病院経営支援システム紹介:エム・アイ・ファシリティズ
中小病院の経営改善を支援するWebサービス「MI BOARD」
病院の機能分化の推進などで、中小規模の病院の多くが経営方針の決断や効果的な施策の実施を求められている。エム・アイ・ファシリティズの「MI BOARD」は、そうした病院の経営管理部門を支援するサービスだ。
2005年に設立されたエム・アイ・ファシリティズ(以下、MIF)は、国内250病院以上の病院機能評価の取得・更新、医療の質や経営効率の向上などを支援するコンサルティング事業を展開している。同社はこれまでの経験やノウハウを基に、病院事務長や経営管理部門向け経営支援サービス「MI BOARD」を2012年11月に提供開始した。
MI BOARDは「病院の経営状況を見極める」「地域でのポジショニングを可視化する」「全国の病院と病院がつながる」の3つをコンセプトにした会員制Webサービス。中小規模の病院を中心に経営改善を支援してきた、MIFの業務推進本部 シニアコンサルタント 垂水 謙太郎氏は「経営が厳しい病院で共通しているのは、自院の地域内での立ち位置や経営状況などを客観的に把握できていないことが多く、“何となく”の感覚“経験則”に頼った経営をしていることだ」と指摘する。その上で「MI BOARDは、特に事務長や限られた人数で経営分析に取り組まざるを得ない中小規模の病院の経営課題の解決を支援できる」と説明する。
月額2万円で5種の支援サービスが利用可能「MI BOARD」
MI BOARDに契約すると、インターネット経由で利用可能な以下5種のサービスも利用できる。会員登録することで事務長フォーラムは無料、その他のサービスは月額2万円(税込:2014年2月時点)で利用可能になる。
- 専用SNS「事務長フォーラム」
- 経営管理機能強化ツール「病院経営バイタル」
- 地域内ポジショニング可視化ツール「病院戦略マップ」
- 病院機能評価用文書作成ツール「MAQ」
- 病院年報作成ツール「サクサク。」
事務長ならではの悩みを解決するSNS「事務長フォーラム」
事務長フォーラムは、事務長同士の情報交換やコミュニケーションを支援するWebサイト。雇用や人事・給与など、院内では相談できなかったり、相談相手がいないような“事務長ならではの悩みや課題”について、他の事務長やMIFのスタッフなどが回答するQ&A機能を利用できる(画面1、2)。
また、Webサイト開設や経営改善施策などの活動報告、お勧めの書籍などをユーザー間で共有可能。その他、医療関連ニュースやユーザーアンケートなどのコンテンツを閲覧できる。
垂水氏は「病院が抱える課題は、根本的な部分で似ていることが多い。日常的に悩んでいることについてネットワークを介して相談したり、共有することで事務長同士がつながる場として活用してもらいたい」と説明する。
基本的な管理指標で経営改善を支援する「病院経営バイタル」
経営に必要なデータを収集する際、各部門からなかなか提出してもらえなかったり、単位や表示形式が異なるデータが提出されるなどデータの取りまとめに時間や労力を費やすことが課題として挙げられる。垂水氏は「経営バイタルは、各部門システムに日々入力される財務や収支、診療行為などのデータを基に病院の経営改善の最初のステップとして活用できるツール。経営判断で求められる基本的な情報を基にした共通指標を活用することで、病院の経営安定化に向けた経営指標を一元管理できる」と説明する。
経営バイタルの「基本管理指標分析」機能では、外来患者数や入院患者数、病床稼働率といった指標の推移を日、月次単位でグラフや表などの形式で確認できる(画面3)。また、事前設定済みの目標値を下回ると点滅表示するなど、目標の達成状況を可視化する。
レセプトデータを基にした「アクティビティ分析」では、リハビリテーションや画像、注射、処置、栄養、服薬指導など細かい粒度で収益情報を把握したり、部門別の活動状況を分析できる(画面4)。アクティビティ分析は、診療報酬制度を基にMIFが作成したテンプレートを選択して利用する。
また、経営バイタルでは直近3カ年の医業収益比較や当該年度の予実管理などの機能を提供する。現在の固定費/変動費などの費用構造や患者数・単価を基に損益分岐点を算出し、将来の目標達成のために必要な患者数を示したり、患者数や単価が変動した場合の収益予測などをシミュレーションすることも可能だ(画面5)。
経営バイタルは1病院当たり最大10人まで利用できる。経営層以外に各部門の入力担当者や医事会計課や地域連携室、財務担当者などの利用を想定しており、データ閲覧権限を設定して運用できる。
紹介・逆紹介、救急搬送の受け入れ状況も可視化できる「病院戦略マップ」
2025年に向けた医療政策の基本方針として、地域の状況に応じて医療の機能分担や専門化を進め、病院、診療所間での連携を促進させる「地域医療連携」の取り組みが進められている。MI BOARDでは、そうした地域医療連携を前提とした効果的な営業戦略の立案を支援する「病院戦略マップ」を提供している。
病院戦略マップは、患者の来院地域の変化、他の医療機関との連携状況、救急患者の受け入れ状況などを地図上で可視化できるツール。「来院患者動態分布」機能では、来院患者の分布状況を地図上に表示する。入院、外来や年齢別、疾患別などで色分けして表示する。期間指定によって1年前との比較、推移も確認できる(画面6)。
また、他病院や診療所との連携状況を「紹介」「逆紹介」「来院目的」「診療科別」「診療行為」などの単位で詳細に把握できる。さらに救急患者の受け入れ状況については、要請件数に対する受け入れ割合や時間帯、診療科、担当医などの詳細も確認できる(画面7)。
「ある病院では、病院戦略マップを用いて救急搬送の受け入れ状況を分析。放射線技師がいないという理由で受け入れを断わるなど、事前に設定した受け入れ基準通りに運用できていない現状を把握し、シフト体制や運用の見直しを図って改善した事例もある」(垂水氏)
病院機能評価の取得に役立つ「MAQ」
MAQは、MIFがこれまで培ってきたノウハウを基に、病院機能評価を取得する際に必要となる2400種類の書類テンプレートを利用できるサービスだ。「一般病院1」「一般病院2」「リハビリテーション病院」「慢性期病院」「精神科病院」の5つの機能種別に規定やマニュアルなど必要な書類の策定例やひな型を活用できる(画面8、9)。
「病院機能評価の取得のための文書作成に膨大な時間や人的コストを掛けている病院も多い。そうした負担を軽減したり、認定後の見直しや職員に対する教材としても活用できる」(垂水氏)
病院年報の作成を簡素化できる「サクサク。」
また「サクサク。」は、作成用テンプレートに数値を入力するだけで年報に関する表やグラフを自動的に作成できるツールだ。年報作成の負荷を軽減するという。
病病連携を強化できる「空床ネット」
空き病床共有サービス「空床ネット」は、2014年2月に提供される新サービス。空床ネットでは、急性期病院から回復期病院、療養施設など複数の医療機関で病床空き状況に関する情報を共有できる(画面10、11)。
垂水氏は「急性期病院の入院患者が別の連携医療機関に転院する際、これまでは連携先の回復期病院ごとにそれぞれ電話やFAXなどで空床状況を問い合わせる方法が取られていた。退院の直前に次の連携先の病床状況を確認することで双方の病床稼働率を悪くする要因になったり、電話やFAXなどの伝達手段を用いることで関連スタッフに作業負荷が掛かっていた」と指摘する。
その上で「空床ネットでは、急性期病院を中心に連携する医療機関で病床の空き状況をリアルタイムに共有でき、入院する患者に対する病床・転院管理を効率化できる。連携室の作業負荷の軽減や、病床を管理する看護師長の判断を迅速にできるなど病病連携の強化に役立つ機能を提供する」と説明する。
パートナーとの協業で提供サービスを拡充
その他、MI BOARDでは管理職の適性診断ができる「ビジネスパスポート」、医療安全や感染管理対策に関する「セルフ診断サービス」などを提供している。MIFでは自社の持つコンサルノウハウを反映させたり、パートナー企業と協力することで提供サービスの拡充を進める予定だ。
垂水氏は「病院の経営改善に関する必要な情報、必要なツールが全て手に入る総合ポータルサイトを最終的に目指している。病院の事務長・経営部門の味方となるサービスとして利用してほしい」と語る。
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