【連載コラム】医療ITの現場から
電子カルテのクラーク運用が“一石三鳥”になる理由
限られた診療時間内で患者と向き合う時間をもっと増やしたい――。そう考える診療所の医師の負担を軽減する電子カルテの運用方法を紹介しよう。
患者が60人を超えると電子カルテ運用が負担になる?
電子カルテを導入した医師にヒアリングしたところ、導入後に1日当たり外来患者数が60~80人を超えたころから、急に電子カルテ入力を負担に感じるようになったという話を聞きました。1日の診療時間を8時間、外来数を60人とすると、患者1人にかけられる時間は8分となります。この8分の間に診察や処置、検査、患者説明に加えて、カルテ作成を実施すると考えると、医師1人で行うには明らかに時間が足りないのです。その結果、診療時間中にカルテ作成の時間が取れなくなり、外来患者の待ち時間が少しずつ延びていきます。
また、患者の増加とともにカルテの記載量が減少し、カルテ作成が診療時間内に完了しないこともあります。診療終了後にカルテを見直し、追記・修正するため、遅くまで残業が発生しているという話さえ耳にします。
電子カルテの効果的な活用をどう実現するか
診療所における電子カルテの普及率は3割に近づいてきました。普及が進むにつれて「電子カルテをどのように効果的に活用するか」を考える時期になったといえます。
電子カルテ選びのポイントとして、多くの医師が「操作性」を第一に挙げます。このニーズに応えるため、多くの電子カルテメーカーが操作性を第一の開発ポイントに据え、日々改善に取り組んできました。しかし、これまで慣れ親しんだ「紙」と「ボールペン」よりも電子カルテの方が使いやすくなければ、「電子カルテを入力しながら患者と今まで通り向き合えるのか」という問題を解決できません。
電子カルテ入力を代行する医療クラーク
そこで登場したのが、医師の代わりに電子カルテの入力を医療クラークにしてもらうという試みです。医師の負担軽減を目的に、病院では「医師事務作業補助体制加算」という診療報酬点数が設定されています。病院では積極的にクラークが活用され始めています。現在の診療報酬では、同加算の算定が診療所ではできないため、クラーク活用は特定の診療科が中心となっていますが、これからの普及が期待されています。
医師の負担を軽減するクラーク運用の主な効果
クラーク運用によって医師のどの業務が負担軽減できるのでしょうか。その主な効果として以下の3点が考えられます。
- 電子カルテの入力や紹介状の下書きなどを代行する
- 診察終了直後にレセプト点検業務を行うことができる
- 看護師や受付スタッフと医師の間で情報共有がスムーズになる
上記3点によって、医師の負担が軽減することで患者と向き合う時間も増え、患者の待ち時間も減少するでしょう。また、スタッフも新たにクラークという役割を担うことでやりがいをさらに見いだせると考えます。クラーク運用は、患者、医師、スタッフが共に幸せになれる仕組みといえるのではないでしょうか。
「電子カルテ+クラーク養成講座」の開講
メディプラザでは2013年9月より、「電子カルテ+クラーク養成講座」(http://m-clerk.jp/)を東京・大阪で開講しています。当社では、クラークを「医師の電子カルテ入力を支援し、スムーズに電子カルテの運用を行うために必要不可欠なスタッフ」と位置付けています。電子カルテとクラークをセットで導入することで、患者に最高のサービスを提供できるよう「診療所全体が一致団結できる診療チーム」が誕生すると考え、電子カルテのクラーク運用の実現を支援しています。
著者紹介
大西大輔(おおにし だいすけ) メディキャスト株式会社 メディプラザ統括マネージャー
2001年一橋大学大学院MBAコース卒業後、同年日本経営入社。2002年に医療機関の“選ぶ”を支援する展示場「メディプラザ」の1号店を東京(神田)に立ち上げ、その後2003年にメディプラザ大阪、2005年にメディプラザ福岡を順次開設。2007年より東京・大阪・福岡の3拠点を統括する統括マネージャーに就任。専門の医療IT分野については、医師会、保険医協会などの公的団体を中心にセミナー講師を多数実施。
【関連サイト】
ITを活用した経営改善・業務効率化が実現できるショールーム「メディプラザ」
医師の右腕を育成する「電子カルテ+クラーク養成講座」
医療機関のための製品導入事例紹介サイト「事例Plaza」
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