【連載コラム】医療ITの現場から
医療クラーク運用を成功させるための5つの秘訣
医療クラークの運用に当たっては、電子カルテ入力がマスターできればよい訳ではない。運用を成功させるためのポイントを紹介しよう。
クラーク運用は難しいのでは?
前回記事「電子カルテのクラーク運用が“一石三鳥”になる理由」では、電子カルテの導入とクラーク運用を併用することで、医師の負担を軽減する仕組みを紹介しました。多くの診療所の院長が「クラーク」と聞くと、不安点としてすぐに頭に浮かぶのが「医師と同レベルで電子カルテ入力ができるのか」という問題です。
トレーニングをせずに、いきなり未経験のスタッフをクラークとして隣に座らせて「さあ、診療内容を入力してください」と言っても、これは無理な話です。結局自分が操作した方が早いと諦めてしまうこともあるでしょう。
クラーク運用に成功するためには、クラーク候補生に電子カルテの操作を完全にマスターしてもらうとともに、クラークの仕組みや医師のカルテスタイルの理解、医師と患者とのやりとりのヒアリング方法、カルテの作成法などのトレーニングを行う必要があります。そうした教育をしながら、少しずつクラーク運用を進めていくことになります。
誰がクラークの役割を担うのか?
クラーク運用に移行する際、まず考えなくてはならないのは「誰がクラークの役割を担うのか」という点です。それは、診療所の流れを十分に理解している受付スタッフを教育するのが近道です。クラークに向いているスタッフの条件としては、
- 診療および請求の流れを理解している
- クライアントPCがある程度使える(例:「Microsoft Word」が使える程度)
- 周囲への気配りができる
- 素直な性格である
――などが考えられます。受付スタッフが兼務して行うとよいことが分かるでしょう。
しかし、受付スタッフの人数が少なく、クラークに人員を回せない場合は新たに採用する必要があります。その際、医療事務としてではなく「医療秘書」として募集することをお勧めしています。医療事務と医療秘書とでは、入職に当たっての心構えが違います。例えば、企業で秘書経験のある方を採用できるかもしれません。この場合は、「診療および請求の流れを理解している」という部分のみ教育すればよいので、運用がスムーズに移行できると考えられます。
クラーク運用を成功させるポイント
クラーク運用を成功させるためには、医師が十分にクラーク運用を理解し、上手に自分の思いをクラークに伝達することが大切です。これからは自分1人で電子カルテを入力するのではありません。入力をサポートしてくれるクラークに指示を出す立場になるのです。診療所全体がチームとして、医師をサポートする運用に変わるため、当然チームワークが大切になります。
クラーク運用を成功させるためのポイントを以下に挙げます。
- 当初は入力が遅いこともあるため、我慢強く指導する
- クラーク運用の最終ゴールイメージをクラークと共有する
- 診察中はできるだけはっきりと声に出して指示する
- クラークの成長に合わせて、業務範囲を拡大していく
- 不測の事態に備えて、必ずクラークは複数人育成する
ここに挙げた5つのポイントの中で、特に大切なのは「当初は入力が遅いこともあるため、我慢強く指導する」ことだと思います。最初から医師と同じ速さで入力できる人はほとんどいません。どうしても我慢できずに手を貸したくなりますが、クラークの成長は後々、必ず医師のメリットになります。根気強く取り組んでください。
クラーク運用で診療所全体が一致団結できるチームに
医療の現場で電子カルテは中核となるシステムです。医師が電子カルテを使いこなすことができなければ、当然診療の質そのものに大きな影響をもたらします。そのためには、クラークが医師の入力をサポートすることで、診療をスムーズに効率化でき、医療の質の向上に貢献できます。
そして、何よりも大切なのは、患者へ最高のサービスを提供できるよう「診療所全体が一致団結できるチーム」となれること。これが電子カルテのクラーク運用の最大のメリットです。
著者紹介
大西大輔(おおにし だいすけ) メディキャスト株式会社 メディプラザ統括マネージャー
2001年一橋大学大学院MBAコース卒業後、同年日本経営入社。2002年に医療機関の“選ぶ”を支援する展示場「メディプラザ」の1号店を東京(神田)に立ち上げ、その後2003年にメディプラザ大阪、2005年にメディプラザ福岡を順次開設。2007年より東京・大阪・福岡の3拠点を統括する統括マネージャーに就任。専門の医療IT分野については、医師会、保険医協会などの公的団体を中心にセミナー講師を多数実施。
【関連サイト】
ITを活用した経営改善・業務効率化が実現できるショールーム「メディプラザ」
医師の右腕を育成する「電子カルテ+クラーク養成講座」
医療機関のための製品導入事例紹介サイト「事例Plaza」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
【連載コラム】医療ITの現場から
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー