Windows偏重主義から脱却するVMware
Macでも「VMware vSphere」を管理、ユーザーにとって最適な方法は?
米VMwareはプラットフォーム「VMware vSphere」を広範なOSに対応させる取り組みを進めているが、Macを使いたいという管理者の要求に応えるには、まだ課題が残されている。
IT技術のトレーナー兼コンサルタントである筆者の経験で言えば、VMwareの技術者の中にはMacを使っている人が多いように思える。しかしVMware vSphereの管理については、これまで長い間、Windowsが中心であった。最近ではMacを使ってvSphere環境を管理する方法も幾つか登場してきた。本稿ではMacによるvSphereの管理の選択肢について解説する。
vSphereのデスクトップクライアントは「.NET Framework」アプリケーションであるため、Macから使用することはできない。このため選択肢としては、Mac上で仮想Windowsマシンを動作させるか、「vSphere 5.5 Web Client」を利用するかのどちらかとなる。
RDPを使う
これまで長い間、vSphereをMac上で直接管理する方法は存在しなかった。ここでは「Boot Camp」(※)は考慮の対象外とする。Mac上でWindowsをネイティブに動作させるのは邪道であるように思えるからだ。Mac上でvSphereを管理するシンプルな方法は、「Microsoft Remote Desktop」(RDP)クライアントをインストールしてWindowsマシンにアクセスすることだ。これはとても簡単な方法だが、Windowsマシンを別途用意する必要があり、また、米AppleのキーボードのどのキーがWindows用キーボードの各キーに対応するのかを知っていなければならない。
※ Boot Camp:Mac OS Xに組み込まれているソフトウェア。Windowsの互換可能なバージョンをIntelベースのMacで稼働させることができる。
Fusionを使う
もう1つの方法は、「VMware Fusion」を使ってMac上の仮想マシン(VM)内でWindowsを動作させ、そのVMにvSphereクライアントをインストールするというものだ。FusionのWindows動作環境は素晴らしく、vSphereクライアントは問題なく動作する。ただ、Mac上でOS XとWindowsの両方の管理とアップデートを行わなければならないのが少し面倒だ。また、Mac上でWindowsを動作させるには、相当な量のメモリを割り当てる必要がある。FusionはMacからvSphere環境を管理するのには非効率的な方法だといえるが、お気に入りのノート型Macを使えるのが魅力だ。
Windows偏重主義から脱却するVMware
VMwareはこれまでのWindows偏重姿勢を軌道修正し、vSphere Web Clientと「vCenter Server Appliance」をリリースした。当初は、「VMware vCenter Server」をWindowsサーバ以外でも動作できるようになったにすぎなかった。従来版のWeb Clientでは、MacからVMの構成や設定を管理できるようになったが、MacからVMコンソールを操作できないという制約があった。VMコンソールにアクセスできなければ、VMにOSをインストールできない。しかしvSphere 5.5のリリースにより、Web Clientを使ってMacからVMコンソールにアクセスできるようになった。Web Clientによる管理についてはMacはWindows PCと同等になったわけだが、vSphereクライアントはまだMacに対応していない。
Web Clientには不備もまだ残されている。他のサービスと連係できないのである。VMwareのプラグイン「VMware Site Recovery Manager」(SRM)はWindows用のvSphereクライアントにしか対応していない。「vCenter Update Manager」(VUM)もそうである。SRMやVUMを使っている企業は、これらのプラグインを管理するのに今後もWindowsマシンが必要になる。だが両製品ではサーバコンポーネントを動作させるのにWindowsマシンを必要とするため、大した問題にはならないだろう。これらのサーバにvSphereクライアントをインストールし、RDPによる従来のアクセス手法を利用すればいいのだ。
非GUI方式
グラフィカルユーザーインタフェース(GUI)を使わない管理も検討する価値がある。Windowsの場合は「vCLI」または「PowerCLI」を利用すれば、コマンドラインインタフェース(CLI)でvSphereを管理できる。Macには「PowerShell」が用意されていないので、PowerCLIを使うことはできない。vCLIもWindowsかLinux上でしか利用できず、Macには対応していない。もちろんRDPを利用してWindowsに接続するか、SSH(Secure Socket Shell)を利用してLinuxに接続することによって、PowerCLIもvCLIにリモートでアクセスできる。WindowsマシンにSSHサーバをインストールすれば、MacからSSHを使ってリモートにあるWindowsマシン上のPowerCLIを実行することもできる。
上記の選択肢はいずれも、MacからvSphereを管理する方法として特に素晴らしいものではない。一方、「Ruby vSphere Console」という素晴らしい「Fling」(訳注:VMwareが実験的に開発したアプリケーションやツールの総称)もある。このFlingを使えば、Rubyのコードを実行できる環境であればどこでもCLIを通じてvSphereを管理できるのだ。他のCLIツールと同様、Rubyコンソールも使いこなすには少し訓練が必要だが、慣れてしまえばCLIで高度な管理が行えるようになる。Ruby vSphere Consoleの問題点としては、他のFlingと同様、正式なサポートが受けられないことが挙げられる。
将来的希望
MacによるvSphereの管理を可能する動きは、これまで遅々として進まなかった。長い間、MacからWindowsマシンをコントロールするというのが唯一の選択肢であった。しかしここにきてようやく、vSphereを直接管理するMac用ツールが登場し始めてきた。
プラットフォームに依存しない本格的な管理コンソールを実現するには、HTML5を利用するというのが理想的な方法だ。「VMware Horizon View」はHTML5ベースでVMにアクセスする機能を備えている。vSphereのWeb ClientがHTML5として再開発されることになれば、真のデバイス非依存が実現するだろう。つまり、MacでもWindowsと同じように社内のインフラを管理できるようになるということだ。
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