日本上陸前先取りレビュー:ASUS Chromebook C200編
徹底レビュー:「Chromebook」は結局買いか? 250ドルPCで分かった可能性と限界
日本上陸が確実視されている「Chromebook」。その最新モデルである「ASUS Chromebook C200」は軽量で薄型のデザインが特徴。価格は249ドルからだ。実用性やパフォーマンス、バッテリー持続時間はどうだろうか?
台湾のASUSは、持ち運びやすさに定評のある米Google「Chromebox」搭載のデスクトップPCで大きな成功を収めている。11.6インチディスプレーモデルの「ASUS Chromebook C200」と、13.3インチの姉妹モデル「C300」は同社が初めてリリースする「Chromebook」だ。ASUSは2GバイトのRAMと、16GバイトのSSD、米Intelの「Celeron プロセッサー」を搭載した11インチのモデルC200を携えてChromebook市場に参入するが、C200は多数の類似スペックモデルがひしめく市場で勝ち抜くことはできるのだろうか。本稿では、それを検証する。
厚さ2センチで1.13キロ
ASUSがChrome OSを搭載したポータブルデバイスの分野に進出するに当たってリリースしたモデルは、見た目だけでなく、実際手に取ってみても素晴らしい。厚さは2センチで台湾Acerの「C720」(1.9センチ)よりも若干厚みがある(参考:徹底レビュー:「Chromebook」を使って感じた驚きの安さと、意外な実用性)。だが、米TechTargetがこれまでにレビューした11インチのChromebookの中で最軽量だ。C200の重量は1.13キロ、C720は1.25キロ、米Dellの「Dell Chromebook 11」は1.3キロだ。C200にファンが搭載されていないことが軽さの要因だろう。これは省電力設計の米Intel「Bay Trail」プロセッサの功績だ。全体的なバランスも取れており、片手でも簡単に持つことができる。
C200は、黒とシルバーのスマートな本体と、手前と奥が緩やかに上がっているデザインにより、Dellや東芝などがリリースしている他の多くのChromebookよりも洗練された外観になっている。湾曲したデザインは、ノートPCを長時間持ち歩くのに適している。持ち運ぶ際に底面にあるゴム製の滑り止めが邪魔になることもない。若干光沢感のある素材が採用されている上面は指紋や汚れが付きやすい。だが、底面と画面の枠にはざらつきのある素材が使用されているので、持ちやすく滑りにくい(汚れも目立たないので、画面周りの特徴としてはプラスの要素になる)。上面にはシルバーのASUSのロゴとカラフルな「Google Chrome」のロゴがあしらわれている。
接続端子
他の多くのChromebookと同様、C200の物理的な接続オプションは限られている。USB 3.0端子が1つ、USB 2.0端子が1つ、SDカードリーダーが1つ、オーディオヘッドセットジャックが1つ搭載されている。加えて、外部HDモニターを接続するためのHDMI端子が1つとノートPCを固定するロックポートが1つある。
C200は2014年1月に承認されたばかりの新しいワイヤレスネットワークの標準「IEEE 802.11ac」に対応している。そのためC200は802.11ac対応のWi-Fiルータを活用できる。このテクノロジーは、データ転送スピードと用途の幅を広げ、a/g/nルータとの下位互換性もある。C200はBluetooth 4.0にも対応しているため、ワイヤレスのマウスやキーボードなど他の周辺機器と接続することも可能だ。
ディスプレーとスピーカー
11.6インチ、解像度1366×768ピクセルのLEDディスプレーの品質はHDディスプレーには遠く及ばない。だが、価格を考えれば納得の品質だろう。色はぼやけた感じで、画面の明るさを最大にしても薄暗く感じる。だが、これらの問題は標準的なChromebookの画面に共通して見られるものだ。例えば、AcerのC720にも同様の問題がある。画面につや消し仕上げが施されているのはプラスの要素だ。反射が抑えられていなければ、画面の表示でさらに問題が発生していただろう。
スピーカーは音量を最大にすれば大きな部屋全体に音を響かせることができる。ただし、若干のっぺりしていて、音量を小さくすると聞き取りにくい。映画のせりふやYouTubeビデオのスピーチを聞き取るには、最低でも最大音量の4分の1以上に設定する必要がある。クラッシック音楽は問題なく再生できるが、メタルは重低音が適切に再生されない。だが、価格とサイズを考えると音は悪くないだろう。
キーボードとトラックパッド
C200にはチクレット風のキーボードが搭載されている。専用のブラウザキー(戻る、進む、更新の各機能)と「全画面表示」や「全てのウィンドウを表示」のキーがあるので入力操作は快適だ。検索ボタンを使用すると、Webサイトや「Chromeウェブストア」だけでなくChromebook搭載の16GバイトSSDに保存されているファイルも検索できる(検索キーは標準キーボードの[CapsLock]キーの位置に配置されている)。また、標準キーボードのショートカットも機能する。例えば、[Ctrl+R]キーを押すと、最新の状態に更新される。キーボードのボタンは下まで押し下げてもキーを押した感覚はあまりない。平均的なキーストロークがあるだけだ。だが、音は静かで丈夫な作りになっている。
スムーズなシルバーのトラックパッドは非常に快適で使いやすい。どこを触っても機能するといっても過言ではない。これはトラックパッドなどのインタフェースデバイスでは長所になる。トラックパッドの端をクリックしたり、端でジェスチャ操作を実行したりしても問題はない。また、クリック操作でもそれほど力を入れる必要はない。トラックパッドをクリックすると、小気味よく力強い音がする。空虚な音、薄っぺらい音、カチャカチャという音がすることはない。
ソフトウェアとOS
ChromebookをChromebookたらしめているChrome OSは、標準的な実行可能ファイルを実行する米Microsoftの「Windows」や米Appleの「Mac OS X」と一線を画したユニークなOSだ。Chrome OSでは、全てのアプリが「Chromeブラウザ」を介して実行される。
LinuxベースのChrome OSは、Chromeを実行するためだけに最適化されている。そのため、Chrome OSでは、WindowsやMac向けの実行可能ファイルはインストールも、実行もできない。「Adobe Creative Cloud」「Microsoft Office」、デスクトップPC向けのゲーム、「Skype」などのプログラムを実行できないことは明らかな欠点である。だが、この欠点と引き換えにPCを安全に保つことができる。実行可能ファイルは危険なファイル形式になり得る。Chrome OSではそのようなファイルを実行できないようにすることで、プログラムに埋め込まれているかもしれない悪意のあるコードからPCを保護している。ボタンを押すだけでデータを消去できる機能も含めて考えると、Chromebookは学校や学生が使用するのに適しているだろう。
Chromebookは、Chromeウェブストアでアプリケーションを探すことができる。Chromeウェブストアでは、Chromeブラウザ対応の多種多様なWebベースのアプリケーションと拡張機能が提供されている。Chromeウェブストアで入手可能なプログラムには「Googleドキュメント」や「Googleハングアウト」などがある。Chromebookを負荷の高いグラフィックやモデリング作業専用PCの代替として使用したり、プログラミング/デザイン作業に使用したりすることはできないだろう。だが、持ち運び可能なサブノートPCとしては申し分なく、負荷や専門性の高い作業を行う必要がないユーザーであればメインノートPCとして問題なく使用できる。
パフォーマンス
Bay TrailベースのCeleronプロセッサと2GバイトのRAMは、これまでにTechTargetがレビューした他のChromebookと同様に申し分ない働きを見せた。Chromeブラウザで10個以上タブを開いても、パフォーマンスが目に見えて低下することはなかった。詳しくは次のセクションで説明するが、その要因は音と発熱にある。
前述のようにChrome OSではChromeブラウザとその関連アプリ以外は実行できない。Facebookの投稿を確認したり、メールを書いたり、子猫がトカゲを追いかけているYouTubeのビデオを見たり、Googleドキュメントでレビュー記事を書いたりするなどの作業は、全てChromeブラウザで行う。C200ではこの全てのタスクに問題なく対応できた。
ベンチマーク
いつも使用しているソフトウェアがChrome OSで実行できないため、C200のベンチマークテストでは、ブラウザベースの別のテストを使用する必要があった。C200の比較対象にはAcerのC720を選んだ。価格/サイズ/スペックにおいて、C720はC200と最も近いモデルである。3つのベンチマークテストの結果は以下の通りである。
「Browsermark 2.1」テストは、CSS 2D/3Dの機能、HTML5/WebGLグラフィックス、JavaScriptの数値演算処理、「Adobe Flash」と「Microsoft Silverlight」のサポート、DOM管理(ブラウザの動的コンテンツ生成とページ検索の速度)を測定する。C200のスコアは2091だった(Silverlightは非対応で確認できず)。
「Futuremark Peacekeeper」は、HTML5のCanvasを使用したグラフィックスの描画や2Dゲームのプレイを行うHTML5ベースのテストを実施する。Chrome 35.0.1916.116を実行するC200のスコアは、たったの1555だった。一方、Chrome 32.0.1700.103を実行するAcerのC720のスコアは2931だった。
米Microsoftの「HTML5 Fish Bowl」シミュレーターは、グラフィックスと物理オブジェクトをテストする。C200は無線接続時、水槽の全ての視覚効果を有効にした状態で95~105匹の魚を処理することができた。魚の数を105匹以上にするとFPSが60を下回った。C720のスコアと比較すると、この数値は大幅に低い。C720では190~200匹の魚を処理することができた。
ベンチマークテストの結果を総括すると次のようになる。
少し古いAcer C720と、この新しいC200の間には大きなパフォーマンスの差が見られる。原因はプロセッサにある。C200に搭載されているBay TrailベースのCeleronはC720に搭載されているHaswell Celeronほど強力ではないのだ。だが、Bay TrailはHaswellよりも安価でファンが必要ない。その分、C200はC720よりも軽量だ。C720や他のChromebookがHaswellプロセッサを搭載できたのは、Intelがマーケットシェアを拡大するために助成金を支給していたからだ。だが、Intelはその取り組みを止めた。そのため、安い価格を維持するにはプロセッサのレベルを下げる他なかったという面もある。
確かにC720よりは劣るが、C200のパフォーマンスは悪いとはいえない。
これらのテストではブラウザにできる限り高い負荷を掛けている。つまり、実際に継続してPCを使用したときの状況を再現したものではない。Bay Trailプロセッサはワープロやネットサーフィンだけでなく、ビデオチャットや映画のストリーミングにも問題なく対応できる。通常の使用であれば、Bay TrailベースのCeleronと2GバイトのRAMを搭載したC200は問題なく機能するだろう。
バッテリー持続時間
C200に搭載されているBay Trailプロセッサは、これまでにTechTargetがレビューした他のChromebookに搭載されているHaswellベースのCeleronなど他のプロセッサよりも消費電力を抑えるように設計されている。バッテリーのパフォーマンステストでも、そのことが明らかになっている。Chrome OSでは、いつも使用しているPowermarkソフトウェアを実行できないので、負荷の高い動画のストリーミングを行うことにした。
Bluetooth接続をオンにして、PlexメディアサーバからストリーミングでHD動画を再生し、「Twitch」でゲーム実況ストリームを2番組、YouTubeで10時間の動画を再生してみた。この過酷な状況でもバッテリーは7時間7分持続した。AcerのC720は同条件でバッテリーが4時間30分しか持続しなかったことから、これは印象的な結果だった。
幾つかのタブを開き、Bluetooth接続をオフにし、時折休憩するという通常の使用状況であれば、バッテリーの持続時間はさらに長くなることが予想される。C200のバッテリーは11時間持続するとうたわれている。高い負荷を掛けたテスト結果から、この数値にうそ偽りはないと断言して差し支えないだろう。
発熱とノイズ
これまでにレビューした他のChromebookではSSDとプロセッサに負荷を掛けてもほぼ無音だったが、C200は文字通り無音だ。Bay Trailプロセッサはほとんど発熱しないため、C200にはファンがない。多数のタスクを実行しても非常に静かで、耳の近くまでPCを持ち上げても静かであることが確認できる。
ベンチマークテストを実行したときには本体の底面がかすかに温かくなった。だが、熱いというレベルでは決してない。また、バッテリー持続時間のテストを実施したときも、数時間継続して使用した後に、底面の端が少し温かくなっただけだった。Bay TrailプロセッサはC200をノートPCとして何時間も快適な状態で使用することを可能にする優秀なパーツだ。
結論
搭載されているプロセッサがBay TrailベースのCeleronなので、これまでにTechTargetがレビューした一部のHaswellベースのCeleronを搭載したChromebookには性能面で及ばないが、C200は優れたデバイスだ。スタイリッシュで高品質で軽量な本体、長時間持続するバッテリー、メディアへのアクセスしやすさにより、C200は「実用性」「持ち運びやすさ」「価格」の絶妙なバランスが取れたChrome OSのメリットを実現している。
高性能なプロセッサやHDディスプレーが必要なければ、この小型のC200は、簡単なネットサーフィンやGoogleドキュメントの作業を行うには十分だろう。
長所
- 素晴らしいバッテリーの持続時間
- スマートで丈夫な構造
- 抜群の持ち運びやすさと静かさ
- 快適なChrome OSの操作性
欠点
- 比較的低いプロセッサの処理能力
- それほど品質が高くないディスプレー
- 端子が少ない
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