ウェアラブル技術で従業員の能力を向上
フィットネスだけではない ウェアラブル技術活用の具体例とは?
外観やファッション性ばかりに注目が集まるウェアラブル技術だが、企業のCIOやITマネジャーはビジネスでの活用方法を模索すべきだ。医療現場など、実際に活用が始まっている分野もある。
ウェアラブル技術についてはこれまで、その外観やファッション性といった部分ばかりが注目されていた。だが、企業の最高情報責任者(CIO)やITマネジャーにとって、同技術は「ポケットの中の携帯電話に掛かってきた相手を手首に付けたリストバンドで確認する」ことの他にも、さまざまな可能性を秘めている。
ビジネス分野では、大挙して企業に襲来するウェアラブル技術にどう立ち向かうべきかが、大きな関心事になっているのは事実だ。従業員が米Googleの開発するメガネ型端末「Google Glass」から企業機密を流出させたりすることがないよう、BYOD(私物端末の業務利用)対策をまた一から始めなければならないのだ(モバイル端末のBYOD対策すらできていない企業もあるかもしれない)。
CIOが考えるべき、ウェアラブル技術のビジネス活用
だがウェアラブル技術には、企業のCIOがビジネス活用の方法を模索すべき、もう1つの側面がある。今日のCIOに課せられた役割がビジネスへの貢献にあるとすれば、ウェアラブル技術は仕事のコラボレーションを促進する上で、大きな威力を発揮する可能性がある。それは単に「ドキュメントを共有する」や「従業員の士気向上にフィットネスを役立てる」といったことだけではない。従業員の能力向上を可能にするのがウェアラブル技術である。
2014年1月に米ラスベガスで開催された家電見本市「2014 International CES」では、米Intelが「Make It Wearable」というキャンペーンを打ち出し、ウェアラブル技術に関するイノベーションを全世界に呼び掛けた。その際、同社最高経営責任者(CEO)のブライアン・クルザニッチ氏は「ウェアラブル技術がまだ社会に広く浸透していないのは、真の問題が解決されていないからだ」という見解を述べた。
では、「真の問題」とは何だろうか。人によってその定義は異なるが、クルザニッチ氏は、ヘッドフォンとパーソナルアシスタントソフトウェアの連係を例に挙げた。確かにそういった利用方法もある。だが、ウェアラブル技術が活躍する場は他にもある。医療分野もその1つだ。
医療現場で活躍するウェアラブル端末
実際に、医療におけるウェアラブル技術の活用事例が、2014年2月中旬にKurzweilAI.net(米国の発明家レイ・カーツワイル氏が運営する科学技術Webサイト)で大きく取り上げられた。その記事によると、識別が非常に困難ながん細胞を「可視化」するメガネ型端末を米ワシントン大学医学部の科学者が開発したという。この端末は、同大学で2月に行われた手術で実際に使われた。
医療分野での利用例は他にもある。米インディアナ州の病院では、2月中旬に行われた腹部切開手術において、手術のさなかに医師がGoogle Glassを使って患者の医療情報を呼び出した。
米General Electric(GE)では、機器の修理担当者がヘッドセットカメラを使って複雑な修理手順を参照できるようにするとともに、その修理が正しく行われたか確認するために作業の記録を技術者が見ることができるようにしている。
3Dプリンティング技術と同様、ウェアラブル技術でも新たな実用例が次々と登場しつつある。9カ月前の2013年5月には実弾を発射できる拳銃が3Dプリンタで作成されたことに人々は驚いたが、最近では食物から義肢など、その活用範囲と有用性は加速度的に拡大しつつある。ウェアラブル技術でも同じことが起きるというのは十分に予想されることだ。いったんイノベーションの流れが加速すれば、ウェアラブル技術の可能性に対する理解が深まることは間違いないだろう。
CIOはその流れに取り残されてはならない。ウェアラブル技術の考案、開発、あるいは導入に向けて、IT部門はどんな貢献ができるのだろうか。この技術をフィットネスで活用するのは面白いだろうし、データ収集に利用するのも確かに有益だ。だがもっと大きく考えようではないか。実際の仕事に直接つながるような利用方法だ。
潜在的問題だけでなく、潜在的可能性に目を向けるべきだ。職場でのウェアラブル技術は文字通り人命を救う(職場によっては時間やコストの削減を可能にする)かもしれないのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー