Windows XP&Windows Server 2003移行の「い・ろ・は」【第2回】
今やらないと後で大変 Windows Server 2003からのロール(役割)移行
Windows Serverはさまざまな役割と機能を提供します。今回は、主要な役割や機能をWindows Server 2003からWindows Server 2012 R2に移行する解決策やヒントを紹介します。
これまでの連載
前回説明した通り、「Windows Server 2003」または「Windows Server 2003 R2」(以下、Windows Server 2003/2003 R2)から、最新の「Windows Server 2012 R2」にインプレースアップグレードすることはできません。Windows Server 2003/2003 R2を実行するサーバでは、Windows Server 2012 R2のインストーラ(Setup.exe)を開始することさえできません。
しかし、Windows Server 2012 R2は、別々のサーバを対象に、Windows Server 2003からの移行を支援するツールや機能を標準提供しています。「Windows Server 2008 R2」までは「Windows 2000 Server」に対して同様の対応をしていました。そして、「Windows Server 2000 Server」からの移行は、Windows 2000 Serverの製品サポート終了後にリリースした「Windows Server 2012」からは考慮されなくなりました。
このことから容易に想像できるように、Windows Serverの次のバージョンでは、2015年7月に製品サポートが終了するWindows Server 2003/2003 R2からの移行は考慮しなくなるでしょう。Windows Server 2012 R2は移行機能の提供だけでなく、その機能の動作サポートの面でも、Windows Server 2003/2003 R2からの移行をサポートする最後のバージョンになるはずです。
Windows Server 2003から移行可能なサーバの役割
Windows Serverはさまざまな役割と機能を搭載しており、必要な役割や機能をインストールして使用します。主要な役割や機能については、Windows Server 2003以降のサーバからWindows Server 2012 R2の新しいサーバに移行することができます。移行の手順は役割や機能によってさまざまであり、Windows Server 2012 R2が提供する「Windows Server移行ツール」だけでできるものや、追加のマニュアル操作を必要とするものがあります。
Windows Server 2003/2003 R2に限定すると、次のサーバ設定および役割と機能を移行することが可能です。
- ローカルユーザー、ローカルグループ、IP構成
- ファイルサービス
- DHCPサーバ
- インターネット認証サービス(IAS)
※ネットワークポリシーサーバ(NPS)に移行 - 印刷とドキュメントサービス
- ルーティングとリモートアクセスサービス(RRAS)
- 証明書サービス
※Active Direcroty証明書サービス(AD CS)に移行 - Windows Server Update Services(WSUS) 3.0 SP2
なお、「Active Directoryフェデレーションサービス」(ADFS 1.0)、「正常性登録機関(HRA)」「クラスタサービス」「ターミナルサービス」を、Windows Server 2003 R2以前からWindows Server 2012 R2に移行することはできません。
例えば、ファイルサービスを移行する場合、Windows Server移行ツールを使用して移行元サーバから移行先サーバに、共有設定、アクセス許可およびユーザーデータをネットワーク経由で暗号化して転送することができます。Windows Server移行ツールは、「Windows PowerShell」ベースのツール(「Send-SmigServerData」「Recieve-SmigServerData」「Export-SmigServerSetting」「Import-SmgiServerSetting」など)であり、Windows PowerShellによる管理に不慣れな場合は、難しそうに感じるかもしれません。しかし、ファイルサーバの場合、移行元と移行先のそれぞれのサーバで1行のコマンドラインを実行するだけで移行を開始できるので安心してほしい。
「SmigDeploy」コマンドでWindows Server 2003/2003 R2対応の移行ツールを準備できるのは(/os WS03オプションを使用)、Windows Server 2012 R2のWindows Server移行ツールが最後になる可能性があることには留意したい。
機能レベル「Windows Server 2003」のサポートも最後
Windows Server 2012 R2の「Active Directoryドメインサービス」は、フォレストおよびドメインの機能レベル「Windows Server 2003」をサポートします。機能レベルとはフォレストおよびドメインでサポートされるドメインコントローラーのWindows Serverバージョンの最小要件とActive Directoryの機能を規定するものです。
Windows Server 2012 R2は、機能レベル「Windows Server 2003」のフォレストおよびドメインを新規作成することはできません。しかし、既存の機能レベル「Windows Server 2003」のフォレストおよびドメインに追加するドメインコントローラーとしてセットアップすることは可能です。そのため、次の手順で最新のActive Directoryにスムーズに移行することができます。
- 既存のフォレスト/ドメインにWindows Server 2012 R2のドメインコントローラーを追加
- 旧バージョンのドメインコントローラーからFSMO操作マスターの役割(ドメインまたはフォレストごとに1台ずつ、5種類の役割がある)を新しいドメインコントローラーに変更(転送)
- ドメインメンバーのDNS設定を、新しいドメインコントローラーを参照するように変更
- 旧バージョンのドメインコントローラーを全てメンバーサーバに降格
- フォレスト/ドメイン内の全てのドメインコントローラーがWindows Server 2012 R2だけになったら、ドメインの機能レベルとフォレストの機能レベルをそれぞれWindows Server 2012 R2に昇格
機能レベル「Windows Server 2003」は、Windows Server 2012 R2で推奨されなくなりました。推奨されなくなった機能は、通常、次のバージョンで削除されます。つまり、この機会を逃してしまうと、中間バージョンを挟んで移行することになるため、追加の時間と手間がかかることになります。
ADMTは使える? それとも、もう使えない?
ドメインの統合や再編を伴うActive Directoryの移行には、「Active Directory移行ツール」(ADMT)を利用できます。ADMTを利用すると、異なるフォレストに属するドメイン間、同じフォレストの異なるドメイン間で、ユーザー、グループ、サービスアカウント、コンピュータオブジェクトを移行できます。
しかし、現在、最新のADMT v3.2は、Windows Server 2008 R2でしか動作しません。1つ前のADMT v3.1は、Windows Server 2008専用です。ADMTのバージョンチェックはプログラムにハードコードされているため、この便利なツールをWindows Server 2012 R2で実行することはできません。この制約を回避する方法はあります。Windows Server 2008 R2をインストールしたメンバーサーバを用意し、Windows Server 2008 R2上でAMDT v3.2を実行して、Windows Server 2003ベースのフォレスト/ドメインからWindows Server 2012 R2ベースのフォレスト/ドメイン(ただし、機能レベルはWindows Server 2008 R2でセットアップすること)に移行すればよいのです。
なお、こちらのブログによると、最新のWindows Serverに対応したADMTが2014年第1四半期にリリースされる予定だそうです。この更新バージョンが、Windows Server 2003 R2以前のドメインをサポートするかどうかは不明です。
Virtual ServerをHyper-Vに移行できる?
Windows Server 2003/2003 R2のときに仮想化を導入した場合は、「Virtual Server 2005 R2」が動いているかもしれません。Virtual Server 2005 R2の製品サポートは、Windows Server 2003/2003 R2より半年早い、2015年1月14日(日本時間)に終了します。
Virtual ServerはHyper-Vとは異なり、非ハイパーバイザー型の仮想環境であり、アーキテクチャが全く異なります。しかしながら、Virtual Serverの仮想HDD形式(VHD)は、Windows Server 2012 R2 Hyper-Vと互換性があります。そのため、仮想HDD(VHD)のコピーをHyper-Vに新規作成した仮想マシンのIDEコントローラーに接続して起動し、ゲストOSのバーチャルマシン追加機能をHyper-V統合サービスに入れ替えれば移行できるはずです。
なお、Virtual Serverの仮想マシンをHyper-Vに移行するには、Hyper-VがサポートするゲストOSであることが重要です。Windowsの場合は、Windows Server 2003 SP2以降、Windows XP SP3以降です。それ以前のWindows 2000やWindows NTの仮想マシンは動かないわけではありませんが、製品サポートが既に終了しているだけでなく、Hyper-V統合サービスも提供されません。Virtual Serverは幾つかのLinuxディストリビューションもゲストOSとして正式にサポートし、「Virtual Machine Additions for Linux」を提供しました。しかし、Virtual Serverがサポート対象とする古いLinuxは、Hyper-Vのサポート対象のリストには存在せず、「Linux Integration Services for Hyper-V」の提供もありません。
ちなみに、Virtual Machine Manager 2008 R2まではVirtual ServerとHyper-Vの両方を仮想化プラットフォームとしてサポートしており、Virtual ServerからHyper-Vの仮想化ホストに仮想マシンを移動するだけで、仮想マシンをV2V変換することができました。Virtual Machine ManagerにおけるVirtual Serverのサポートは、残念ながら「System Center 2012 Virtual Machine Manager」で削除されました。早めに対応していれば、スムーズな移行を支援するソリューションが提供されていたのです。
次回は、「System Center 2012 R2 Virtual Machine Manager」から削除されてしまった「P2V(物理―仮想)変換」機能に代わる、純正およびサードパーティーのP2V変換ツールについて説明します。
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