期待した効果が見込めないことも
SSDを使ってはいけない6つのケース
ハイエンド向けSSD市場は多くのストレージベンダーが参入し、かつてない盛り上がりを見せている。読み取り性能や耐障害性の高さから利用シーンは増えてはいるものの、その使用法を誤ると痛い目に遭いそうだ。
ソリッドステートドライブ(SSD)はデータセンターにおいて確固たる地位を築き上げた。ほとんど全ての大手ベンダーが、それぞれのベストプラクティスのアーキテクチャに「ティア0」(Tier 0)を設定している。SSDは、サーバ側ではパフォーマンスの拡張に、ストレージ側ではブートストームによるボトルネックの解消に利用されている。しかし、その他の多くの技術がそうであるように、「使うべきケース」と同じくらい「使ってはいけないケース」を知ることが重要だ。
読み込み集約型ではないアプリケーションにはSSDを使ってはいけない
SSDは読み込みアクセスのスピード面では圧倒的だ。HDDの10倍以上のパフォーマンスがある。しかし、書き込みのパフォーマンスがその優位性を全て台無しにしてしまう。書き込みでは、タイムラグがあるだけでなく、SSDのメモリセルが衰弱してしまうのだ。メモリセルには「平均書き込み寿命」というものがあり、それを過ぎると劣化が始まる。詳細は提供ベンダー各社の資料を参照するといいだろう。セルが消耗すると、全体のパフォーマンスが低下する。パフォーマンスを維持するためには、適宜SSDをリプレースしなければならない。だが、ご存じのようにSSDはそれほど安価ではない。ただし、一部のベンダーには保証期間を延長しているところもある。
では、最適な読み込みと書き込みの比率はどれくらいだろうか? 決まった数値はないが、理想的には「90対10」程度とみられる。アプリケーションの要求によって決まるが、その数値を知っていれば、ITマネジャーは意思決定ができるはずだ。もし比率が「50対50」以下なら、HDDを選ぶ方が明らかに適している。アプリケーションのパフォーマンスの視点から見て、SSDの読み込みパフォーマンスは書き込みパフォーマンスによって相殺されるのだ。
読み込みのパフォーマンス向上のためにSSDが必要だが、書き込みも問題であるなら、ウェアレベリングのメカニズムを使って書き込み回数を平準化し、負荷低減を図っているベンダーを検討してみよう。安価なSSDを選べば、再起読み込みの機会が減ることから、スラッシングが増えてしまう。
高度かつランダムなデータアクセスではSSDを使ってはいけない
SSDは「キャッシュ層」と呼ばれることもあるが、まさにそうした呼び方は的確だ。SSDは基本的にキャッシュにデータが存在するとき、ハードドライブへの“フェッチ”を減らすためのものである。高度なランダムアクセスが要求されるアプリケーションは、SSDのメリットを享受できない。読み込みはアレイコントローラーによってHDDに送られ、SSDはコストが掛かる割に効果はほとんどない。
高度な仮想化環境では汎用SSDを使ってはいけない
これは少し議論を呼ぶ言い方かもしれない。なぜなら、ブートストームなど、仮想マシン(VM)でSSDを利用する場合の優れたケースが幾つかあるからだ。しかし、同じSSDにアクセスするVMが多くあると、少なくともストレージ面からみれば、非常にランダムなデータパターンになる。数百個のVMが同じストレージに対して読み書きしている場合、1つのマシンが常に他のマシンを上書きすることになる。仮想化環境向けに開発されたSSDソリューションもあるので、ここではあえて“汎用”製品を用いない方がよいとしたい。
ストレージI/Oのボトルネック解消にサーバサイドSSDを使ってはいけない
サーバ側のSSDは基本的にサーバキャッシュであり、プロセッシングやネットワーク帯域幅の問題解決に用いられる。数百台の物理サーバにSSDを配備し、各サーバへ個別にSSDを組み込めば、I/Oボトルネックの解消に役立つかもしれないが、ストレージ層で同様のキャパシティーを集合的に提供するほどの効率性は見込めない。
ネットワークのボトルネック解消にティア0を使ってはいけない
データの配信がネットワークによって抑制されている場合、ネットワークの背後にあるストレージシステムを最適化しても、ほとんど効果がないことは明らかだ。サーバサイドSSDが、ストレージシステムへのアクセスのニーズを抑え、それによってネットワーク需要を削減できるかもしれない。
コンシューマグレードのSSDをエンタープライズアプリケーションに使ってはいけない
SSDは3つのグレードで製造されている。単層セル(SLC)、多層セル(MLC)、そしてエンタープライズ向けの多層セル(eMLC)だ。MLCはコンシューマグレードと考えられており、ほとんどが市販アプリケーション向けである。製品寿命もセル当たり3000回から1万回の書き込みオペレーションにとどまる。一方、SLC、あるいはエンタープライズグレードは、セル当たり10万回の書き込みオペレーションが可能だ。eMLCは価格と性能のバランスが考慮されており、3万回程度の書き込みが可能で、その価格はSLCよりも低い。いずれにせよ、買い手側の危険負担を忘れないように。手にできるのは払った分の価値のものなのだから。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[ファインディ株式会社] AI利用率だけでは説明できない成果 開発組織の競争力を生む「開発資本」とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] AI活用を成功へ導く、シンプルで費用対効果に優れたクラウド基盤とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] マネージドKubernetesには限界も――メリットをフル活用する新たな選択肢とは? -
技術文書・技術解説
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] 決断の日が迫る「vSphere 8」サポート終了問題 考慮すべきリスクと選択肢は? -
製品資料
[サイバーソリューションズ株式会社] メール誤送信対策のルールが肥大化 苦しむ情シスはどうすれば救われるのか?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
「アップグレードできないJava」をどう守る IBMとRed HatがAIで400件超修正
-
3
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
4
Copilot導入で陥る“目的化”の落とし穴 定着の鍵は「作り込まない」こと
-
5
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
6
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
-
7
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
-
8
祝10周年! 創業者も予想できなかったRaspberry Pi活用例
-
9
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
10
「IoT通信環境の構築・運用」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
4
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
5
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
6
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
7
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
8
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
9
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
10
マンガで学ぶXDR/MDRのメリット、中小企業のセキュリティ強化になぜ有効か?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー