポートなどを実現する。
コミュニケーションがIPネットワーク基盤上に統合されることにより、内線電話あてにかかってきた通話を携帯電話に自動転送するといったことが可能になる。モバイル環境も含めた統一管理が可能となる点も、UCの特徴の1つである。
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