ウェアラブル端末の企業導入は進むか
AppleとSamsungの仁義なき戦いは続く 2014年のモバイル市場を占う
米Appleと韓国Samsungの競争や、タブレット端末の普及、ウェアラブル端末の出現など、変化の激しいモバイル市場。そんな中で、2014年のモバイル市場はどのように進んでいくのだろうか。
専門家らによると、2014年のエンタープライズモビリティ市場は数多くの変化が見込まれるという。その一方で、スマートフォンやタブレットに続く、ウェアラブル端末の影響力は未知数だ。
米Appleと韓国Samsungの2大勢力による戦いは今後も続く見通しである。業界関係者らは、Appleが世界の企業向け市場において、Samsungのシェアを奪い続けると考えている。だが、両社とも現在の潮流の中で、地歩を固めていかなくてはならない。
加えて、米Microsoftがスマートフォンとタブレットにおいて、ある程度の市場シェアを獲得する可能性もあり、カナダBlackBerryは端末事業からシステム事業へと転換を図っているようだ。
企業向けモバイル端末はどこに進むのか?
業界専門家らは、企業向けモバイル製品ではAppleが依然としてベストである一方で、それでもなお、Samsungは世界全体に配備される端末数で首位を維持するとの意見で一致した。
「Appleは製品全体でのエクスペリエンス(体験)が優れており、企業もその価値を認めている」とニューヨーク州ヒューレットネックに拠点を置く調査会社、米dBrn Associatesでモバイル担当アナリスト兼社長を務めるマイケル・フィネラン氏は話す。
企業向け市場におけるAppleとSamsungの戦いを歓迎する声もある。ボストンが拠点の調査会社、米451 Researchでモバイル担当アナリスト兼リサーチ担当ディレクターを務めるクリス・ハゼルトン氏だ。Samsungは、エンタープライズモビリティベンダーに対してAPIを積極的に公開しており、それが同社の強みとなっていると同氏は語る。
Samsungは2013年、同社モバイルセキュリティソフトウェア「KNOX」のリリースをめぐって苦い経験をした。フィネラン氏によると、同社はハードウェアベンダーであり、ソフトウェア市場はまだ手探りの状態なのだという。
SamsungがKNOXで苦戦した結果、市場に2つの大きな影響を与える、とマサチューセッツ州ファルマスを拠点とするコンサルティング企業、米Sepharim Groupの創業者でモバイル市場担当アナリストを務めるボブ・イーガン氏は話す。BlackBerryにとっては追い風となるかもしれない。
「SamsungのKNOXでの失敗は、米AirWatchや米MobileIron、米Good Technologyといった既存の(モバイル端末管理)ベンダーに有利に働くだろう。そして、BlackBerryにとっても、方向転換を図るきっかけとなるだろう。
イーガン氏によると、BlackBerryは引き続き、新型端末の開発に力注力するのではなく、システムとサービスの提供に専念していくことで、こうした機会を捉えることができる、と予想する。同氏はさらに、将来的には、BlackBerryと米Googleがライセンス契約を結ぶ可能性があるとの見解も示した。
BlackBerryの広報担当者は、他社とのライセンス契約の可能性についてコメントを差し控えている。
かつての巨人であるBlackBerryの将来について、専門家らでも予測の難しい状況となっている。
「BlackBerryはデバイス事業から撤退すべきだ」と述べるのはハゼルトン氏。「彼らは全くデバイスに依存しない企業になる必要がある。そうすれば、全てのベンダーと協力関係を築くことができる」
BlackBerryは、戦略の転換を積極的に進め、モバイル端末管理製品を強化しているが、同社の次のステップについては不透明だとフィネラン氏は考えている。
「同社のデバイスは低迷しており、すぐに復活することはないだろう」(フィネラン氏)
2014年はタブレットの普及がさらに進むのか?
企業向け市場におけるタブレットの普及率は、このテクノロジーに対する当初のIT投資熱が下がってきたことで停滞期に入った、とハゼルトン氏は分析する。
451 Researchのサービスの1つであるChangeWave Researchが8月、米国のIT購買者1500人を対象に実施した調査によると、回答者の25%が次の四半期中にタブレットの購入を計画しているという。これは、前年同期と比べるとわずか1%の成長にすぎない、とハゼルトン氏は話す。
この市場自体はできてまだ3年ほどしか経過しておらず、状況を変えるにはまだ十分な時間がある。
「企業におけるタブレットの役割を変えるには、モバイルアプリケーション領域での革新的な変化が必要だ」(ハゼルトン氏)
飲食店での導入や営業部員への支給など、タブレットの活用方法は3年ほど前から広まり始めた、とフィネラン氏は振り返る。
多くの企業が、Microsoftのツールやアプリケーションに深く依存している。この状況は、Microsoftにとってチャンスであるとイーガン氏は考える。同社アプリケーションとツールの統合という点では、Appleもまだ入り込めていないからだ。しかしながら、「Surface Pro 2」の発売をめぐる一連の問題を見ると、前途多難であるかもしれない。
「150社以上のIT担当者と意見交換したところ、彼らは『社内データをiPadに保存する方法は知っているが、端末のデータを保護したり、削除する方法は知らない』と答える。彼らの企業で稼働するほぼ全てアプリケーションが、WindowsかWindows関連のソフトウェアである。Appleはこうした問題の解決に対して何もしていない」(イーガン氏)
ウェアラブル端末の今後は?
ウェアラブル端末はコンシューマー市場でのトレンドとなっているが、エンタープライズモビリティの専門家らは、企業導入がすぐに進むとは考えていない。
「2014年はウェアラブル端末の話題が多くなるが、エンタープライズでの大きな動きはないだろう。時計型デバイスに対する関心は全くなく、拡張現実(AR)でさえ興味を引くのは難しいだろう」(イーガン氏)
ウェアラブル端末の業務利用を模索するのは、企業ITにとっての課題であり、2014年はこの領域に注力することになるだろう、とハゼルトン氏は述べる(参考:スマートウオッチ速攻比較、ソニー「SmartWatch 2」vs. Samsung「GALAXY Gear」の意外な結果)。
「活用事例が増えていくと同時に、セキュリティ上の懸念も明確になるだろう。しかし、広範囲に導入が進むことはない。今はまだ発見期である。スマートフォン市場とタブレット市場は極めて早く成長した。一方で、ウェアラブル市場には、まだやるべきことが多く残されている」(ハゼルトン氏)
同氏はまた、ウェアラブル端末が企業ITに与える影響については、「まだあまり多くのツールが出回っているわけではないため、予測するのが難しい」と述べた。
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