Windows XP&Windows Server 2003移行の「い・ろ・は」【第1回】
Windows XP/Server 2003をすんなり移行できない「不都合な真実」
この連載では、製品サポート終了のタイムリミットが迫る「Windows XP」や「Windows Server 2003」が稼働するシステムの更改を今日まで引き伸ばしてしまった企業向けに、解決策やヒントを提供します。
サポート終了後も使えるけど、いろいろと高リスク
2014年4月9日(日本時間)、ついに「Windows XP」と「Office 2003」の製品サポートが終了します。また2015年7月15日(日本時間)には「Windows Server 2003」および「Windows Server 2003 R2」の製品サポート終了が控えています。これらの環境を現役で利用しているという企業は、急いで対処する必要がありますが、これから移行をスタートするのでは、もう間に合わないかもしれません。状況によっては、恐らく間に合わないでしょう。しかし、間に合わないからといって放置することはできません。
Microsoftは企業向け製品に対して製品発売から最低5年のメインストリームサポートと、その後の最低5年の延長サポートの、合計最低10年の製品サポートを提供しています。同社のサポートポリシーは2002年10月に最初に発表され、2004年6月の改定で最低10年になりました。もともとはコンシューマー向け製品については延長サポートを提供しないというポリシーでしたが、2007年1月にWindows XP Home Editionに対してもProfessional Editionと同じ延長サポートを提供するように変更しました。その後、このポリシーの変更は「Windows Vista」以降のコンシューマー向けエディションにも適用しました。Windows XPの発売は2001年11月です。Windows XPは、実に12年以上の長期サポートが提供され、間もなくその日を迎えることになります。
他の多くのメディアでも記事になっているように、Windows XPやOffice 2003の製品サポート終了の最大の影響は、今後、セキュリティ更新プログラムが提供されなくなることです。Windows XPやOffice 2003を利用中の企業の方は、2013年12月にWindows向けに提供されたセキュリティ更新プログラムのリストを確認してみてください。Windows XPやOffice 2003に対しても、最新のWindowsやOfficeと同数のセキュリティ更新プログラムが提供されています。しかも、Windows向けの6つのセキュリティ更新プログラムのうち、4つは最新のWindowsにも共通で影響するものです。Windows XPおよびOffice 2003に対するセキュリティ更新プログラムの提供は2014年4月が最後になりますが、その後も最新の製品に影響するセキュリティ問題の多くがWindows XPやOffice 2003にも影響することは容易に想像できます。しかし、2014年5月以降は影響するかどうかさえ、分からなくなってしまいます。
サポートの終了した製品を使い続けると、時間の経過とともにセキュリティリスクが増大していきます。マルウェア対策ソフトウェアを導入してあれば、セキュリティリスクを緩和できるでしょうが、Microsoftのサポート終了に合わせて、あるいは一定の時間を置いて、マルウェア対策ソフトウェアもサポートを終了していくでしょう。Windows Server 2003はサポート終了までにさらに1年以上の猶予がありますが、サーバの移行は簡単にはいかないはずで、猶予というにはもう短すぎるかもしれません。
ところで、Windows XPやWindows Server 2003のユーザーの多くは、ここ数カ月、毎月のようにWindows Updateに悩まされてきたようです。Windows Updateエージェントに問題があって、更新プログラムの検索中にCPU使用率が100%になり、検索が完了してしまう問題です。サポート終了に1つ朗報があるとすれば、Windows XPでは2014年5月以降はこのような問題に悩まされることはなくなります。新しい更新プログラムが提供されないのですから、Windows Updateの自動更新をオフにすれば問題は解決です。もちろん、これは冗談であり、次の定例更新の辺りに根本的な解決策が提供されるようです。何が言いたいのかというと、2014年5月以降、何らかの理由でCPU使用率が100%になり、Windows XPが使い物にならないくらい遅くなったとしても、公式な回避策や解決策は見込めないということです。
サポート終了は突然に出てきた話ではありません。Microsoftはこれまで移行のための十分な時間猶予と、さまざまな移行ツールや互換環境を提供してきました。しかし、タイムリミットが迫った今の時点では、取れる対策にも制約が出てきます。そんな不都合な現実を、幾つかピックアップしてみました。
最新OSのアップグレードパスにXP/2003はない
現在、Windowsの最新バージョンは、クライアントOSが「Windows 8.1」、サーバOSが「Windows Server 2012 R2」です。Windows XPのクライアントや、Windows Server 2003、Windows Server 2003 R2のサーバをこれらの最新バージョンに直接的にインプレースアップグレード(アップグレードインストール)することはできません。
32ビット版のWindows Server 2003およびWindows Server 2003 R2に対してアップグレードのサポートが提供されたのは、32ビット版のWindows Server 2008が最後です。アップグレード可能な複数のバージョンを経由して段階的にアップグレードできるのではと考えるかもしれませんが、それはできません。Windows Server 2008 R2以降、サーバOSは64ビット環境に完全に移行し、32ビットOSは提供されなくなりました。32ビットから64ビットへのアーキテクチャの変更を伴うアップグレードはそもそもサポートされません。
Windows XPをアップグレードパスとしてサポートしたのはWindows Vistaが最後です。「Windows 8」まではWindows XPからのユーザーデータの移行についてはサポートされていました。Windows 8.1では、ユーザーデータの移行についてもサポートされなくなりました。理論上はWindows Vista、「Windows 7」、Windows 8を経由して段階的にアップグレードすることで、最新のWindows 8.1までアップグレードすることは可能です。しかし、アプリケーションの互換性に関してさまざまな問題が出てくるでしょう。もっと大きな問題は、ハードウェアスペックが足りなくなることです。Windows XPの最小システム要件は233MHzのCPU、64Mバイトのメモリ、1.5Gバイトの空きディスク領域です。これに対して、Windows 8.1(32ビット)の最小システムは1GHzのCPU、1Gバイトのメモリ、16Gバイトの空きディスク領域です。Designed for Windows XPロゴのシールが貼ってあるような古いPCでは、スペックの増強なしでWindows 8.1を動かすのは無理があるでしょう。
実は、Windows Vista以降はシステム要件に大きな差はありません。Windows VistaやWindows 7のプレインストールPC(Designed for Windows VistaまたはWindows 7ロゴのPC)をWindows XPにダウングレードして使用しているのであれば、Windows 8.1も動かせるはずです。
System CenterからはP2V移行ツールが消えた
老朽化した物理サーバのシステムをP2V(物理-仮想)変換で仮想化して、ハイパーバイザー上に移行するという手法は、ソフトウェアのライフサイクルをハードウェアのライフサイクル(故障やリース期限)から切り離す上で有効です。仮想化するとシステムのクローンを作成できるので、クローンを使用して移行を実施およびテストし、本番環境と入れ替えるということができます。
Microsoftは、「System Center Virtual Machine Manager」の機能の一部としてP2V変換機能を提供してきました。この機能を利用すると、[物理サーバ(P2V)変換]ウィザードまたはNew-SCP2Vコマンドレットを使用して、Windows Server 2003およびWindows XP以降の物理コンピュータをHyper-Vの仮想マシンに変換することができました。実は、最新の「System Center 2012 R2 Virtual Machine Manager」からはこの機能が削除されました。P2V機能を利用できたのは、「System Center 2012 SP1 Virtual Machine Manager」が最後です。
P2V変換の方法が全くなくなったわけではありません。幾つか方法がありますが、それはこの連載の別の回で説明します。
Windows 8/8.1でXPモードは使えない
MicrosoftはWindows 7の個人または企業ユーザーに対して、Windows XPの仮想マシンを利用した、以下のアプリケーション互換環境を提供していました。
- Windows XPモード
- Microsoft Enterprise Desktop Virtualization(MED-V)
- P2V Migration for Software Assurance
「Windows XPモード」は、Windows 7 Professional、UltimateおよびEnterpriseに無償提供される互換環境で、Windows XP Professional SP3の仮想マシンを追加ライセンスなしで利用可能にします。その実行環境である「Windows Virtual PC」は仮想マシン内のアプリケーションを仮想アプリケーションとしてWindows 7のデスクトップ上にシームレスに統合して実行できます。
MED-Vは、仮想マシンのカスタムイメージを企業内でクライアントに配布し、仮想アプリケーションをユーザーに提供する互換環境です。最後のP2V Migration for Software Assuranceは、Windows 7へのアップグレードやリプレースと同時に、既存のWindows XPの物理コンピュータを仮想化して、Windows 7のWindows Virtual PC環境に移行できるようにします。
これらのアプリケーション互換環境は、いずれもWindows 7(MED-VはWindows Vistaにも対応)に対して提供されるプログラムで、Windows 8向けには提供されませんし、提供される予定もありません。また、Windows XPモードに付属するWindows XP Professionalのイメージの使用権は、Windows 7 Professional、Enterprise、またはUltimateのライセンスに含まれるものであり(使用する仮想化テクノロジーは問いません)、Windows 8以降にアップグレードしたと同時に使用権は消滅します。
もちろん、Windows XPの移行先としてWindows 7は現実的な選択肢です。Windows 7の製品サポートの終了日(2020年1月)はWindows 8.1の終了日(2023年1月)と3年の違いしかありません。しかし、Windows XPのサポート終了が迫った今となっては、Windows XPを仮想化する方法でのアプリケーション互換環境は何の解決にもなりません。Windows XPを仮想化したとしても、サポート終了期限が延長されるわけではないからです。Windows XPモードのサポートも、Windows XPのサポート終了と同時に終了します。
Microsoft VDIからもXPのサポートは消えた
MicrosoftはWindows Server 2008 R2のリモートデスクトップサービス(RDS)に、VDI(仮想デスクトップインフラストラクチャ)の機能を統合しました。Microsoft VDIとも呼ばれるこのソリューションは、当初、Windows XPベースの仮想デスクトップでアプリケーション互換環境をユーザーに提供するという利用形態も想定されていました。
Windows Server 2012以降のMicrosoft VDIは、Windows XPをサポートしていません。Windows 8に対してWindows XPモードの後継が提供されないのと同様に、RDSにおいてもWindows XPのサポートが削除されたのです。
Windows Server 2012 R2のMicrosoft VDIでは、Windows 7 SP1、Windows 8、Windows 8.1の仮想デスクトップを自動プロビジョニングできます。Windows XPには対応していません。既存の仮想マシンから仮想デスクトップを作成することもできますが、接続要求を処理するリモートデスクトップ(RD)接続ブローカーはWindows XPへの接続を処理できません。
なお、Microsoft VDIの基盤である「Hyper-V」はWindows XPをゲストOSとしてサポートしているので、RD接続ブローカーを経由しない直接のリモートデスクトップ接続であれば、Windows XPの仮想デスクトップに接続することは可能です。ただし、Hyper-VのゲストOSとしてのWindows XPのサポートは、2014年4月に終了します。
Windows 2000のときの仮想パッチソリューションは今
Windowsのサポート終了の問題は、2010年7月のWindows 2000のサポート終了時にも大きく取り上げられました。当時はMicrosoft自身が同社の「Forefront Treat Management Gateway(TMG) 2010」の仮想パッチ機能を利用した、セキュリティ強化ソリューションを提案していました。この仮想パッチ機能は、Windowsのセキュリティ問題に対応した定義ファイルを使用して、ネットワーク攻撃から未対策のシステムを保護するというものでした。
Windows XPのサポート終了問題もこの方法で切り抜けたいと考えるかもしれません。残念ながら、この製品は2012年12月に既に販売を終了しており、後継製品の開発も行われないことが発表されています。そのため、新たに導入することはできません。既にForefront TMGを導入しているという場合は、販売終了後も製品サポートは提供されます。
それでも使い続けなければならない理由がある
このように過去には移行を支援するさまざまなツールやソリューションを利用できました。そのときに移行を開始しておけば、スムーズに移行できたことでしょう。例えば、仮想マシンが提供するWindows XPのアプリケーション互換環境でレガシーアプリケーションを継続使用しながら、新しいWindowsに対応した新しいシステムの開発を進められたかもしれません。
それができなかったのは、やはりコストの問題なのでしょう。Windows XPのクライアント上で、フロントエンドとしてOffice 2003アプリケーション(Access)を使用したカスタムプログラムを動かし、Windows Server 2003上で稼働する「SQL Server」データベースに接続する。それが基幹業務アプリケーションだとすると、簡単には移行できませんし、移行のコストも膨らみます。早い時期に導入したアプリケーションであれば、恐らくデータベースはSQL Server 2000でしょう。これも問題を大きくします。なぜなら、SQL Server 2000は2013年4月に既にサポートを終了しており、SQL Server 2012以降はSQL Server 2000のデータベースとの互換性を提供しません。時間が経過するほど、移行を困難にする厄介事が積み重なっていくのです。
次回は、Windows Server 2012 R2のツールや機能を使った、Windows Server 2003またはWindows Server 2003 R2からのロール(役割)の移行について説明していきます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Windows XP&Windows Server 2003移行の「い・ろ・は」
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー