ITプロ4100人に調査
IT予算の振り分けが示す「時代遅れの技術、これからの技術」
米TechTargetは、企業のIT投資動向を読み解くために、4100人のITプロに調査を実施した。回答者の65%は、2014年に予算が増えるとの見通しを示している。具体的にはどのようなIT支出が増えるかを分析した。
どの技術が時代遅れになりつつあるか、そして2014年にITの取り組みをどの分野で強化すべきかを把握することは、会社の収益を左右する決め手になる可能性がある。
しかし、めまぐるしく変化し続けるITの世界を渡っていくことは、一筋縄ではいかず、ビジネス上の不確定要素にもなる。米TechTargetは、企業におけるITの優先事項を理解するとともに、2014年に起ころうとしている変化を読み取るため、4100人超のITプロフェッショナルに対する調査を行った。この調査で分かったことを報告しよう。
2014年のIT目標
IT(および日々の業務におけるITの役割)の調整は、新しい一連の目標を検討、策定することから始めなければならない。調査に回答した4100人超のITプロは、自社のIT部門における重点のシフトを明らかにしている。回答者の37%は、ビジネスの成長を支援するようにITを展開する計画だ。企業は重要なビジネスリソースとしてコンピューティングに依存している。企業が世界規模で社員、パートナー、ユーザーを抱えるようになったら、IT部門は、それに伴って生じる負荷に対応できる適切なコンピューティングレベルを確保しなければならない。
成長が優先課題ではない場合でも、重要なITプロジェクトによってビジネスを改革する機会は常にある。ITプロの23%は、一部の技術領域に選択的に投資していると回答している。投資案件には、データ保護、ネットワークインフラの戦略的アップグレード、ITリソースの仮想化や集約プロジェクトの展開など、測定可能なビジネス効果をもたらす技術施策が含まれる模様だ。
また、企業は、いかに優秀で高給のITプロでも、サーバのプロビジョニングや監視、日々のトラブル対応のようなデータセンターの運用業務に追われていれば、ビジネスに貢献できないことを理解するようになってきた。そのため、データセンターの自動化の重要性が新たに注目されている。回答者の20%は、ビジネスにおける自動化をより積極的に進める計画だ。そうすれば、IT部門は時間的に余裕ができ、戦略的なプロジェクトに力を注げる。
「トラブル対応の仕事は必ず発生する」と、米Magpul IndustriesのITディレクター、クリス・ステフェン氏は語る。「だが、集中管理ツールスイートがあれば、トラブル対応ははるかに簡単になる」
2014年にどのようなIT支出が増えるか
先の景気後退で企業とIT部門は苦境にあえいだ。予算の削減に伴い、ITスタッフ数から機器購入、ソフトウェア更新まで、何事も経費を切り詰めるしかなかった。だが、景気の持ち直しを受け、IT支出はじわじわと増えつつある。回答者の59%が2013年に予算が増えたと報告しており、65%が2014年に予算が増えるとの見通しを示している。さらに、1500人超の回答者がどの分野で予算の増額が見込めるかを明らかにしている。
2014年に予算増額が最も重点的に行われるのは、効果が確実なもの。ITプロの59%が新しいソフトウェアの購入を計画している。これには通常、既存製品のアップグレードや新しいツール(ビジネスを支援するクラウド管理ツールやIT自動化ツールなど)が含まれる。
「企業は、自動化の推進がITリソース集約やコスト削減にもつながると考えている」と、SDN(Software Defined Networking)ソフトウェアを提供する米6connectのCIO、ピート・スクラファニ氏は語る。「しかし、こうした新しいツールは、マルチテナント/WebサービスAPIを使って相互に連係させる必要がある。これらのツールでは、プロプライエタリなハードウェアに基づくレガシーアプローチは、不要であることが望ましい」
また、回答者の52%は、コンピューティングキャパシティーの拡大と電力効率の向上を目的に、新しいハードウェアを購入する計画だ。
IT予算の増加は、データセンターオペレーションにも影響を与える。ITプロの35%がメンテナンス費を増やす見込みだ。メンテナンスには、ソフトウェアライセンスから定期ハードウェアサービス、(電力サブシステムや機械空調のような)インフラプロジェクトまで、さまざまな事項が含まれる。企業は、緊縮予算だった数年間に手付かずになっていたメンテナンス問題に取り組み、これまでの対応の遅れを挽回する必要があるのかもしれない。また、ITプロの31%は、自社がビジネス成長や特定のITプロジェクトの全体的な目標を達成できるように、2014年にITスタッフを増員する可能性があると回答している。
さらに、2014年のIT予算は、IT支出に占める直接費の比重の増加(あるいは間接費の比重の減少)も反映している。特に、コンピューティングサービス支出におけるこの比重の変化が反映されている。回答者の38%は、2014年にパブリックおよびプライベートクラウドサービスへの支出を増やす予定だ。
クラウド技術は、ITの自動化(例えば、セルフプロビジョニング、チャージバックなど)やITスタッフの効率向上の重要な要素だ。データセンターの拡張が限界に達している場合や、ビジネスを支援するためにオフサイトのコンピューティングリソースが必要な場合、アウトソーシングによって、社内のITに代わる効果的な選択肢が得られる。回答者の18%が、2014年にアウトソーシングプロバイダーの利用を拡大する計画だ。また6connectのスクラファニ氏は、データセンターでは今後、インフラの他の側面(ネットワークスイッチングやルーティングなど)も自動化されるだろうと話している。
2014年にどのようなIT支出がカットされるか
残念ながら、2014年に全ての組織でIT予算が増えるわけではない。回答者の13%は、予算据え置きで現在のサービスレベルを維持することを求められており、7%は、IT支出の削減を迫られている。
一部の企業は、先の景気後退の後遺症にまだ苦しんでいる。また、大規模なITの取り組みを完了し、2014年にはこれまでほどの資金は必要としない企業もありそうだ。理由が何であれ、予算が削減されると、IT部門には大きなプレッシャーがかかる。今回の調査では335人の回答者が、予算カットがIT支出にどのような影響を与えるかを報告している。
調査データによると、真っ先に支出が削られるのはハードウェアだ。予算の削減に直面している回答者のうち、ハードウェア支出を切り詰めると答えた人の割合は61%に上る。こうした設備投資は最も減らしやすく、仮想化のような技術を使うことで、既存システムの利用率を高め、耐用年数を延ばすことが可能だ。
これに対し、こうした回答者のうち、予算カットがソフトウェア購入に影響すると答えた人の割合は44%にとどまる。どのようなビジネスもソフトウェアアプリケーションやツールに支えられており、現行のソフトウェアなしでビジネスを運営し続けるのは非常に困難だ。
一方、IT予算の削減は、ITプロに極めて革新的な考え方を促し、ひいては画期的なプロジェクトが行われる契機にもなる。例えば、サーバの仮想化や集約の目覚ましい普及拡大の大きなきっかけは、先の景気後退に伴う予算削減だった(一部の企業は今もこの景気後退の影響に対処している)。
低予算は、メンテナンスやスタッフの削減にもつながりそうだ。予算カットに見舞われる回答者の39%が、ITスタッフを減らそうとしている。そのための措置としては新規採用の見送りと退職者の非補充に限られる可能性もあるが、人員整理が実施される可能性もある。企業はITスタッフの削減に伴い、高度なIT自動化ツールに頼ることになる。さもないと、社内外のユーザーに対するサービスレベルが低下する恐れがある。
「このことは、柔軟な展開モデルと価格体系を併せ持ち、堅牢な動作が保証されている自動化ソリューションを見つけ出す必要性を浮き彫りにしている」(スクラファニ氏)
また、IT予算の縮小に直面しているITプロの37%は、メンテナンスを削減し、クラウドのような代替コンピューティングリソースに頼ろうとしている。メンテナンスの削減策としては、ソフトウェアアップグレードを控える他、従来の集約プロジェクトを通じてハードウェアへの依存を減らそうとする可能性がある。
メンテナンスの削減と代替コンピューティングリソースの利用は、いずれもデータセンターのサーバと基盤システムの数を減らすことになる。しかし、Magpul Industriesのステフェン氏は、こうしたメンテナンスの削減は、現在のようにサブスクリプションベースのソフトウェア製品が広く使われている環境では、困難な場合があると指摘する。これらの製品の多くは、継続して使うには、毎年料金を支払う必要があるからだ。
さらに、IT予算をカットする企業の34%は、アウトソーシングを減らそうとしている。大抵はビジネス上、月々の営業経費を削減する必要があるからだ。多くの場合、外注していた業務の一部を社内に戻し、ローカルデータセンターの余剰コンピューティングキャパシティーをその業務に当てることになる。しかし、クラウド投資の削減を考えている回答者は7%にすぎない。もっとも、クラウドはまだかなり新しい技術であり、限定的に導入されているのが現状だ。
「ITマネジャーやCの付くエグゼクティブ(CEO、CIO……)には、クラウド投資の価値が分かるだろうか。投資のTCO(総所有コスト)を算出できないのではないか」(ステフェン氏)
2014年の購入計画がどんな内容であれ、IT部門が成功するには大局的な視点が欠かせない。今のITプロには、自社のニーズを満たすため、革新的なコンピューティング技術、管理ツール、ユーティリティコンピューティングの幅広い選択肢がある。2014年に適切なITの選択を行うには、今までのやり方とは異なり、ビジネス目標と規制ニーズに精通し、利用可能なオプションを徹底的に理解し、IT部門がそれらの目標を達成するための長期的な戦略計画を策定する必要がある。
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