プロバイダー選定のポイントは?
クラウドストレージで続々採用される高速オールフラッシュ、落とし穴はないか
クラウドストレージプロバイダーがオールフラッシュプラットフォームに移行する理由とは何か。また、オールフラッシュのクラウドにワークロードを移行することで、どのようにコスト削減できるのだろうか。
クラウドの弱点といわれることもある「パフォーマンス」。これは、企業がミッションクリティカルなアプリケーションのクラウド移行をためらう主な理由の1つとなっている。
それに対し、クラウドストレージプロバイダーは、アプリケーションのパフォーマンスを維持しつつも、マルチテナント環境でリソースの取り合いが発生するリスクを軽減しようとしている。また、クラウドストレージプロバイダーを選定する際、企業はどのような点を検討すればいいのだろうか。
いつでもオールフラッシュを使うのか
一部のクラウドストレージプロバイダーは、ストレージインフラに「オールフラッシュストレージアレイ」を採用している。その狙いは、全てのアプリケーションワークロードが高速なストレージリソースにアクセスできるようにすることだ。だが、ここで問題となるのがコストである。フラッシュストレージを利用するには、従来のHDDと比べて、それ相応の使用料を支払う必要がある。フラッシュストレージの高速アクセスが必要なデータがそれほど多くない場合、オールフラッシュプラットフォームにアプリケーションを展開することで、必要以上のコストを支払うことになるだろう。
興味深いことに、一部のクラウドストレージプロバイダーは、フラッシュストレージの領域をHDDの領域と同じ価格で提供している。これは、オールフラッシュストレージインフラの高い使用料を支払うことに乗り気でない顧客を誘惑するための対策だ。クラウドストレージプロバイダーはフラッシュストレージを特売品と位置付け、CPUの使用率で埋め合わせをしている。そのため、負荷の高いアプリケーションのワークロードをクラウドで実行している企業は、アプリケーションの負荷が散発的にしか発生しない企業よりも高い月額コストを支払うことになる。
うるさく迷惑な近隣ユーザー
フラッシュストレージはHDDよりもI/Oスループットが高い。だが、“うるさい近隣ユーザー”に対しては、オールフラッシュアレイもHDDと同様に影響を受けやすい。これは大幅な仮想化がなされている環境で見られる問題だ。“うるさい近隣ユーザー”は、マナーの悪い仮想マシン(VM)がストレージのI/Oリソースを独占して、同じ環境を使用している他のVMのパフォーマンスに悪影響を及ぼす。この問題を回避するため、一部のクラウドストレージプロバイダーはオールフラッシュアレイにある設定を施している。それはVMレイヤーごとにストレージI/Oの割り当てを設定する仕組みで、米SolidFireのプラットフォームはその一例だ。
特に大規模な企業環境とクラウドストレージプロバイダーでは、VMレベルの管理が必要になる。というのも、最も需要の高いアプリケーションにストレージのI/Oリソースを割り当てられるようにしなければならないからだ。この仕組みにより、クラウド環境内の仮想化された各アプリケーションテナントは、いつでも一定のストレージIOPSが保証される。また、マナーの悪いVMが仮想化されたインフラの運用を邪魔することを防げる。
サービスレベルサポートの変更可能性
クラウドストレージプロバイダーは、このような種類のフラッシュシステムについて、さまざまなサービスレベルを設定することができる。例えば、「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」などがあるだろう。プロバイダーは、顧客のアプリケーションストレージのI/Oスループットのニーズに合わせてリソースを割り当てるという仕組みだ。だが、アプリケーションのパフォーマンスニーズを予想することは、確度が高くない技法である。過去の実績は今後を予測する上で、有効な指標とはならない。
利用を検討中のクラウドストレージプロバイダーに問い掛けるべきは、サービスレベルの変更に動的かつ瞬時に対応できるかどうかだ。例えば、アプリケーションのサービスレベルがゴールドで一定数のIOPSが割り当てられているとしよう。パフォーマンス需要の急増により、突如サービスレベルをプラチナに変更したい場合にどのようなことが起こるかを確認する必要がある。同様に、アプリケーションのパフォーマンス需要が低下してサービスレベルをゴールドやシルバーに戻す必要が生じた場合には、どのような手続きが必要なのかも問い合わせるべきだろう。
様子を見る
計算処理などの高い負荷の掛かるワークロードをクラウドに求めた先駆者は、政府機関と科学機関である。これらの大型機関では膨大な量のデータを処理するために、計算処理とストレージのサポートを必要としていた。例えば、スイスのジュネーブにある「大型ハドロン衝突型加速器」(LHC)だ。LHCではビッグバンのシミュレーションを行っている。このような実験の出力を処理するには、巨大な計算処理能力が必要になる。そのため、これらの機関は、ワークロードをクラウドに移行して、実験の出力を処理するのに要する時間の短縮を図ろうとしていた。
アプリケーションワークロードをクラウドに移行することは、企業がクラウドアプリケーションプロバイダーのサービスを試用する方法として適している。例えば、使用頻繁の高いデータベースの非運用インスタンスをクラウドに移行して、ピークアクティビティのシミュレーションを行い、アプリケーションのパフォーマンスをチェックすることが可能だ。
実際、米Load DynamiXなどの企業は仮想テストアプライアンスを提供している。仮想テストアプライアンスではアプリケーションのワークロードをシミュレートし、クラウドでアプリケーションを実行する。そのため、ITプランナーは必要になるストレージのI/Oスループットを正確に特定することが可能だ。仮想テストアプライアンスでは、負荷を生成して、クラウドストレージプロバイダーのインフラが負荷に対応できるかどうかを確認することもできる。
オールフラッシュクラウドストレージを提供するサービスプロバイダーは、ストレージ性能の確保に追われる企業にとって、幾つかのメリットを提供できるかもしれない。現在、多くの企業がIT部門にコスト削減と支出削減を求めている。そのため、ITプランナーは、それほど高額にならない範囲でビジネスのニーズに対応する建設的な方法を見つけなければならない。ミッションクリティカルなビジネスアプリケーションのワークロードを選別してクラウドに移行することで、アプリケーションのサービスレベルを満たし、コストを抑えることができる。重要なのは、プロバイダーが時間の経過とともに変化するニーズに対応する能力を持っているかどうかを見極めることだ。
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