米ITベンダーなど350社に調査
クラウドサービス導入を決めた「ひと声」、ベンダー調査で明らかに
中堅・中小企業の多くは、クラウドを使ったデータ保護にさまざまな懸念を寄せている。だが、データ損失やダウンタイムなどを機に、クラウドバックアップを導入する企業もあるようだ。米国の調査リポートを紹介する。
中堅・中小企業(SMB)は、自社データの保護に対する関心を強めている。だが、ソリューションプロバイダー各社は、クラウドバックアップサービスについては積極的な販売アプローチを展開しておらず、代わりに、データ侵害やダウンタイム、データセキュリティに関する懸念などを顧客との会話のきっかけにしている。
これは、クラウドバックアッププロバイダーの米Intronisがコンサルティング会社の米The 2112 Groupと共同で最近実施した調査結果による。この調査「2013 State of Cloud Backup(2013年のクラウドバックアップの導入状況)」は、マネージドサービスプロバイダー(MSP)や付加価値再販業者(VAR)、システムインテグレーター(SIer)、ITソリューションベンダーなど、計350社を対象に行われた。
調査では、事業継続(BC)および災害復旧(DR)サービスのターゲットを「従業員数が250人以下の企業」に据えているとした回答者が73%を占め、そのうち半数以上は「従業員数が25~250人の企業」に照準を合わせていた。こうして多くのプロバイダーがSMBをターゲットにしているものの、SMB向けバックアップサービスをめぐる各社のマーケティング活動は、顧客との新たな会話を促す役割をあまり果たせていないようだ。クラウドバックアップについて顧客と会話する主なきっかけとして「インバウンドマーケティング」や「アウトバウンドマーケティング」を挙げた回答者は、わずか9%にとどまっている。
調査報告書によれば、クラウドバックアップ関連のマーケティング活動に対するSMBの反応が鈍いのには、クラウドコンピューティングに関するさまざまな懸念が影響しているようだ。例えば、「データセキュリティ」「データ完全性」「利用可能な帯域幅」「継続的に発生するコスト」といった懸念だ。だが、いったんデータの損失やダウンタイムを体験すると、SMBの考え方は変わる。調査では、「クラウドバックアップに関して顧客と会話を始めた主なきっかけ」として、合わせて23%の回答者が「データの損失」と「ダウンタイム」を挙げている。単独では、「保護されていないシステムに対する懸念」を挙げた回答者が21%と最も多く、「クラウド技術のメリットに対する顧客の関心」は17%、「クラウドの価格面でのメリットに対する顧客の関心」は13%、「コスト削減の必要性」は8%だった。
「クラウドバックアップに関する会話」から「実際の導入」に移行した理由については、約34%が「データ保護と事業継続性の向上」を最も重要な動機付け要因とし、20%が「全体的なITの信頼性向上」、16%が「運用コストの削減」を挙げている。
米TechTargetでは、マネージドサービスプロバイダーである米Integrated Technologies of Kansas(itKansas)のCEO、マイケル・キャップス氏に話を聞いた。同氏によれば、クラウドでのバックアップとリカバリを検討中の同社顧客の大半にとって主な動機付け要因となっているのは、「規制上の必要性か、事業継続性のためかのどちらか」だという。例えば、ワークフローを妨げることなく事業を継続するために、必要な要素にタイミング良くアクセスできることが求められている。
ITサービス企業、米Macs At Workのラリー・オンドビック社長によれば、「顧客はデータ保護の必要性を理解してはいるが、多くの理由から先延ばしにしている企業が大半だ」という。だが、データを安全に保護するという点で、今やクラウドは「売りやすいサービス」になっている。Macs At Workはオンプレミスのバックアップとオフプレミスのクラウドの両方を使い、基幹業務データはクラウドに保存して、火災や盗難、洪水から守れるようにしているという。
さらに調査では、顧客がどのようなデータを最も多くクラウドに保存しているかも調べた。クラウドに保存するデータとして最も多く挙げられたのは「災害復旧に必要なデータ」(30%)で、「ユーザーファイル」(28%)、「顧客関係管理(CRM)やエンタープライスリソースプランニング(ERP)などの部門別アプリケーション」(19%)、「リモートオフィス、支店・支社のデータ」(14%)、「モバイル端末のデータ」(5%)がそれに続いた。
クラウドストレージの利用に対してはさまざまな反対意見が出ることも予想されるが、ソリューションプロバイダーはこうした反対意見への対策も幾つか用意している。最も多かったのは、回答者の25%が挙げた「クラウドとオンプレミスを組み合わせたハイブリッドソリューションを提供する」という対応策で、「セキュリティ機能について詳しく説明する」(18%)、「試用版を提供する」(16%)、「信頼性のための機能について詳しく説明する」(16%)などの回答がそれに続いた。
前出ItKansasのキャップス氏は、ソリューションプロバイダーのデューディリジェンス(企業価値精査)の必要性を指摘する。「暗号化とアクセシビリティに関する懸念を解消できるかは、結局のところ、どのプロバイダーと手を組むかで決まる。契約を交わす前に、まずソリューションプロバイダーを精査するのが、出発点としてふさわしい。リファレンスチェック(信用照会)を行ったり、疑問点を質問したりといったことだ」と、同氏は語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー