携帯電話やスマートフォンといった汎用的なモバイル端末が医療機関で導入されつつある。専用端末ではない機器が利用される現状を踏まえ、医療分野におけるIT利活用の変化を考察してみる。
メディアが「医療の現場におけるモバイル端末活用事例」を取り上げる機会が多くなってきた。例えば、MRが営業用ツールとしてiPadなどのモバイル端末を常備したり、手術室で携帯電話やiPhoneを用いてCT・MRIの画像を参照したりするなど、さまざまな活用がなされている様子だ。
エムスリー、iPadを全国300施設の医療機関へ無償貸し出し(TechTargetジャパン)
緊急時の医用画像をauケータイで――KDDI研の「MobileMIMAS」(ITmedia プロフェッショナル モバイル)
緊急時の医用画像をiPhoneで――救急医療の現場で活用する音羽病院(ITmedia プロフェッショナル モバイル)
“医療分野におけるモバイル端末の活用”という発想自体は、目新しいものではない。患者が医療行為を必要とする状況は、時間や場所に関係なく起こり得る。医療現場では「医師が適切な意思決定を行うために必要な情報の参照や入力が、“いつでもどこでも”可能な環境」が求められてきた。そのため、患者の側で、あるいは医師が病院外にいるときでも使える携帯型のコンピュータ機器を活用したいというニーズは以前から存在していた。
例えば、オーダリングシステムが世に出回り始めた時期には、初期の医療用PDA(※)を採用する医療機関もあった。しかし、当時の端末は、看護師の手にフィットしない大きさや重さの機種が多かった。そのため、モバイル端末に魅力を感じつつも、看護師がノートPCをワゴンに乗せて病棟を回るという運用を選択した病院も多く、その状況は長い間変わることはなかった。
※PDA:Personal Digital Assistant(個人用携帯情報端末)。
スマートフォンや電子書籍などで話題を集めているモバイル端末は、これまでの端末と比べると、技術的な進歩や利用形態の変化などが見られる。医療分野での活用は今後さらに拡大することだろう。今回は、医療分野におけるモバイル端末の活用がもたらす価値を考えてみる。
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