サファイアガラスをディスプレーに採用
徹底レビュー:あり得ない強靭さ、京セラ“高耐久性スマホ”「Brigadier」はどこまで耐えられるか
Brigadierは厚みがあって、決して見た目がよいとはいえない。だが、耐久性に優れた本体と非常に強靭なサファイアガラスのディスプレーは検討に値する。
京セラの「Brigadier」(国内では「TORQUE(トルク)」の名称で販売、一部仕様は異なる)は、非常に頑丈で、まずまずのスペックを備えたスマートフォンだ。2年契約で100ドルという破格の価格で提供されている(2年契約の縛りをなくした場合の価格は400ドルである)。サファイアガラスをディスプレーに採用するなど、さまざまな衝撃に耐えられる設計になっている。例えば、水没、コンクリート面や泥土への落下でも問題ない。
耐久性重視のスマートフォンの購入は検討すべきだろうか。本稿では、その耐久性や防水性能、パフォーマンス、ソフトウェア、カメラなどを詳しく検証する。
構造とデザイン
Brigadierはお世辞にも小型のスマートフォンとは言い難い。これは紛れもない事実だ。サイズは韓国Samsung Electronicsの「GALAXY S4」と同等だ。だが、GALAXY S4には、Brigadierより0.5インチも大型のディスプレーが搭載されている。厚さは13.5ミリある。ディスプレーのサイズが大きくない割に、他の大半のスマートフォンより重い。だが、Brigadierが若干大きいのには、それなりの理由がある。ほとんどのスマートフォンは「スポーツカー」のようになることを目指している。一方、Brigadierは「軍用車両」のようになることを目指している。
耐久性重視のスマートフォンは一般ユーザーやメディアからの注目度は低い。だが、Brigadierの対象購買層は工業分野や野外の作業従事者で、ニッチ市場の獲得を目指している。このような市場では重宝されるが、多くのユーザーからは有望な製品とは見なされない。だが、もう少し日の目を見てもよいのではないだろうか。
シンクや水たまりに誤ってスマートフォンを落としたことはないだろうか。Brigadierは30分間の防水が保証されている。雨風や浸漬からも保護される。舗装された道でスマートフォンを落としたことはないだろうか。このような事故は避けられない類のものだ。Brigadierは約1.22メートルの高さから落下テストを実施している。この高さからコンクリートの地面に26回落としても、その衝撃に耐えられることが実証されている。防じん、耐振動、塩水噴霧、温度耐久(-20~60度)、低圧対応の機能を備えている(約5000メートルの高地でも使用できることが実証されている。これは人間が意識を保つために酸素補給が必要な高さだ)。
スマートフォンが破損して窮地に陥ったことがある場合は、あらゆる障害から保護されるBrigadierが魅力的に見えてきたのではないだろうか。もちろんBrigadierが破損しないわけではない。Brigadierが使えなくなる状況では人命が危ぶまれるだろう。Brigadierが使えない事象が発生した時点で、それよりも深刻な問題を抱えている可能性が高い。Brigadierの頑丈な本体は、ファッション性に欠けるかもしれない。だが、間違ってごみ箱に捨ててしまうことはないだろう。
Brigadierでは工業デザインが採用されており、実用性が重視されている。本体の大部分はグリップ効果のあるゴム加工が施されたプラスチック製だ。丈夫なネジで止められている。USBポート、SIMカード、ヘッドフォンジャック、microSDスロットは、防水加工のゴムカバーで保護されている。本体の左側には、機能を設定できる大きな赤いキーがある。このキーを使用すると、任意のアプリや幾つかの標準的な操作の中から、すぐアクセスできるようにしたいものを選んで設定することが可能だ。これにはスマートフォンの電源オン/オフの機能も含まれる。電源ボタンは小さいので、このキーを使用すると便利だろう。これは平凡な機能で、決して見た目がよいとはいえない。だが、耐久性重視のスマートフォンでは一般的な仕様で、Brigadierはその目的を果たすべく設計されている。
ディスプレー
Brigadierのディスプレーは4.5インチ、解像度は720pだ。そのため、現在市場に出回っている上位機種と比較するとディスプレーの鮮明さは劣る。だが悪くはない。多くの最新の中級レベルのデバイスのディスプレーとそん色ない。だが、ディスプレーに注目する理由はピクセル密度ではなくディスプレー自体の構造にある。多くのスマートフォンより強力な強化ガラスが使用されているわけではない。人工のサファイアの層によって傷などのダメージから保護されているのだ。無機質の中ではダイアモンドに次ぐ硬度を誇る。
その結果、Brigadierのディスプレーは、現時点では右に出るものがいない強靭な品質を実現している。サファイアガラスには傷が付くことはない。また、スチールと比較すると、その強度は約10倍にも上る。ディスプレーの鮮明さは犠牲になっているが、トップクラスの保護を実現している。つまり、Brigadierのディスプレーに傷が付くことはない。問題は、製造コストの高さだ。Brigadierはあまり見かけない。だが、京セラはBrigadierを生産にこぎつけている。
さらに、Brigadierのタッチスクリーンの防水は強力だ。雨が降ったり、汗が付着した場合に、スマートフォンのディスプレーの動作が怪しくなるという経験をしたことはあるだろう。ディスプレーがぬれるとタッチスクリーンは正常に動作しなくなる。乾くまで思うように操作できないのが相場だ。だが、Brigadierのディスプレーには強力な防水加工が施されているため、多少ぬれても問題なく機能する。もちろん限度もある。大量の水が掛かった場合などは、少し乾くまで思うように操作できない。寒い屋外では、手袋をしたまま操作できるのも便利だろう(対応しているのは約25ミリまでの厚さの手袋だ)。だが、最近のスマートフォンでは、この機能を搭載しているものが増えている。
パフォーマンス
内部仕様を見ると、Brigadierは桁外れに優れているわけではない。だが、必要なことは行える。米Qualcommのクアッドコアチップセット「Snapdragon」(1.4GHz)を搭載している。ポーランドAurora Softworksの「Quadrant」ベンチマークテストを4回実行したところ平均で9677という結果が出ている。この結果は、中上級レベルのスマートフォンとしては申し分ない。日常生活で使ってみたところ、この結果を実感することができた。2GバイトのRAMと16Gバイトのストレージが搭載されている。microSDカードスロットがあるので、必要に応じてストレージを拡張することが可能だ。ワイヤレス給電規格「Qi」もサポートされている。つまり、適切なハードウェアがあれば、Brigadierは十分な容量の3100mAhの電池を充電している間も過酷な環境から保護された状態を維持できる。
Brigadierは米Verizonのネットワーク専用機種として提供されている。Verizonの既存の4G LTEネットワークと現在展開中の「XLTE」をサポートする。XLTEでは、新しい周波数割り当てを使用してVerizonの4Gネットワークの通信速度を向上している。その他にもNFC、Bluetooth 4.0 LE/EDR、Miracast、現行のWi-Fiの標準が全てサポートされている。Wi-FiとLTEの電波状態は申し分ない。また、LTEのパフォーマンスは他の一般的なスマートフォンと同等だ。
ソフトウェア
京セラはBrigadierで意図的に独特なインタフェースを採用している。だが、その大半はウィジェットの追加で実現しただけのものだ。米Googleの「Android」の主なウィジェットを京セラ製のウィジェットに置き換えたにすぎない。「Android 4.4」(KitKat)のインタフェースの操作性に対する根本的な変更は行われていない。だが、これは基本的によい対応だ。
多くの変更点については、特に目新しいものはない。だが、この種類のスマートフォンにとっては賢明な対応だ。最大の特徴は、手袋をしたまま操作しなければならない人にとって、操作性が優れていることだ。アプリのアイコンや電話のボタンは大きく押しやすい。
直射日光の下で文字を読みやすくするための「Large Print Text」モードも用意されている。これはフラッシュアプリや気圧計/高度計を組み合わせたバロメーターアプリを始めとする、幾つかあるちょっとした便利な機能の1つだ。バロメーターアプリは、ハードウェアの制限による影響を受ける可能性がある。そのため、完璧な精度は期待しないのが得策だ。だが、試してみるには良い機能だ。音声による検索機能もBrigadierの特徴となっている。また、バッテリーの持続時間を向上するためのアプリが2つ搭載されている。これらのアプリについては、この後、詳しく説明する。
カメラ
Brigadierに搭載されている8Mピクセルのメインカメラは平凡だ。日中の撮影でなければ、最低レベルだと評価されている。だが、非常に強力なフラッシュ機能によって、その欠点をある程度カバーしている。1回のピンチ操作でフラッシュの強度が2倍になる。この機能が歓迎されることは間違いないだろう。
薄暗い場所で撮影した写真でも、被写体を認識することはできる。Brigadierのカメラで撮影した写真は、特別鮮明というわけではない。だが、薄暗くてノイズが多いものよりは、少し不鮮明な写真の方が良いだろう。GALAXY S4などのスマートフォンを使用して同じ条件下で撮影した写真ほど鮮明ではない。だが、フラッシュを使用すると若干だが状況は改善される。
バッテリー持続時間
残念ながら、Brigadierのバッテリーを取り外すことはできない。だが、高い耐水性を実現するためと思えば納得できるだろう。この欠点をカバーするため、十分な容量が用意されている。外出先でさまざまな操作をしても、帰宅するまでバッテリーがなくなることはない。本体には3100mAhのバッテリーが内蔵されている。京セラによると、最大20時間の通話が可能で、待ち受け状態なら15日間持続するという。
「平均的な使用状況」を定義するのは難しい。だが、特別酷使しない限り、Brigadierのバッテリーは少なくとも1日は持つだろう。厳しいスケジュールであっても、1日半というのが、より現実的な数値だろう。つまり、バッテリー持続時間は十分だといえる。
上述の通り、Brigadierにはバッテリーの残量を管理するためのツールが同梱されている。京セラが開発した便利な「エコモード」では、ディスプレーのバックライトが自動消灯するまでの時間や明るさなどを調整できる。調整はコマンドを使用して行う。また、バッテリーの残量が一定の割合を下回ると自動的にエコモードになる。エコモードのオン/オフは簡単に切り替えることが可能だ。そのため、一時的にエコモードを無効にする必要があっても、面倒に感じることはないだろう。
もう1つのツールは「MaxiMZR」だ。このツールでは、ここ1週間使用していないアプリがバックグラウンドデータにアクセスしないようにすることで、バッテリー寿命とモバイルデータの領域も節約できる。エコモードほどカスタマイズできない。オン/オフの切り替えも簡単には行えない。だが、控え目なツールだ。このツールの機能は、アプリがバックグラウンドで使用するデータを制限するだけだ。また、対象となるのは、しばらく使用していないアプリに限られる。
結論
Brigadierは薄さや見た目が優れたスマートフォンではない。だが、本体が大きいという欠点をカバーする多くの付加価値を提供している。米Motorolaの「Droid MAXX」など少し前にリリースされたスマートフォンよりは小型で軽い。Droid MAXXは、Brigadierと同等のバッテリー容量を備えているが、耐久性は劣る。同じ中級レベルのスマートフォンと比較すると高額だ。だが、破損によって追加代金を支払う必要がないという安心感を得られる。毎日岩に囲まれたような場所で作業をしていなくても、スマートフォンがつぶされる可能性のある場所で働いていなくても、Brigadierのようなスマートフォンであれば、この先何年にもわたってスマートフォンのデータを安全に保つことができる。
長所
- 水と損傷への耐性
- 堅牢なパフォーマンス
- 十分なバッテリー持続時間
欠点
- 同レベルの一般的なスマートフォンよりも高額
- 大きなデザイン
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー