もはやライバルはiPadではない
徹底レビュー:異彩タブレット「Surface Pro 2」の斜め上への進化
Microsoftの「Surface Pro 2」はデザイン性に優れた強力なタブレットである。強力で持ち運びに便利なマシンを求めているユーザーは当然一見の価値はあるが、そうでなければその価格の高さから他のマシンを検討すべきだろう。
米Microsoftの「Surface Pro 2」はタブレットの形をしたノートPCといえる。つまり、ノートPC向けの米Intel製の「Intel Core」プロセッサ(第4世代、Haswell世代)を搭載するなど、ほぼノートPCに匹敵するスペックを持ち、OSには機能を抑えた「Windows RT 8.1」ではなく、完全版の「Windows 8.1」(正確には「Windows 8.1 Pro」)を装備している。最低900ドル(9万9800円)という価格設定も、「Google Nexus 7」タブレットのベースモデルのほぼ4倍という高価格になっている(参考:価格以外は評判がいい「Surface Pro 2」、9万9800円にユーザーの反応は)。
その強力なスペックの一方で、10.6インチのディスプレーを備え、極めて薄型軽量でもある。キーボードを接続でき、スタンドアロンのタブレットとして使える。手書きでメモを取ったり簡単な図を描いたりするのに便利な筆圧対応のペンも完備している。
2012年にリリースされた「Surface Pro」タブレットもノートPCの機能と、ペンや完全版のWindowsを装備していた。また、多くのメーカーが独自性のある革新的なハイブリッドノートPCを今も提供している。だが、モバイルOSを備えたARMデバイスが優位に立っている今日の厳しいタブレット市場の中で、Surface Pro 2はやや異彩を放っている。
Surface 2のレビューで、米TechTargetは「Surface 2の比較対象にはWindowsノートPCもiPadのようなARMベースのデバイスもあるので、正しくレビューすることは難しい。場合によっては両者よりも強力だが、顕著な弱点もある」と述べた(参考:徹底レビュー: iPadより仕事がさくさく進む? 「Surface 2」はOfficeもUSBも使える)。
同様のことはSurface Pro 2にも当てはまる。処理能力や実現可能な機能については他のタブレットの追随を許さず、実用性ではなくデザインによって価格が決まり、価値の割合が低く抑えられる高級Ultrabookに匹敵する。
構造とデザイン
Surface Pro 2は優れたデザインと質の高い構造を兼ね備えたタブレットであることは間違いない。「Surface 2」のレビューでも同じことを述べたが、両機種はひと目では区別できないため、構造やデザインで優れている点はどちらにも当てはまるといえる。
Surface Pro 2の寸法は275(幅)×173(奥行き)×13.5(厚さ)ミリ、重量は約907グラムで、Surface 2と比べてどちらも若干大きく、重くなっている。また、キックスタンドの継ぎ目から上部にかけての上半分の外周に通気孔があり、これはIntel Coreプロセッサを備えたデバイスとしては感心するほど目立たなくなっている。
ディスプレーとスピーカー
Surface Pro 2は基本的に以前の機種と同じ、1920×1080ドット、208ppiの解像度のディスプレーを採用している。視野角は広く、色も明るく鮮やかである。光学接合によってぎらつきが最小限に抑えられ、タイル状のインタフェースにもアプリが明瞭に表示される。
ただ、ディスプレーサイズの限界は明らかで、あらゆるコンテンツのサイズに不自然さを感じる。つまり、タッチするには小さ過ぎるように思える。ナビゲーションにはペンやマウスが不可欠だが、満足のいく操作性を得るには調整やズームを行って妥当な比率にする必要がある。
スピーカーは通気孔の背後に隠されていて、予想通り可もなく不可もない。低音部に制限があり、音量も極めて抑えられている。静かなオフィスであれば聞き取れるが、周囲の雑音にかき消されることがあるだろう。
キックスタンド
Surface Pro 2、Surface 2共にキックスタンドを備えている。似た形状のタブレットとしてはソニーの「VAIO Tap 11」しか思い浮かばないので、このキックスタンドがSurfaceを特徴付けているといえる。
Surface 2と同様、Surface Pro 2のキックスタンドは、机上で使用する場合と、ひざの上に乗せて使用する場合の2つの利用法が考慮され、2段階の角度で開くようになっている。デバイスをひざの上に乗せて使用するときに専用のキックスタンドが必要とは思えないが、便利であることは否めない。どちらの角度でも、キックスタンドはSurface Pro 2を安定させる支えとなる。また、頑丈に作られていて壊れずに長く使えそうだ。
ペン
Surface Pro 2はワコム製のスタイラスペンを標準装備している。1024段階の筆圧検知方式で機能性が高い。Windows 8.1をペンでナビゲートするのはやや難しいが、手書きのメモを取ったり図形を描いたりするのに不満はなく、恐らくほとんどのユーザーもそう感じるだろう。
ペンにはSurface Pro 2の充電ケーブルと同じマグネット式の着脱部があり、本体の充電ケーブルポートに装着しておける。タブレットを充電しているときにペンの置き場所に困るので完全な解決策とはいえないが、装着する場所やオプションがないよりはましである。
ボタンとポート
ポートと入力には、フルサイズのUSB 3.0、microSDカードリーダー、3.5ミリのオーディオジャック、マグネット式の充電ポート、Mini DisplayPortなどがある。他のタブレットと比べても優れたポート選択である。フルサイズのUSB 3.0入力は特に使い勝手がよく、外部記憶装置、キーボード、マウス、ゲームパッドなどの周辺機器を利用できる。
ただし、薄型UltrabookなどのノートPCと比べると、Surface Pro 2のポート数は少ない。具体的には、外部モニターをサポートするときにMini DisplayPortが1つというのは非常に制限を感じる(ただ、Surface Pro 2がワイヤレスディスプレーもサポートしていることは示しておくべきだろう)。
米Apple製のタブレットを除くほとんどのARMタブレットがMicro USBを利用しているため、Surface 2のレビューでは専用の充電ポートについて不満を述べたが、今回はこの不満を棚上げにする。同じメーカーが製造した場合を除き、Coreプロセッサを使用するデバイスが同じ充電器を共有できることはほとんどないためだ。
パフォーマンス
Surface Pro 2は第4世代Core i5プロセッサと米インテル製のHD 4400統合グラフィックスを搭載し、構成も幾つか用意されている。64Gバイトモデル(国内販売はなし)と128Gバイトモデルは4GバイトのRAMを搭載し、256Gバイトモデルと512Gバイトモデルは8GバイトのRAMを搭載している。
64Gバイトの記憶容量と4GバイトのRAMを装備したベースモデルのテストでは良い結果を得た。標準のベンチマークでは、多くの同様のCore i5デバイスに比べて若干高いパフォーマンスを記録。これはSurface Pro 2がMicrosoftの製品であることから、非の打ち所のないドライバサポートが行われているためと考えられる。
起動時間も高速で、マシンは常に10秒以内に素早く立ち上がる。とはいえ、起動時間が早いのはIntel Coreベースの大半のWindows 8ハードウェアに一貫した品質である。
Surface Pro 2の統合グラフィックスでは、高性能が求められる最新ゲームの処理はスムーズではないが、従来のゲームであれば問題なく実行できるパフォーマンスは備えている。
ベンチマーク
- wPrimeによるプロセッサの比較(スコアが低いほど、パフォーマンスが高い)
- PCMark 7は、システムパフォーマンス全体を計測する(スコアが高いほどパフォーマンスが高い)
- 3DMark 11はゲームにおけるグラフィックスカードの全体的なパフォーマンスを計測するベンチメーク(スコアが高いほどパフォーマンスが高い)
カメラ
Surface Pro 2は初代Surface Proと同じ720pのカメラをフロントとリアに装備している。Surface Pro 2のカメラ性能は優れているとは言い難いが、ユーザーは通常カメラの品質でデバイスを購入することはない。この傾向はMicrosoftにプラスに働くだろう。カメラはSkypeのクイックチャットではそれなりに役に立つがせいぜいその程度だろう。
バッテリー
初代Surface Proのバッテリー寿命はひどかった。普通の使い方でも1回の充電で4時間以上持たせるのに苦労したものだ。Surface Pro 2のバッテリーは初代のProよりもはるかに長持ちするが、非常に厳しいPowermarkのBalancedテストではスペックやサイズが同程度のデバイスよりもバッテリーの持続時間が短く、3時間7分しか持たなかった。通常の使い方でも約6時間しか持たない計算だ。
ユーザーは処理能力とバッテリー寿命のどちらかを選ぶしかない。Surface 2やiPad AirのようなARMベースのタブレットと比べれば、バッテリー寿命は極端に短くなるが、Surface Pro 2のコンピューティング能力は魅力的だ。持続時間の課題を改善するため、Microsoftはタッチカバー2にバッテリーパックを付けた「Power Cover」を2014年に200ドルで発売することを予定している。
アクセサリ
Surface Pro 2はMicrosoft製キーボードカバーがなければ不完全に思える。もちろん、フルサイズのUSB入力があるので、従来のUSBキーボードをつないでも使える。だが、タブレットを横置きにした状態で底辺にマグネットでQWERTYカバーを装着することでこの製品は完成すると考えるのが妥当だ。
「タッチカバー」と「タッチカバー2」は筆圧対応のキーボードで、それぞれ80ドル(7980円)と120ドル(1万1980円)という控えめな価格設定になっている。タッチカバーは、独立したキーのないキーボードである。初代のタッチカバーはごく基本的なものだったが、タッチカバー2はバックライトが付き、筆圧検知段階も増えている。さらに薄くもなっている。
タイプカバー2は130ドル(1万2980円)だが、タッチカバー2よりも10ドル(1000円)余分に払うだけの価値はある。これは実際のキーボードを備え、数ミリメートルのキーストロークがあり、極めて静かである。タッチカバー2は近接検知センサーを備えているので、使用していないときはバックライトが消え、指が近づくとバックライトが点く。
その他の注目すべきアクセサリには、前述のPower Cover(基本的にはバッテリーパック付きのタイプカバー)、Surface Music Kit(仮想DJミキシングステーション兼用)、200ドル(1万9800円)のドッキングステーション(USB 3.0×1ポート、USB 2.0×3ポート、Mini DisplayPort、オーディオポート、イーサネットジャックを装備)などがある。
結論
Surface Pro 2は一級品のデバイスである。モビリティ、処理能力、デザインの組み合わせは同サイズ、同スペックの最高級Ultrabookのパフォーマンスに匹敵するか、わずかに上回る場合さえある。残念ながら、Ultrabookと同様、Surface Pro 2も高価で、特に第2世代のタイプカバーやタッチカバーと組み合わせたときにそれが顕著になる。ユーザーはそのスタイルと追随を許さないデザインに割増料金を支払うことになる。
このデバイスを最大限に活用し、その機能を利用できるパワーユーザーやビジネスユーザーは多いが、扱いにくいデスクトップの操作性が問題にならないことを確認するために、まずはSurface Pro 2を試してみることだ。1000ドル(10万円)以上の投資になるので自分で確かめてみてほしい。
パワーユーザーでもエキスパートでもなければ、より低価格のiPadタブレットやAndroidタブレット、あるいはSurface 2の方を推奨する。Surface 2は半額程度の価格で同等の機能を数多く提供し、堅牢なOfficeアプリも標準装備している。
Microsoft Surface Pro 2はデザイン性に優れた強力なタブレットである。強力で持ち運びに便利なマシンを求めているユーザーは当然一見の価値はあるが、そうでなければその価格の高さから他のマシンを検討すべきだろう。
長所
- すばらしいデザインと形状
- 高精細のディスプレー
- 使いやすいペン
- クラス最高のパフォーマンス
短所
- 高価格
- キーボードカバーが必需品
- デスクトップとしてはやや扱いにくい
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー