物理キーボードにデジタイザ、プロ向けアプリなど
「iPad Pro」は生まれるか? 求められるプロ向けタブレット
タブレットをPCの代わりとする人が増えている。iPadは非常に生産性の高いデバイスになり得るが、一方でまだ改善の余地が残されているという。果たしてiPadが業務でより一層受け入れられるために必要なものとは?
米Appleの最高経営責任者(CEO)であるティム・クック氏は先日、「競合企業らは、タブレットをPCにしようとしている」と語り、批判的な態度を示した。だが実際は、非常に多くの人々がタブレットをPCとして既に利用している。クック氏はその事実を理解すべきであり、この流れに逆らうべきではない。
ジョブズ氏が語った「われわれはポストPC時代に生きている」
われわれはポストPC時代に生きている――これは、Apple創業者である故スティーブ・ジョブズ氏の有名な発言だ。それが真実であるなら、スマートデバイスはPCと同等の生産性がなければならない。9.7インチの「iPad」は非常に生産性の高いデバイスになり得るが、まだ改善の余地が残されている。Appleもそろそろそれを受け入れてもいい時期だろう。
物理キーボード
Appleの新製品「iPad Air」とともに、脱着式キーボードも発表されるのではないかと一部でうわさされていた。この臆測は外れ、日常的にキーボードを利用するiPadユーザーを失望させた。
社内メモや長編小説など、さまざまな執筆用途にiPadを利用しているユーザーがいること、そして、同端末を業務でフル活用し得ることを、Appleが認識し、理解しているのではないか――こういう期待への表れだったのだろう。
残念ながら、今回はAppleからiPad用のキーボードが発表されることはなかったが、iPadユーザーにはまだ選択肢が残されている。とても良質なiPad用キーボードが、米Belkinや米Logitech、米ZAGGなどのサードパーティー企業から提供されている。
デジタイザ
驚くほど素晴らしいアート作品がiPadを使って制作されている。デジタイザが使えないという困難な状況であるにもかかわらずだ。つまり、iPadではタッチの強弱を感知できないのだ。これは、アーティストや写真家にとって大きな障害になるだけでなく、アイデアをiPadで描きまとめたい人にとっても不便だ。
競合製品の中には、ワコム製のデジタイザを搭載したものもある。画像の制作・編集用ツールとしてiPadをアピールしたいのであれば、Appleも何かしら同じような対応が必要となるだろう。
しかしながら、これは端末価格の引き上げにつながるかもしれない。あるいは、よりハイエンド向けに「iPad Pro」といったラインアップを用意する選択肢もあるはずだ。11.6インチディスプレーを搭載し、価格は800ドル程度となるだろう。
プロフェッショナル品質のソフトウェア
Appleの「Pages」アプリは、iPad用のワードプロセッサとしてよくできているが、「Microsoft Word」と比べれば物足りない。「Adobe Photoshop Touch」は写真を調整するにはある程度役に立つかもしれないが、デスクトップ版Photoshopのバージョン1.0といい勝負である。
Appleは、新型iPadに64ビットプロセッサを搭載し、大きな1歩を踏み出した。iPadは数年前とは違い、プロフェッショナル用途のソフトウェアにも十分に耐え得る性能を有している。
その一方で、開発者らはタブレット向けアプリの開発に二の足を踏んでいる。インタフェースを根本から再設計する必要があるからだ。現在、デスクトップ向けアプリケーションの多くは、マウスポインタによる操作を想定して設計されている。ウィンドウにちりばめられた小型のボタンは、指先を使った操作には不向きである。
そうした開発者らも、これ以上の先延ばしは難しくなってきている。米Microsoftが「Surface」タブレット向けにプロフェッショナル向けアプリケーションを作るよう開発者らにプレッシャーをかけ始めているためだ。ただ、新しいUIを準備できれば、iOS版(そしてAndroid版)の開発も容易なはずだ。
ユーザーも大きな役割を担うこととなる。高機能なiOS向けアプリを開発する際のネックは、一般的なソフトウェア価格の低さにある。Officeのフルバージョンを移植しても、それが5ドル(あるいは10ドル、20ドル)でしか販売できないのであれば、Microsoftにとって非現実的な話だ。Windows版Officeは、最も低価格のエディションでも約100ドルであり、iPad版も機能が同等であれば、おおよそ同じ価格である必要がある。
プロフェッショナル用途のソフトウェアがApp Storeで当り前に販売されるようになったとしても、ローコスト版が姿を消すということではない。機能限定版を希望するユーザー向けに継続的に提供されるだろう。
“Think Different”が求められるApple
タブレットがノートPCよりも人気になるのは必然である。ノートPCがデスクトップPCの需要を奪ったのと同じ理屈だ――つまり、携帯性と柔軟性である。しかしながら、タブレットはまだ揺籃期にあり、実際的にノートPCの代替となるにはまだ道のりが長い。
タブレットは、ビジネス機器としてより便利で実行力のあるツールになるべく進化を続けている。この市場で成功を収め続けたいのであれば、Appleの幹部らは競合を非難する発言を慎み、同社自身がこの進化を後押しする必要があるだろう。
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