SMBが検討すべきWindows Server 2003移行のポイント【第1回】
「Windows Server 2003」移行であらためて考えたい“サーバ仮想化”
2015年7月に延長サポートが終了する「Windows Server 2003」。サーバの刷新は大きな負担であることは確かだが、業務システムの課題を改善するための良い機会でもある。中堅・中小企業(SMB)が知っておくべきポイントを解説する。
既に読者の多くがご存じのように、サーバOS「Windows Server 2003」の延長サポートが2015年7月に終了する。中堅・中小企業にとってはクライアントOS「Windows XP」のサポート終了に続く大きな節目となるだろう。サーバの入れ替えは大きな負担であると同時に、これまで抱えていた業務システムの課題を改善するための良い機会でもある。
そこで、本連載ではWindows Server 2003のサポート終了対策を通じ、少しでも多くのメリットを得るために知っておくべきポイントを全3回にわたって解説していく。本連載では年商5億円以上100億円未満の中堅・中小企業を主な対象としている。
移行は順調に進んでいるが、その中身に注意
まず、Windows Server 2003からの移行状況について確認しておこう。サポート終了からちょうど1年前に当たる2014年7月の時点では、同OSを利用している年商5億円以上100億円未満の中堅・中小企業のうち、約4割が「既に移行を完了している」と回答している。Windows XPのサポート完全終了時と比べると、中堅・中小企業におけるWindows Server 2003からの移行は順調に進んでいるといってよいだろう。
ここで留意すべきなのは移行の具体的な“中身”である。中堅・中小企業においても、Windows Server 2003のサポート終了を契機にクラウドなどへの移行が進むのだろうか? その答えが以下のグラフ(図1)である。Windows Server 2003からの移行に取り組む年商5億円以上100億円未満の中堅・中小企業に対して、「移行先としてどのようなシステム形態を選ぶか?」を尋ねたものだ。
「(仮想化なし)」を含む選択肢は従来と同様に物理サーバ(ハードウェアとしてのサーバ筐体)にWindowsサーバOSをインストールして稼働させる形態を指す。一方、「(仮想化あり)」を含む選択肢は物理サーバに「VMware ESX」や「Hyper-V」などによるサーバ仮想化環境を構築し、その上でWindows Serverを稼働させる形態を指す。
まず、社内設置(オンプレミス)かクラウドかに関係なく、「Windows以外のサーバOS」を選ぶ割合は低いことが分かる。Windows Serverで稼働する業務システムを継続して利用するケースが多いことからも、当然の結果といえるだろう。
では、クラウドはどうだろうか? 「新しいWindowsサーバOSが稼働するクラウドサービスへ移行する」の回答割合は14.2%にとどまっている。Windows Server 2003のサポート終了を契機に“サーバを資産として持たない”ことを検討してみる価値は十分ある。だが、そこまで踏み切れる中堅・中小企業はまだ少ないのが実情だ。グラフが示すように、年商5億円以上100億円未満の中堅・中小企業の大半は「新しいWindowsサーバOSが稼働する社内設置サーバへ移行する」といった従来と同じ設置形態を選択している。
だが、注目すべきなのは「仮想化なし」と「仮想化あり」の割合はほぼ同じであり、むしろ「仮想化あり」の方が若干多くなっている点だ。つまり、中堅・中小企業においても単なるサーバの入れ替えではなく、「サーバ仮想化活用を伴ったサーバ刷新」に取り組むケースが増えていることになる。この後に述べるように、Windows Server 2003からの移行が完了しているかどうかに関係なく、サーバ仮想化をあらためて検討してみる価値がある。
サーバ仮想化がサポート終了時にもたらすメリット
とはいえ、「サーバ仮想化は大企業が物理サーバの台数を減らすために活用するもので、台数の少ない中堅・中小企業には不要ではないか?」と考える読者もいるかもしれない。だが、サーバ仮想化がもたらすメリットは物理サーバ台数の削減だけではない。
サーバ仮想化とは、OSや業務システムを含むソフトウェア環境を「仮想サーバイメージ」という一種のファイルにまとめ、あたかもファイルをコピーするかのように物理サーバ間での移動や複製を可能にするものだ。つまり、物理サーバとソフトウェア環境(OSや業務システム)を切り離す技術といえる。この特徴を生かすことで、中堅・中小企業がWindows Server 2003からの移行に取り組む際にも大きなメリットを得ることができる。
例えば、現時点でWindows Server 2003で稼働する業務システム(以下では、これを「Windows Server 2003環境」と略記する)が社内に残っているとしよう。サーバ仮想化関連ツールの中には、従来の物理サーバ環境からOSや業務システムといったソフトウェア環境を抜き出して「仮想サーバイメージ」を作成できるものがある。これを利用すると、Windows Server 2003環境と物理サーバを切り離し、仮想サーバイメージを自由に移動させることができるようになる。少なくとも、「古くなったハードウェアの故障によるリスク」を回避することができるわけだ。
さらに、クラウドサービスの多くは仮想サーバイメージとなったシステム環境をそのまま稼働させることができる。万が一、サポート期限に間に合わなかった場合には、クラウドサービス事業者が提供する高セキュリティのデータセンター環境内で仮運用するといった対処方法もあるだろう(ただし、これはあくまで緊急時の対処方法であり、長期間の運用は避けるべきであることは言うまでもない)。このようにWindows Server 2003環境を仮想サーバイメージにしておくことによってサポート終了対策における選択肢が大きく広がってくるわけだ(注)。
注:ストレージに大量のデータが保存されている場合には、仮想サーバイメージに全てのデータを包含することができないため、さらに高度な手法が必要となるが、同様にWindows Server 2003環境を移動させることは可能である。
また、既に移行を終えている中堅・中小企業もサーバ仮想化の活用を検討する価値がある。今回移行した新しいOSが「Windows Server 2008/2008 R2」であれ、「Windows Server 2012/2012 R2」であれ、これらのOSも数年後にはサポート終了を迎える。システムを移行したばかりの身軽な状態のうちに仮想サーバイメージにしておけば、次回のサポート終了時には上記に述べたメリットを難なく享受することができる。
仮想サーバイメージの状態を作っておけば、「新たな業務システムの試験環境を構築したいが、物理サーバを購入する予算はない」といった際も、一時的に複数のシステムを1台の物理サーバに同居させることでカバーできる。サポート終了時だけではないさまざまなメリットを享受することができるわけだ。サーバ仮想化がもたらすメリットを整理すると下図のようになる(図2)。中堅・中小企業がWindows Server 2003からの移行に取り組む際は、同時にサーバ仮想化の活用を検討してみるとよいだろう。
次回は、Windows Server 2003から移行するための計画立案や作業について取り上げる。
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SMBが検討すべきWindows Server 2003移行のポイント
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