DevOpsとアジャイル開発手法でトレーニングを削減
人手不足でもう限界、メインフレーム管理を救うたった1つの方法とは
減少が続くメインフレーム管理者。しかし企業内にはまだメインフレームが残っており、管理者が必要だ。DevOpsとアジャイル開発手法の応用が管理者の育成に役立つかもしれない。
DevOpsとアジャイル開発は、アプリケーションソフトウェアの世界の話だと思っている人はいないだろうか。それは間違いだ。さまざまな制約と障害に満ちた移行期においては、これらのコンセプトがメインフレームにかかわるトレーニングと管理の簡素化に役立つのだ。
メインフレーム管理に必要なリソースは流動的な状況にある。高齢化が進む今日の上級管理者は、システムに関する貴重な知識を抱えたまま企業を去ろうとしている。加えて、UNIX/LinuxやWindowsと比べて、z/OS(米IBMのメインフレームOS)環境に慣れ親しんだ社外開発者は少ない。IT部門はこうした人材を補充する作業を、賃金の抑制および新たなスタッフを訓練するためのリソースの不足という制約の中で行わなければならないのだ。
CIOが感じる無力感
メインフレームのハードウェア/ソフトウェアベンダー各社も、それなりにこうした問題に対処しようとしている。IBMはLinuxとz/OS用の管理ツールを提供する一方で、大学や専門学校がメインフレーム講座を開設するのに協力している。だが企業のCIOたちは、メインフレームの管理スキルの不足に加え、全社的な技術アーキテクチャの管理に必要な専門知識を持った人材の不足という状況に対応できないという無力感を抱いている。何が問題なのだろうか。
メインフレームのスキルトレーニングと日常管理の簡素化はコスト削減につながるが、それを実現する手段は時代とともに変化する。鍵となるのは、DevOpsとアジャイル開発の連携だ。これらの方式を活用すれば、メインフレームを企業の成長とイノベーションに役立てることができる。
メインフレーム管理の両面を簡素化する
DevOpsは、「開発―配備」ライフサイクルにおいてアジャイル開発とITを連携させる。管理者は基本的に、進行中のアジャイル開発プロセスの一環として配備を行う。目標は連続的なデリバリー、すなわち小規模な変更を小まめに配信することだ。
メインフレーム管理者にとって、小規模な変更は配備の簡素化を意味すると同時に、DevOpsによる自動化は機械的な作業が減ることを意味する。これにより、管理者の仕事の半分についてはトレーニングの必要性が大幅に減少する。矛盾しているように思えるかもしれないが、一定期間内でのリリース回数が多い方が仕事は楽になり、プログラマーの生産性も高まるのだ。
メインフレーム管理者の仕事の残りの半分はトラブルシューティングとメンテナンスだが、これらの作業にアジャイル開発の手法を適用できる。重要な問題への対応を迅速化するには、バックアップ、再編成、バッチ処理といった定型的なメンテナンス作業を自動化するアジャイルツールを利用すればいいのだ。IT部門はこうした作業から解放されることで、顧客あるいは自社が何を必要としているのかを把握する任務に専念できる。これは、アジャイル開発でユーザーの要望に素早く対応するために用いる「スクラム手法」をメインフレームに適用したものだといえる。
アジャイル開発の手法はメインフレームにまつわるこうした日常的な作業を簡素化する。その結果、メインフレームの管理を担当する新たな人材を見つけるのもずっと容易になる。その上で、自動化できない細かい部分のトレーニングだけを実施すればよいのだ。
DevOpsとアジャイル開発手法を組み合わせることで、新しいIT管理者に求める要件を最小限に抑えれば、コスト削減効果によって人件費の増加分を相殺できるだろう。
今あるものを活用する
上述のアプローチを次の大規模プロジェクトとして検討するのはまだ早い。多くの企業でDevOpsの取り組みが進行中であり、こうした取り組みを支援する製品やコンサルタントも存在する。DevOpsとアジャイル開発を手掛ける委託管理業者を利用するのもいいだろう。成功の鍵は、今あるものを効果的に活用することだ。
メインフレーム管理者を新たに雇用する際には、「自社の開発チームとの協調」というポイントを特に重視すべきだ。そうすればIT部門でのアジャイル手法の採用が促進され、アジャイル手法の支持者の拡大にもつながる。また、ITスタッフや自社の従業員がDevOpsを支持することによる効果も大きい。
IT部門は、現在の状態(高度な専門知識を必要とする複雑なメインフレーム管理)から目標とする状態(トレーニングが少なくて済む容易なメインフレーム管理)に移行するには、利用可能なリソースをどう活用すればいいのか検討する必要がある。この移行の過程で、コストの削減と自社の要求への素早い対応という効果が表れてくるだろう。
本稿筆者のウェイン・カーノチャン氏は、独立系IT調査会社の米Valley View Ventures系列企業、米Infostructure Associatesの代表であり、IT業界の調査・分析経験は20年以上。本稿は、同社がスポンサーを務めた調査の結果がベースとなっている。
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