約300ドルで販売、国内展開は?
徹底レビュー:次に買いたい低価格PC「Chromebook」、東芝製品への辛口評価
国内発売がうわさされる「Chromebook」。その中でも東芝製の「CB30-A3120 Chromebook」が注目を集める。約300ドルのPCはどの程度使えるのか。レビューをお届けする。
東芝の「CB30-A3120 Chromebook」は画面の表示とハードウェアの構造に難点があるものの、強力な「Chrome OS」の操作性を備えたChromebookファミリーの新しい強力な一員だ。
A3120は、Webサーフィン、米Googleのアプリやドキュメントサービスを使った作業、軽いメディアの利用などを想定して設計された13インチのデバイスである。他のChromebookと同様、米Microsoftの「Windows」は搭載していない。Webブラウザ「Google Chrome」とブラウザ連携アプリのみを実行するGoogleの「Chrome OS」を搭載している。この東芝の新しいモデルは、前回レビューしたChromebookよりも数インチ大きい(参考:徹底レビュー:「Chromebook」を使って感じた驚きの安さと、意外な実用性)。だが、Acerの小型モデルと同様に、使い勝手の良いChrome OSの操作性を備えているのだろうか。それをこれから確かめたい。
ハードウェアは?
A3120の本体はシルバーグレーのプラスチック製だ。上面には触り心地の良いテクスチャ加工が薄く施され、Chromeと東芝のロゴがあしらわれている。だが、画面、キーボードおよび底面の周りに使用されているすべすべのプラスチックは、とても頑丈とはいえない。画面の裏側や縁周りのプラスチックの部分を押すと、画面に波が生じるのがはっきりと分かる。このPCの重量は1.5キロだ。全体的に中身が詰まっているが、重さに偏りはないように感じられる。A3120の通気孔は、中央底面に1つとPC後部の左寄りに1つの計2つある。これらの通気孔によって、高い負荷を掛けたときに生じる熱は適切に放熱される。そのため稼働中のPCが高温になることはない。
端子と接続性
Chromebookには、アプリやファイルなど何でもクラウドに保存するという制約がある。そのため、ほとんどの機能を使用するときにはインターネット接続が必要になる。802.11 a/g/n Wi-Fiに対応しているが、他のChromebookと同様に、物理的なイーサネット端子は備えていない。
USB 3.0端子はデバイス右側面の2つしかなく、USBタイプのイーサネットアダプターは実用的な選択肢ではない。そのため、このPCを使う場所では安定してWi-Fi接続が利用できることを確認する必要がある。Bluetooth 4.0を使用すれば、USB端子を使わずにマウスやキーボードなどに無線接続できる。ただし、その場合はバッテリー持続時間が大幅に短くなることに留意されたい。また、SDカードリーダー、フルHDMI出力およびPCロック端子も搭載されている。
ソフトウェアとOS
以前のChromebookレビューで書いたように、Chromebookや「Chromebox」の特質を決定付けているChrome OSでは、GoogleのChromeブラウザとブラウザ連携アプリ/拡張機能しか実行できない。Googleアカウントでダウンロードしたアプリは、他のPCでも同じアカウントでChromeにログインすれば使用できる。OSがChrome OSであるかどうかは問わない。つまり、アプリは1回ダウンロードすれば、どこでもChromeブラウザで使用できる。
Chromebookには「Microsoft Office」や「Skype」などのPC向けの実行可能ファイルをインストールすることはできない。だが、「Googleドライブ」や「Googleハングアウト」などのアプリがその欠点を補っている。このようなサービスやプログラムが、シンプルで相互に連携していることから、Chrome OSは子どもや学生が最初に使用するOSとしてよいだろう。
このChromebookには、16GバイトのSSDの容量を補うため、2年間無料で使える100GバイトのGoogleドライブストレージが付属している。Googleは、このクラウドサービスを活用するよう推奨している。小さな画像や「Googleドキュメント」で作成したドキュメントは、Googleドライブストレージに保存しても空き容量は減らないようだ。このストレージは、登録に使用したGoogleアカウントと関連付けられている。そのため、どのデバイスからでも使用できる。Googleドライブストレージで追加の容量が必要な場合は、小額の利用料で容量を追加できる。100Gバイトを無料で使える2年が経過した後は、月額わずか1.99ドルで同容量のストレージを継続して使用できる。
ディスプレーとサウンド
A3120の1366×768ピクセルのTruBriteディスプレーは側面視野角が非常に優れているが、照明は暗い。解像度は物足りなく、黒には深みや豊かさがない。ドキュメントの編集や「YouTube」の動画鑑賞などには十分である。だが、市場に流通しているPCの中で画面の品質が最高レベルでないことは確かだ。Acer C720の画面解像度はA3120と同じだが、C720は11インチで画素密度が高いため、シャープな印象だった。
A3120のステレオスピーカーはかなり音量がある。だが、大音量だと金属音が混ざるようになり、低音量だと少し薄っぺらい感じになる。小さな部屋全体に音を響かせることはできるが、音質が高くないことを考えると、そのような使い方はお勧めしない。クラシックやメタルの曲は中~高程度の音量だと少し音が変質して単調に聞こえた。映画のせりふは不明瞭なことさえあった。だが、この格安な価格を考えると、それ相応であるといえる。
キーボードとトラックパッド
黒くて平らなチクレット風のキーボードには、専用のブラウザキー(「戻る」「進む」「更新」)と「Google検索」キーがある。この検索キーは、Google ChromeウェブストアのアプリやChromebookのSSDに保存されたファイルの検索に使用できる。また、画面の明るさと音量を調整するキーの横には「全画面表示」キーと「全てのウィンドウを表示」キーがある。キーストロークは少し浅いが、キーを押すと押した感覚がしっかりと伝わってくる。
このキーボードの欠点は、全ての矢印キーの縦幅が他のキーの半分しかないことだ。そのため、通常サイズの左矢印キーと右矢印キーが採用されているキーボードよりも、ページの移動が少し厄介で煩わしい操作になる。また、電源ボタンとその周りのキーボードの枠の間には少し大きなすき間がある(境目から電源ランプの光が見える)。ここからPC内部にほこりなどの小さい粒子状の物質が入り込む恐れがある。PCは開けられないこともないが、PCを開けると保証対象外になる。
A3120のプラスチック製のトラックパッドは、とてもやわらかく、使うとカタカタと音がする。縁の部分を軽く押すだけでも若干曲がるのが見た目に分かる。トラックパッドの四隅の1つを押さえると反対側が少し盛り上がる。トラックパッドは全体的に非常に貧弱な感じがする。普通に使用していても真っ先に壊れたり傷ついたりしそうなパーツだろう。トラックパッドのキーボード側の丸みを帯びた角は、美的観点からは素晴らしい。だが、最終的に空間の無駄遣いでしかなくなっている。
パフォーマンス
A3120が搭載する「Intel Celeron プロセッサー」は「Intel Core i5 プロセッサー」や「Intel Core i7 プロセッサー」の処理速度には及ばないだろう。だが、Intel Celeron プロセッサーと2GバイトのRAMは、Chrome OSとChrome連携アプリを実行するには十分だ。また、最低限のプロセッサとRAMを使用することで、使い勝手を損なわずに、コストが抑えられている。A3120ではAcer C720と同様、ブラウザ用のJavaScriptテストだけを実行した。通常のPC向けのベンチマークテストを実行できない上、通常のテストではこの種のデバイスの実際のパフォーマンス指標が得られない。全てのテストは、USBタイプのイーサネットアダプターを使用して安定したインターネット接続を確保し、シークレットウィンドウで実行している。そのため、実行速度に悪影響を与えるChromeの拡張機能はテスト中に実行されていない。
JavaScriptパフォーマンスベンチマークテスト「Futuremark Peacekeeper」は、複数のコーデックのHTML5ビデオストリーミング、3Dグラフィックスの描画、2Dゲームのテストを行う。A3120のスコアは3042だった。
「Browsermark 2.0」テストは、CSS 2D/3Dの機能、HTML5/WebGLグラフィックス、JavaScriptの数値演算処理、「Adobe Flash」と「Microsoft Silverlight」のサポート、DOM管理(ブラウザの動的コンテンツ生成とページ検索の速度)を測定する。A3120のスコアは4620で、全デスクトップブラウザの上位30%に入る。なお、Acer C720をテストしたときのスコアは4278で、全デスクトップブラウザの上位38%に入っていた。
Microsoftの「HTML5 Fish Bowl」シミュレーターは、グラフィックスと物理オブジェクトをテストする。A3120は全ての視覚効果を有効にした状態で175~185匹の魚を処理することができた。それ以上増やすとフレームレートが低下した。
米TechTargetがレビューに使用したCB30-A3120のスペックは次の通りだ。
- Chrome OS
- 13.3インチ1366×768ピクセルのHD TruBriteディスプレー
- Intel Celeron プロセッサー 2955U(1.4GHz)
- Intel HD Graphics
- 2GバイトのDDR3L 1600MHz RAM
- 16GバイトのSSDと100GバイトのGoogleドライブクラウドストレージ(2年間無料)
- Wi-Fi 802.11a/g/n
- Bluetooth 4.0
- 4セルリチウムイオンバッテリー
- USB 3.0端子×2
- ロック端子
- メモリカードリーダー
- HDMI出力
- HD Webカメラ
- 重量:1.5キロ
- 価格:299.99ドル
バッテリー持続時間
A3120の交換不可な4セルリチウムバッテリーは、テストで素晴らしい性能を確認できた。バッテリーは、Bluetoothをオフ、明るさをほぼ最大に設定した状態で一般的な使い方をすると、最大約11時間持続するとされている。米TechTargetでは、Bluetoothをオンにして、YouTubeで動画1本の長時間ループ再生、「Twitch」で2番組のストリーミングおよび「Plex」でアクション映画1本のストリーミングを同時に行い、バッテリーを限界まで酷使してみた。この条件では、バッテリー持続時間が4時間40分まで低下した。だが、これは一般的な使い方ではない。ドキュメントの編集やWebサーフィンなら、バッテリー持続時間はもっと長くなるだろう。一般的な使い方であれば、バッテリーは10~11時間。バッテリーが劣化する前であればそれ以上持続するだろう。この結果からOSの軽快さも明らかになった。
熱とノイズ
上記のバッテリーテストを実行したときでも、このChromebookはヒンジ付近(特に、電源プラグに近い左ヒンジ)とデバイス底面の通気孔周りがわずかに熱くなっただけだった。SSDには可動部がないため、このPCは負荷の高いテスト中も無音といえるほど静かだった。だが、発熱が生じた段階では、A3120の方がAcer C720よりも若干熱くなった。
結論
東芝CB30-A3120 Chromebookは、その価格を考えると全体的に優れたPCだ。同じ解像度の小型ノートPCと比べると画素密度や表示の美しさは劣る。だが、解像度の高い画面と比較しなければ必ずしも悪くはない。また、解像度の高いPCを300ドル以下で購入することはできないだろう。このモデルに匹敵する使い勝手の良い13インチのノートPCを見つけるのは難しい。Acer C720より大画面で手頃な価格のChrome OS搭載のPCを探している人には、A3120を検討することをお勧めする。
長所
- 低価格
- 持ち運びに便利
- バッテリー持続時間が長い
- Chrome OS
短所
- ディスプレーが暗く、解像度が低い
- タッチパッドの作りが平均以下
- スピーカーの音質が悪い
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