【連載コラム】医療ITの現場から
電子カルテ普及の鍵は「スマートデバイス」と「医療クラークの活用」にあり
「電子カルテは医師が操作するツールである」という前提で、その導入をためらう医師は多い。しかし、その発想自体を変えてみると意外とスムーズに電子カルテの運用が可能になる。
「紙カルテのままでいい」と考える理由
前回「なぜ電子カルテは急速に普及しないのか」では、電子カルテの普及を阻害する要因には「PCを操作しながら診療に専念できるのか」「患者数が多い場合、電子カルテの入力が追い付かないのではないか」という2つの疑問があると紹介しました。
これらに共通するのは「医師が電子カルテに紙カルテと同等の操作性を求めている」点にあると思います。電子カルテになって、その入力が煩わしくなってしまうとなると、「わざわざ高いコストを掛けて導入する意味はない」と考えるのも当然かもしれません。他にどれだけ電子カルテの導入メリットがあったとしても、この点が解消されなければ今後も「紙カルテのままでいい」と考える医師は少なからずいることでしょう。
導入促進の鍵はスマートデバイス
医療分野では、米Appleが2010年に発売した「iPad」をはじめとするスマートデバイスに注目が集まっています。その理由の1つに「スマートデバイスの操作性が医師のIT化を推進するという期待がある」と考えられます。スマートデバイスは、これまでPC操作に難色を示していた医師の考えを変える可能性を持っています。今後、スマートデバイスを中心にハードウェアが進化し、電子カルテメーカーがその動向に合わせて開発を進めていけば、電子カルテの操作性はさらに向上し、その導入を促進する要因になるでしょう。
医療クラークの入力代行による電子カルテ活用
また、医師の多くが「電子カルテは医師が操作するツールだ」という認識を持たれているようです。しかし、最近では医師に代わりカルテの入力を行う「医療クラーク」の活用が積極的に行われています。医療クラークは、診察時に医師の側で「口頭指示」や「簡単なメモによる指示」などを受け、カルテの作成入力を行います。
耳鼻咽喉科や眼科などで採用が進んでいる
医療クラークの活用は、特に「耳鼻咽喉科」や「眼科」に多く見られます。これらの診療科は内科など他の診療科目と比べて、同じような症状の患者を診察する機会が多い傾向にあります。また、1人当たりの診療時間が短く、処置や検査などの入力項目が多いため、カルテの作成にスピードが要求されます。そのため、医療の内容に精通した事務スタッフが医療クラークを担当することが多いようです。
診療に集中でき、多くの患者対応を可能に
電子カルテの導入を検討している医師に対して、私は以下の図にある3つのパターンの中から現場の状況に合わせて運用することを推奨しています。
医療クラークが代行すると、医師が直接電子カルテを入力する作業はほとんどなくなります。また、必要に応じてメモを手書きしその内容を電子カルテに反映してもらうという運用も可能です。そのため、医師は過去カルテや検査結果を閲覧する程度となり、患者の方を向いた診療が可能です。また診察に集中でき、より多くの患者への対応が可能になるというメリットもあります。電子カルテの導入をためらう医師は、こうした運用例を踏まえた上であらためて検討されてはいかがでしょうか。
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