「着うた」をはじめ、スマホ/クラウド対応で複雑化するシステム
音楽配信サービスのレコチョクは、どうやってアラート発生件数を減らしたのか
「着うた」をはじめ携帯電話向け音楽配信サービスを展開してきたレコチョクは近年、スマートフォンやクラウドへとサービスを拡大。システムの複雑化に伴う運用監視基盤の刷新と運用体制の見直しが課題となっていた。
レコチョクといえば、携帯電話(フィーチャーフォン)向けに「着うた」をはじめ、付加価値の高い音楽配信サービスを提供してきた音楽配信企業。近年では、スマートフォンやクラウドなどの技術の進化に合わせ、事業を拡大している。
例えば、1曲ずつ楽曲の購入が可能な「従量課金型サービス」や、約100万曲以上の楽曲をスマートフォンでいつでも好きなときに楽しめる「定額制聴き放題サービス」など、新サービスの拡充やマルチデバイスの対応を強化している。
また、KDDIとNTTドコモに加え2012年には任天堂とも協業、「ニンテンドー3DS/3DS LL」向けに音楽配信サービス「レコチョクアプリ ニンテンドー3DS」を提供開始している。他企業と協業することによって、より幅広い音楽配信サービスを提供するに至っている。
サービス拡大によるシステムの複雑化
音楽配信サービスの拡充やマルチデバイスの対応により、音楽配信プラットフォームを支えるサーバやネットワーク機器の台数は急速に増加してきた。「サーバの数は5年前と比べて8倍以上に増えている。サービスの拡大に伴い、監視対象となるシステムが複雑化し、運用の負荷が増していた」とレコチョク システム部 基盤運用グループの高橋力氏は話す。
配信する音源の音質向上とそれに伴うデータ量/通信量の増大、サービス間の連係なども運用の複雑化を加速させている。特に、スマートフォンやクラウドに対応したサービスを提供する際には、セキュリティやアクセス方法、レスポンスタイムなど、従来型の携帯電話向けサービスと比べものにならないほど、システムへの負担が大きいとレコチョク 事業システム推進部 基盤運用グループの津野佑太氏は説明する。
従来のIT基盤から拡大を続けてきたインフラ設備からは、日々、さまざまな種類のアラートが発生し、そのほとんどを手動で対応せざるを得ない状況だった。システム障害によるサービスへの影響を最小限に抑えるために、障害を予兆する365日24時間の監視体制も必要だった。
こうした背景から、運用管理に掛かるコストの削減と監視体制の見直しが急務となっていた。
運用監視システムの刷新と運用体制の見直し
レコチョクはまず、以前から付き合いのあった京セラコミュニケーションシステム(KCCS)に相談を持ち掛けた。KCCSは運用監視サービスの豊富な実績とノウハウが評価された。また、レコチョクでは、オープンソースの統合監視ソフトウェア「Zabbix」の導入も同時に計画しており、KCCSはZabbixとシステム連係する先行事例を持っていた。その設定・運用方法にも関心があったという。
KCCSでは、レコチョクのニーズに合った柔軟な運用監視が可能なクラウド型統合運用管理サービスとして「GreenOffice Unified Cloud」を提案。レコチョクは2013年7月からGreenOffice Unified Cloudのプロフェッショナルサービスの利用を開始している。
GreenOffice Unified Cloudは、米Amazon Web Services(AWS)をはじめとするクラウドサービスや他社データセンターで運用するシステム、オンプレミス環境など、分散化・複雑化するITリソースを一元管理することができるのが特徴。プロフェッショナルサービスではさらに、KCCSのエンジニアが顧客のニーズに応じて導入から構築、運用・監視までをワンストップで支援する。
もう1つ特徴的なのがその料金体系。KCCSの運用監視サービスでは通常、対象となるホスト数に応じた料金体系となっているが、レコチョクの場合はアラート数に応じて料金を設定している。「(レコチョクにおいて)監視対象となる機器(物理・仮想サーバ、ストレージ、ネットワーク機器)は800台以上。機器台数による料金体系の場合、障害を起こさない機器も一括して月額料金が掛かることになる」(KCCSの事例資料)という。
アラートの発生件数に応じて料金が変わるユニークな仕組みを取り入れることで、「アラート件数を極力減らすという意識が生まれた。本当に必要なアラートだけに絞って、運用環境を根本から見直すためのモチベーションとなった」と高橋氏は話す。
アラートの発生件数が減少、運用負荷を軽減
レコチョクのITインフラは現在、「KCCS ITマネジメントセンター」から24時間365日体制で遠隔運用監視されている。仕組みとしては、レコチョクが監視サーバに導入・設定したZabbixを介して、同センターにアラートが通知される。KCCSのオペレーターはレコチョクが事前に作成した手順書に従い、一次対応やエスカレーションを行う。
レコチョクが外注業者向けに作成した従来の手順書は、「柔軟性は高かったものの決してシンプルではなかった」(高橋氏)という。この点においても、運用体制を見直す段階で、KCCSが持つ運用監視業務のナレッジと照らし合わせることで、より迅速・スムーズな対応が可能になった。現在でもKCCS側から運用報告と併せ、運用方法や手順に関しても提案・改善を受けている。
導入の効果としては、従来の運用からコストを約60%削減できたという。また、前述の通り、運用環境を根本から見直し、アラート数を減らすよう工夫することで、アラート発生件数を従来に比べておよそ5分の1に削減した。加えて、運用負荷を軽減することにより、サービス障害の原因となり得るトラブルを未然に発見し減らすなど、音楽配信サービスの安定稼働と運用品質の向上にも役立っているという。
今後の展開については、「ハードウェアやインフラの運用監視体制だけでなく、業務アプリケーションの運用効率化やサービスレベルの向上に取り組んでいきたい。データセンターの分散も検討している」とレコチョク 事業システム推進部 担当部長の山川清澄氏は話す。
スマートフォンやクラウドでの利用がますます広がると予想される音楽配信サービス。米Googleや米Amazon、米Appleなど市場の動きも激しさを増している。その中で、日本において同市場をリードしてきたレコチョクは今後も注目だ。
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