データセンター部門に新たなポジション
今後必要とされるITの“花形職種”6選
日進月歩のITはそれに従事する人々の働き方にも常に革新を迫る。次世代のデータセンター部門に待つ新しいキャリアパスと、そこで求められるスキルセットとは何か。
クラウドをはじめとする最新のITトレンドは、データセンターの運営方法を変化させ、新たなチャンスを生み出している。変化は同時に新たな課題も生み出す。そのため、最近は多くのCIOがITスタッフの採用、とりわけ適切なスキルセットを備えたスペシャリストの確保に苦労している。必要とされているのは、従来の技術スキルにとどまらない広範なスキルセットだ。
データセンター部門で注目の6つの新職種
「企業は、技術的な専門知識だけでなく、確かな職歴を持つ人材を求めている」と、IT技術者向け求人情報サイトを手掛ける米Diceのシャラバン・ゴリ社長は語る。
こうした変化に伴い、データセンターの分野では新たに以下の6職種で優秀な人材が求められている。
ビジネスリエゾン
IT部門と事業部門の間に「リエゾン」(liaison、橋渡し役)を置くというのは特に新しいアイデアではないが、この肩書が意味するところは変化している。今日、この職種に求められるのは、IT部門と事業部門の間の通訳というよりも、むしろ戦略的な役割だ。
ビジネスリエゾンに必要とされるのは、会社の事業目標をシステム面から支えられるように、事業がどう運営されているかを深く理解することだ。例えば、会社が顧客満足度の向上を目指しているのであれば、「どのシステム、ソフトウェア、人員へ投資すれば、顧客エクスペリエンスが改善されるかを特定すること」がこの職種の役割となる。ROI(投資対効果)の一般的な測定基準を追跡するだけでなく、ソーシャルメディアでのやりとりなど、新しい測定基準を定義し数値化することも求められる。IT部門と事業部門を結ぶリエゾンにとって、アナリティクスはますます重要な要素となってきている。
コンプライアンス責任者
近年、セキュリティやプライバシーの侵害に対する懸念から、政府当局や業界による規制が強化されつつある。それに伴い、コンプライアンス責任者を置くIT部門が増加している。コンプライアンス責任者は、事業部門やSME(Subject Matter Expert)と呼ばれる特定分野の専門家と意見を交換しながら、コンプライアンス要件を特定する。監視プログラムやリスク査定、コンプライアンスプロセスなどの開発、実装、管理も、コンプライアンス責任者が担当する。情報を収集し、トレンドを分析し、事業部門による各種規制の順守状況を示すリポートも作成する。コンプライアンスに関する問題を経営陣や事業部門、マネジャーに伝えたり、全社規模での是正措置を推奨したりといったことも、コンプライアンス責任者の職務だ。コンプライアンス責任者は必要に応じて関わりのある事業部門と協力し、是正措置の実施にあたる。
専任プログラマー
IT部門では、インフラソフトウェアや認証サービス、さまざまな形態の仮想化などの構築と立ち上げを支援する専任プログラマーの必要性が高まっている。この任務を遂行するためには、IT部門の戦略的ビジョンをしっかりと理解し、その実現に役立つインフラソフトウェアとツールを適切に判断できなければならない。インタフェースレベルでのシステムの分析と、さまざまな要素の連係にも、多くの時間を費やす必要がある。
クラウドエバンジェリスト
今や、ある程度はクラウドコンピューティングを利用しているという企業がほとんどである。クラウドエバンジェリストの役割は、社内のクラウド利用を推進し、適切なクラウド技術の採用を支援することだ。そのためには、顧客やパートナー企業、業界団体、影響力のある個人ユーザーなど幅広いコミュニティーと関わって、彼らにクラウドの可能性を語り、クラウドの採用促進を図る必要がある。任務を遂行するためには、クラウドの可能性を強調して語るためのプロトタイプとデモンストレーション素材を素早く開発することも必要だ。
データセンターゼネラリスト
中小企業でデータセンターの運用管理を担当している人であれば恐らく、「データセンターゼネラリスト」がどういうものかは既に理解しているだろう。データセンターの技術者がサーバやストレージシステム、ネットワークなど特定のデバイスに集中していればいい時代は、もはや大企業においてさえ、終わりを告げようとしている。今や仮想化によってデータ移行が自動化され、米Cisco Systemsの「Cisco Unified Computing System(UCS)」などの統合型アーキテクチャがより一般的になり、企業では「全てのサイロを見渡し、インフラ全体の性能を高いレベルから監視する人物」が必要とされている。データセンターゼネラリストには、問題解決のための十分な専門知識と、システム性能の経済的な意味を検証できる鋭いビジネス感覚が求められる。
DCIMスペシャリスト
近年、企業ではデータセンターと設備のシステムおよび部門の融合が進んでいる。データセンターインフラ管理(DCIM)のスペシャリストに必要なのは、「データセンター利用とエネルギー消費の状況を監視、測定、管理、制御するツールの扱い方を理解すること」だ。DCIMスペシャリストは、サーバやストレージ、ネットワークスイッチなどのIT機器と、電力分配装置(PDU)やコンピュータ室の空調設備などのインフラコンポーネントの両方を制御することになる。さらにDCIMスペシャリストは、専用のソフトウェア、ハードウェア、センサーを使用して、ITインフラと施設インフラをつなぐ全ての相互依存システムに共通するリアルタイムの監視・管理プラットフォームを配備する必要がある。このDCIMプラットフォームは、いずれは大規模なインテリジェンス(情報収集・分析機能)が追加され、専門性の高いオートメーション機能を持つようになるだろう。DCIMスペシャリストが目指すべきは、設定を自動調整してデータセンターのリソースをワークロードの需要に厳密に合わせられる動的なインフラを構築することだ。
以上述べてきたデータセンターに関わる6つの職種のいずれかに就きたければ、「柔軟性を保つことだ」と、Diceのゴリ氏は指摘する。引っ張りだこのITプロフェッショナルは、常に自身のスキルセットを更新している。企業の中に新しい技術が次から次へと取り込まれるなか、集団の先頭に立つのは、新プロジェクトに進んで取り組む人たちだ。
本稿筆者のポール・コジェニョフスキ氏は、米国マサチューセッツ州に拠点を置く、データセンター領域を専門とするフリーライター。
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