日本上陸前先取りレビュー: Samsung Chromebook 2編
徹底レビュー:韓国Samsungの3万円台PC「Chromebook 2」は“GALAXYの再来”か、単なる安物PCか
低価格がウリのノートPC「Chromebook」が充実しつつある。韓国Samsung Electronicsが市場に投入した最新機種「Samsung Chromebook 2」は、仕事でどの程度使えるのか?
韓国Samsung Electronicsの「Samsung Chromebook 2」は、同社がChromebook市場に投入した最新機種だ。持ち運びやすくバッテリー持続時間は長いものの、パフォーマンスに問題がある。
今回レビューしたSamsung Chromebook 2の13.3インチモデルは、洗練されたデザインと丈夫な構造を備えている。外出先で基本的な作業をする分には問題ないが、パワーユーザーが満足するレベルからは程遠いだろう。
構造とデザイン
Samsung Chromebook 2の表面は灰色のプラスチック製だ。合皮のカバーが付いているため、洗練された印象を受けると同時に、持ちやすくもある。カバーにはSamsungのロゴと米Googleの「Chrome」のロゴがあしらわれている。シャーシもカバーと同様のすべすべした灰色の素材で、指紋が目立ちにくくなっている。
13.3インチモデルの厚さはたった1.65センチで、重さは約1.39キロ。11.6インチモデルの重さに至っては約1.20キロだ。そのため、長時間でも楽に持ち運ぶことができる。
ヒンジが固いので、カバーを開くには両手を使う必要がある。また、ディスプレーの角度を調節するのにも力が要る。
画面カバーは強い圧力をかけると曲がり、特にディスプレーの辺縁部には波が生じるのがはっきりと分かる。ディスプレーもひねると多少曲がる。だがシャーシは強い力にも耐え、かなりの力をかけても変形しない。
全体として、画面カバーに無理な力を加えない限り、Samsung Chromebook 2には普段の移動で生じる通常使用による損傷への耐久性がある。
入出力端子
Samsung Chromebook 2には、標準のHDMI端子、USB 2.0端子、USB 3.0端子、ヘッドフォン/マイクのコンボジャック、microSDカードスロットがそれぞれ1つずつある。ほとんどのChromebookと同じく、端子について特筆すべき点はない。一般に、この種のデバイスに備わっている端子はどれも似たようなものだ。とはいうものの、このモデルに通常のSDカードスロットが搭載されていないのは残念な点だろう。
画面とスピーカー
Samsung Chromebook 2にはLEDバックライト付きHDディスプレーが搭載されている。13.3インチモデルの解像度は1366×768ピクセル、アスペクト比は16:9だ。文字は読みにくいことが多い。全画面表示で「Twitter」のフィードなど大量のテキストをスクロールする場合は特に読みにくい。ただし、アスペクト比のおかげでマルチタスクを簡単にこなすことが可能だ。Webブラウザのウィンドウを2つ並べて開くには悪くない解像度を備えている。反射防止パネルの効果は高く、直射日光の下でもまぶしさが抑えられている。明るさのレベルは調整可能で、暗がりでも目がくらむことなく快適に使用できる。
色の再現力は問題ないレベルだが、最近の多くのノートPCほどの鮮やかさはない。カラーは多少退色し、黒色は灰色のように見える。白色は明るく表示されるが、赤色や青色などのカラーと混ざりがちなため、若干くすんで見える。また、視野角はかなり狭い。ゆがまずに表示される範囲はいずれの向きでも限られている。ディスプレーは前ではなく後ろに傾けた方が適切に表示される確率が高くなるだろう。少し前に傾けただけで、色が退色し、シャーシの反射が映り込むようになる。
Samsung Chromebook 2にはスピーカーが2つ搭載されている。小さくて静かな部屋全体に響かせるには十分な音量がある。音質は高く、音量を最大にしても耳ざわりなゆがみは生じない。ヘッドフォンジャックの音質は手軽な用途には十二分だ。スピーカーと同様に、音量を最大にしても音がゆがむことはない。Samsung Chromebook 2に搭載されているノイズ軽減機能付きアレイマイクは、騒がしい場所でビデオチャットするときに重宝する。テレビや交通などの周囲の雑音はきれいに遮断される。
キーボードとタッチパッド
おなじみのQWERTYキーボードの使い心地は非常に良い。キーボードの構造はしっかりしている。入力中にたわんだり曲がったりすることはない。キーにはゴム加工テクスチャが施され、適度な間隔が空いているのでキーが操作しやすい。入力時にカチャカチャという音はするが、静かな環境でも気が散るほど大きな音ではない。キーボードにバックライトが付いていないので、特殊キーは少し見つけにくい。ただし、レイアウトに慣れれば大きな問題にはならないだろう。
タッチパッドはシャーシと同じ灰色の仕上げが施され、シャーシよりややくぼんでいる。細い帯状のクロムで縁取られているので、タッチパッドの範囲が分かりやすい。タッチパッドはキーボードと比べてかなり大きく、スペースキー下のデバイス中央に配置されている。タッチパッド周辺の間隔はよく考えて設計されている。キーボードからは十分な間隔が確保されているので、ユーザーが誤って手の平でタッチパッドに触れることはないだろう。また、タッチパッド自体は滑らかで非常に応答性が高い。
タッチパッドに専用のマウスキーは配置されていない。1本指でタップすると左クリック、2本指でタップすると右クリックの操作だと見なされる。タッチパッドをタップしても長押ししても、コマンドを実行できる。ただし、クリック音はかなり大きいので、静かな環境ではタップ操作の方がよいだろう。タッチパッドによるコマンドの読み取りについて問題は見られなかった。
パフォーマンス
Samsung Chromebook 2にはSamsungのチップセット「Exynos 5 Octa」を搭載する。13.3インチモデルのプロセッサは、英ARMのクアッドコアプロセッサである2.0GHzの「Cortex-A15」と1.3GHzの「Cortex-A7」。11.6インチモデルは、1.9GHzのCortex-A15と1.3GHzのCortex-A7であり、13.3インチモデルの方が11.6インチモデルよりもわずかに速い。どちらのモデルも、4GバイトのRAMと16Gバイトのストレージを搭載している。ノートPCとしては大きいストレージ容量とはいえないが、本質的にChromebookはWebブラウザ端末にすぎないので、高価な内蔵ストレージは不要だ。
全体として、Samsung Chromebook 2の動作はなかなかスムーズである。すぐインターネットに接続し、タブやGoogleのWebアプリは瞬時に開く。だがページの読み込み時間は多少長い。特に複数のタブを同時に表示しているとページの読み込みに時間がかかる。動画のストリーミングはバッファ時間が発生することもなく快適だ。動画のストリーミングでも、複数のタブを開いていると処理速度が多少低下する。基本的にSamsung Chromebook 2は、タブやアプリを1つだけ実行している場合は快調に動作するが、その数を2、3つに増やした途端に処理速度は低下する。
発熱とノイズ
Samsung Chromebook 2の排気口から放出される熱はごくわずかだ。数時間連続で使用してもSamsung Chromebook 2の底面が熱くなることはなく、膝の上に載せた状態でとても快適に使用できる。ファンが素晴らしい働きをしていることは間違いないだろう。しかもファンはまったく音を立てずに動作し、ウィーンという回転音や目立った排気圧音もない。
バッテリー持続時間
Samsung Chromebook 2は40Wの2セルリチウムポリマーバッテリーを搭載している。Samsungが公表しているバッテリー持続時間は8時間強だ。米TechTargetが実施したテストでは、バッテリーがなくなるまで、明るさを最大に設定し、全画面表示で動画をストリーミングした。この条件では、バッテリーの持続時間は5時間34分だった。バッテリー残量が15%になると、あと15分でシャットダウンするという警告が表示された。
一般的な使い方であれば、約8時間の使用に耐えられるだろう。これは「どこにでも持ち運べるデバイス」というSamsung Chromebook 2の魅力を高める要素になるだろう。
結論
11.6インチモデルで319ドル(約3万3000円)という希望小売価格を考えると、Webサーフィン、動画のストリーミング、メールの確認、Googleの各種アプリでの作業などを目的としたベーシックで持ち運びやすいノートPCを求めているユーザーにとって、Samsung Chromebook 2は理にかなった選択肢である。これまでリリースされたChromebookと同様、Samsung Chromebook 2は悪くないデバイスだ。ノートPCで込み入った作業をする必要がなければ十分だろう。
一方で、動画や高解像度の写真を編集する、大量の作業を管理するなど、もっと複雑な作業をするためのノートPCが必要な場合は、米Microsoftの「Windows」や米Appleの「Mac OS X」を搭載した従来型ノートPCの購入を検討することをお勧めする。複数のタスクの同時処理については、Chromebookは従来型ノートPCに後れを取っている。
ノートPCで基本的なタスクしかしないカジュアルユーザーにとって、Samsung Chromebook 2は手頃な価格のデバイスだろう。
長所
- 非常に快適な入力操作
- 音が静かで熱くならない
- バッテリー持続時間が長い
短所
- パフォーマンスが低い
- ディスプレーの色とコントラストの品質が低い
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的な家電メーカーが実践する「クリエイティブプロセス効率化」の方法とは? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的テクノロジー企業に学ぶ、プロセス標準化とプロジェクト納品自動化の秘訣 -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソニー・ピクチャーズ テレビジョンに学ぶ、次世代サービスデリバリーのヒント -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソミック石川に学ぶ、ICT浸透後に直面した「工数管理」の課題と解決策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
2
膨らむAIコストに歯止め GitHubのマルチモデルルーターは何が違うのか
-
3
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
4
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
5
エンジニアが選考を辞退する本当の理由 7割が隠す“面接の違和感”とは
-
6
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
9
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
-
10
Anthropicが明かす AIは入力データを「どこまで覚えているのか」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
9
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
10
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー