思った以上に近づいているiOSとAndroid
「iPhone」と「Androidスマートフォン」に騒ぐほどの違いはあるのか?
「iPhone」をはじめ、米Apple製品には熱狂的なファンがいる。米Googleの「Android」もしかりで、しばしば両者の間には論争が起こる。一方、そこまで大きな違いは無いのではないか、という指摘もある。
米Appleの「iOS」と米Googleの「Android」はどちらが優れているのか――。そんな議論が交わされて久しい。この激しい議論が交わされている問題の答えは、人によって異なる。一番使い慣れているOSが何かによっても違ってくる。
iOS、Androidそれぞれの“信者”は、数年間論争を続けている。この論争は、「iOSスマートフォンとAndroidスマートフォンには、“月とすっぽん”ほどの明確な違いがある」という認識が生まれる弊害を引き起こしている。実際のところ、この認識は必ずしも正しくない。
本稿では、これからスマートフォンを初めて購入する人に向けて、この2つのメジャーなスマートフォンのあまり知られていない違いについて簡単に紹介する。
Androidが支持され、また批判される理由
Androidデバイスを所有する一番の利点は、自由にカスタマイズできることにある。オープンソースモデルというAndroidの本質により、サードパーティーのアプリ開発者は、OSに備わっている機能を超えるさまざまなアドオンを作成することが可能だ。
アドオンはウィジェットからライブ壁紙まで多岐にわたる。そのためAndroidでは、iOSデバイスでは不可能なエクスペリエンスの大幅なカスタマイズが可能だ。また、米Amazon.comの「Amazon Android アプリストア」など、公式の「Google Play」以外の場所からアプリをダウンロードする「サイドローディング」ができる。開発者のWebサイトから直接アプリをサイドローディングすることも可能だ。そのため、Androidデバイスでダウンロードできるアプリは膨大な数になる。
例えば、Androidでは時刻や天気のウィジェットをデバイスのロック画面に設置できる。特定のプログラムで開くファイルの種類を設定/変更することも、既定のフォントを変更することも、既定ではない通話アプリやSMSアプリをインストールすることも可能だ。これらはAndroidのカスタマイズのほんの数例にすぎない。
Androidは、標準でプルダウン通知システムを搭載する。システム設定にアクセスしなくても、Wi-FiやBluetooth、GPSのオン/オフを1回タップするだけで切り替ることができる。Androidは設計上、WindowsやMac OSと似たファイル管理システムを採用している。そのため、Androidのエクスペリエンスはより「実用的」で、スマートフォンをモバイルデバイスではなくコンピュータのように扱うことができる。
インタフェースのカスタマイズの自由度が高いAndroidスマートフォンは、コンピュータに詳しいユーザーが当然選ぶべき選択肢のように見える。だが欠点が無いわけではない。自由にカスタマイズできると、デバイスのインタフェースから統一感が失われる。これは必ずしも全ての人に魅力的に映るわけではない。自分でカスタマイズすることは困難だと思うユーザーもいるだろう。
例えば古いバージョンのOSで適切に機能するように開発されたアプリは、ユーザーが最新のOSにアップグレードすると動作しなくなる可能性がある。また、Google PlayのアプリポリシーがAppleのアプリマーケット「App Store」のアプリポリシーほど厳しくないことも考慮する必要があるだろう。つまり、アプリのパフォーマンスが常に最高であるとは限らず、セキュリティの問題が発生する恐れもある。
Androidは韓国のSamsung Electronics、台湾のHTC、ソニーなど多数のメーカーが採用している。その結果、10億台ものモバイルデバイスで実行される世界一の普及率を誇るOSとなった。ただし、それはAndroidが最高のOSであることを意味するわけではなく、最悪のOSであることを意味するわけでもない。単に、最もよく使用されているという事実があるだけだ。
iOSが支持され、また批判される理由
iOSは動作が速く、洗練されていて、セキュリティを高める仕組みがあることから確固たる評判を確立している。iOSの利点として頻繁に挙げられるのは、その使いやすさだ。統一性や一貫性に重点を置いたユーザーインタフェースの単純なレイアウトや鮮やかな色が、そのことを証明している。
アプリマーケット全体に占めるApp Storeのシェアは、それほど大きいわけではない。だが、新しくリリースされるアプリの大半が最初に提供されるのはApp Storeだ。多くの場合、最初にApp Storeで公開されたアプリが、Google PlayなどのAndroidのアプリマーケットで提供されるまで長い時間がかかる。中にはAndroid版が出ないアプリもある。このようなアプリが存在する理由のほとんどは、iOSアプリの信頼性やアプリ開発者が求める高い合法性が関係している。Appleは同社のアプリマーケットで提供するアプリに対して厳しい品質管理をしている。
Appleの厳しいアプリ管理によってセキュリティが強化され、アプリの品質が維持され、OSアップグレード時のパフォーマンスが安定する。それを利点だと見なす人も多いが、全てのiOSユーザーが満足しているわけではない。アプリの選択肢やカスタマイズの範囲に自由を求める人の中には、「ユーザーができることを制限しすぎだ」とAppleを批判する人もいる。壁紙などの小さくて表面的なものだけでなく、インタフェースのカスタマイズなどについても自由度を求めているのだ。
iOSではアプリのサイドローディングはできない。iOSデバイスにダウンロードできるのは、App Storeのアプリだけだ。この制限を回避する方法もあるが、そのためにはユーザーがデバイスを改造しなくてはならない。改造するとOSが不安定になり、バッテリー寿命が短くなるとAppleは警告している。また、今後リリースされるアップデートがダウンロードできなくなるだけでなく、デバイスが機能しなくなるというリスクもある。
このような制限や制約があるにもかかわらず、いやだからこそiOSは、完成されたモバイルエクスペリエンスを提供する、安定していて使いやすいインタフェースとして高い評価を維持している。無駄をそぎ落とすことが好まれ、電子機器を動かすために手を加えたいと考える人がほぼいなくなったプラグアンドプレイの時代において、iOSは特定のユーザー層の選択肢として浮上するだろう。
最終的には、全てがユーザーの好みの問題になる。
徐々に近づくiOSとAndroidと、その理由
一方のOSしか使ったことがないユーザーや、いずれも使ったことがなく、絶えず続くiOSとAndroidの終わらない論争に混乱しているユーザーの中には、大きな勘違いをしている人もいる。それは「2つのOSのエクスペリエンスは大きく異なっている」という勘違いだ。5、6年前は確かにそうだったかもしれない。だがその後、iOSとAndroidは多くの人が思っている以上に、徐々に近づいている。
どちらのOSも、必要な機能を実行するアプリを簡単にインストールできるという点で同様に機能している。デバイスの操作に使用するタッチやジェスチャも、とてもよく似ている。2つを並べて比較すると、ナビゲーション構造もユーザーインタフェースも似ていることが分かる。
確かに細かな違いはある。その中には単に表面的な違いではないものも幾つか存在する。だが現在のモバイル環境は、アプリが原動力となり、アプリに依存する傾向がさらに強まっている。その結果、コアOSの重要性は低下している。この状況を踏まえると、GoogleとAppleのOSを隔てているものは、そこまで大きくないだろう。
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