性能と機能の“いいとこ取り”も
オールフラッシュストレージ、買うなら「性能重視型」か「機能重視型」か
フラッシュメモリだけでデータを保存するオールフラッシュアレイには、大きく分けて機能重視型と性能重視型の2タイプがある。どちらを選択すべきか、その選定ポイントを伝授する。
今ではほぼ全てのストレージベンダーが、“オールフラッシュ”のストレージアレイ(オールフラッシュアレイ)を提供している。IT担当者も、こうしたハイパフォーマンスなストレージシステムの必要性を認識し始めている。IT担当者は、数あるオールフラッシュアレイの中で、自社の要求に最適なものをどう選べばよいのか。
オールフラッシュアレイ市場が成熟化し始める中、2大カテゴリーの存在が顕在化している。
パフォーマンス vs. 機能
その1つは、オールフラッシュアレイとして一から設計された、パフォーマンス指向の製品だ。こうした製品は一般的に、ストレージアレイ内のフラッシュから最大限のパフォーマンスを引き出すためにハードウェア設計を最適化している。
この分野のベンダーは、ほぼ全社が新興のIT企業やスタートアップ企業である。大抵の場合、これらのベンダーのオールフラッシュアレイは、ハードウェアとパフォーマンスに重点を置く一方、ソフトウェアを犠牲にしている。多くのストレージ管理者が作業に利用している、スナップショットやレプリケーション、クローニングのような機能を提供するソフトウェアだ。
パフォーマンス指向のオールフラッシュアレイは、システム当たりのIOPS(I/O per Second、1秒当たりの読み込み・書き込み回数)が数百万に上ることで知られている。ただし、高いIOPS値を得る方法は1つではない。こうした値は、1つのワークロード(システム負荷)でも実現できるし、オールフラッシュアレイに同時にアクセスする複数のワークロードでも実現できる。
もう1つのカテゴリーは、機能指向のオールフラッシュアレイだ。これらは一般的に大手ベンダー製であり、スタートアップのベンダーも数社が手掛けている。これらのベンダーは、豊富なソフトウェア機能の提供に重点を置いている一方、多くの場合、最大パフォーマンスを犠牲にしている。
この分野の製品は通常、大手ベンダーのレガシーハードウェアを使用し、従来のストレージアレイにSSDを組み込む。スタートアップのベンダーの場合は、コスト抑制のために既製ハードウェアを使用することが多い。パフォーマンスは、システム当たり20万~40万IOPS程度であることがほとんどだ。
機能指向のオールフラッシュアレイの内、ソフトウェア機能が充実し、ハードウェア台数の増加でパフォーマンスが向上できる「スケールアウト型」を採用する一部の製品は、集約度を高めることで数百万IOPSのパフォーマンスを実現するだろう。ただし、実現方法が問題となる。これらのシステムは通常、スケールアウトクラスタ内のボリュームごとやノードごとのパフォーマンスに限界があるからだ。
パフォーマンス指向のオールフラッシュアレイに匹敵する極めて高いパフォーマンスを得るには、多数のノードでクラスタを構成し、多くのワークロードを全て同時に実行する必要がある。スケールアウトシステムでは、1つのワークロードやスレッドに数百万IOPSを提供することはできない。
どちらがベストか
われわれコンサルタントは、「どちらのカテゴリーのオールフラッシュアレイがベストか」とよく聞かれる。答えは例によって、データセンターのニーズと、運用中のアプリケーションのニーズによって決まる。
パフォーマンス不足に直面するデータセンターは多いが、そのパフォーマンス要件は一般的に、機能指向のオールフラッシュアレイの基本的なパフォーマンスを超えるほどではない。レガシーなHDDのストレージアレイで使い慣れている機能セットが利用できるのも、多くの企業にとって大いに安心できるだろう。
50万以上のIOPSを必要とする環境もあるが、そうした高いパフォーマンスがどのように必要になるのかを把握することが、最適なシステムを判断するのに役立つ。かなりの数のワークロードにわたって全体的に高いパフォーマンスが必要となる場合は、スケールアウトによるリニアなパフォーマンス向上が可能な、機能指向のオールフラッシュアレイが最適だ。一方、1つのワークロードで50万以上のIOPSが必要な環境の場合は、パフォーマンス指向のオールフラッシュアレイが必要になる。前述したように、パフォーマンス指向のオールフラッシュアレイは、1つのワークロードに数百万IOPSを提供できる。
中間を行く
こうした2種類のシステムの中間のアプローチは成立するだろうか。つまり、パフォーマンス要件の厳しいワークロードに対応しながらも、従来のアプリケーションが要求する機能豊富な環境も提供できるオールフラッシュアレイは存在するだろうか。
数社のベンダーが、こうしたニーズに応えるオールフラッシュアレイを提供している。この種の製品は、パフォーマンス指向のシステムとして設計された上で、ソフトウェアを追加することになる。ソフトウェアの追加はレイテンシの増大につながるが、ほとんどのアプリケーションはそれほど影響を受けない。この種のシステムは一般的に、パフォーマンスに余裕があるからだ。
ソフトウェアは幾つかの方法で追加できる。一部のベンダーは、パフォーマンス指向のオールフラッシュアレイを接続可能なアプライアンスを提供し、オールフラッシュアレイがアプライアンスの全ての機能を利用できるようにしている。一方、オールフラッシュアレイ自体に搭載されているコプロセッサに、ストレージソフトウェアをロードできるベンダーもある。この仕組みを利用すれば、より緊密な統合感が得られ、アプライアンスの購入コストを省くことができる。
パフォーマンス指向のオールフラッシュアレイをアプライアンスなどと組み合わせる際に、価格の問題を念頭に置くことが大事だ。大抵の場合、機能指向のオールフラッシュアレイは最も経済的である。繰り返しになるが、ほとんどのデータセンターにとって40万IOPSは十分過ぎるパフォーマンスだ。
オールフラッシュアレイは、ストレージアレイの主流になろうとしている。この分野の多くのベンダーが、パフォーマンスを重視したHDD向けストレージアレイと同等の価格をうたっている。この主張はおおむね事実であり、パフォーマンスに優れたディスクアレイを買おうとしているデータセンター担当者は、オールフラッシュアレイを本格的に検討すべきだ。
どのオールフラッシュアレイを選択すべきかは、データセンターが抱えるニーズに大きく左右されることになる。ほとんどのデータセンターでは、機能指向のオールフラッシュアレイで事足りるだろう。とはいえ、実際に調査をして本当に適切なのかどうかを確認し、必要な製品を判断するのが得策ではないか。
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