SSDアーキテクチャ──3つの配備形態(後)
データアクセス遅延を最大90%減少するSSD配置方法
SSDの導入形態には広範な選択肢が存在する。その中には過大な投資をしなくとも、アプリケーションの要求に合わせてI/Oパフォーマンスを最適化する方法がある。
前回の「HDDのI/Oスループットを改善するSSD配置方法」に引き続き、ソリッドステートドライブ(SSD)のアーキテクチャとその導入における3つの形態について説明する。前回は一般的な「アレイ型」を解説したが、今回は残りの2つ「サーバ内蔵型」「SSDアプライアンス」を取り上げる。各方式には、遅延やパフォーマンスの問題などでそれぞれ長所と短所がある。
サーバベースのSSD
サーバベースのSSDの人気は次第に高まっている。実装方式はサーバにPCI Express(PCIe)カードを組み組むという形が主流だ。サーバベースのSSDは、サーバベンダー各社および一部のストレージベンダーから提供されている。この技術は基本的に、CPUが直接アクセスできる大容量キャッシュでありながら、ストレージと同じように配備、管理できるというものだ(関連記事:SSD利用形態の2つの選択肢──キャッシングかプライマリストレージか)。
サーバベースのSSDにデータを移動する手法は、他のSSD配備方式とそれほど異なるものではない。データはアクセスパターンに基づいて、SSDに移動させられるか、SSDに常駐させられる。データがSAN(Storage Area Network)機器から来た場合は、最初の読み出し時間は、SANとHDDの両方の遅延による制約を受ける。しかし、これも1回限りのことだ。それ以降は、データはサーバから直接読み出され、SANやネットワークの遅延の影響を受けることはない。つまり、ミリ秒単位の遅延問題は完全に解消されることになる(関連記事:SSDがネットワークとCPU使用率に与える影響)。
SANの手前に配備するサーバベースのSSDで最も効果的なユースケースとしては、長期間にわたって頻繁にアクセスされるが、あまり変更されることがないようなデータの保存が挙げられる。この種のデータの例としては、データベースのインデックスあるいはデータベース全体がある。こういった導入形態によって、データアクセスの遅延を最大90%減少させることができる。ストレージ自動階層化(AST:Automated Storage Tiering)ソフトウェアの中には、アレイからPCIe SSDに移動できるものもあるが、ストレージ階層間の頻繁なデータ移動は、ミリ秒単位の遅延という大きなペナルティを発生させる恐れがある。そういったケースでは、アレイあるいはアプライアンスというソリューションの方が勝っているかもしれない。
SSDアプライアンス
SSDアプライアンスというのは専用の筐体に組み込まれたSSDアレイだ。SSDアプライアンスの最大の利点は、遅延が最も問題となる箇所がどこであるかに応じて、ホストとアレイ間の任意の場所に配置できることだ。サーバの近くに配備したアプライアンスはネットワークブートデバイスとして利用できる。これにより「ブートストーム」問題はほぼ解決する(関連記事:仮想デスクトップ一斉起動時の速度低下を解消するSSD)。
SSDアプライアンスは、クラスタ化あるいは仮想化された環境でファイル(特にメディアファイル)を配信するのにも適している。サーバの近くにアプライアンスを配置することにより、ネットワーク遅延の大部分が解消される。それでも多少のネットワーク遅延が残るが、距離を近づけることで遅延は最小限に抑えられる。しかし従来型のアレイからデータを読み出さなければならない場合は、SANとHDDの両方によるミリ秒単位の遅延というペナルティが生じる。
SSDアプライアンスの2番目のユースケースは、SANの向こう側、すなわち従来のアレイの近くに置くという方法だ。こういった配備形態のアプライアンスは、仮想ストレージ用の集約型SSD層として利用することができる。SSDを各アレイ内に配置する代わりに、SSDアプライアンスを全てのアレイが「ティア0」として利用できるようにするのだ。これにより、論理ユニット番号(LUN)が異なる複数の物理アレイにまたがり、データがシステム間で動的に移動する仮想ストレージのパフォーマンスが改善される可能性がある。その結果、バックエンドのストレージ管理作業が、ティア0で起きているデータアクセス動作に影響を与えないようになるかもしれない。
アプライアンスの3番目のユースケースは、ハイブリッド型クラウド構成におけるデータセンター側での利用だ。WANの距離やHDDの特性によっては、クラウドデータセンターのデータにアクセスする際の遅延がかなり大きくなる可能性がある。クラウド構成では、コスト削減のために大容量/高遅延のHDDが含まれる場合も多い。データセンターでSSDアプライアンスを使用すれば、頻繁にアクセスするデータをユーザーの近くに置くことができ、クラウドプロバイダーまではるばる行くよりも遅延ははるかに少なくて済む。クラウドアレイのデータにアクセスする必要があるときには、この遅延は必ず発生するが、全体として見ればかなりの改善が見込まれる(関連記事:クラウド以後のストレージ未来予想図)。
4番目のユースケースは、古いアレイの総合スループットの改善を目的としたものだ。老朽化しつつあるアレイに新しいSSDを追加するのは、費用効果という点で問題があるかもしれない(関連記事:仮想デスクトップ環境のROI最適化にSSDを活用)。しかし古いアレイの手前にSSDアプライアンスを置くことにより、データアクセス速度を大幅に改善するとともに、既存資産の使用寿命を延ばせる可能性がある。このアプローチのコストは、フォークリフトをアップグレードするよりもずっと低いかもしれない(関連記事:SSDの利点を生かすにはシステムの設計変更が必要な場合も)。
総合的に見れば、SSDの導入形態には広範な選択肢が存在するため、ストレージアーキテクトはソリューションに過大な投資をしなくとも、アプリケーションの要求に合わせてI/Oパフォーマンスを最適化することが可能だ。具体的な導入形態は製品によって異なるだろうが、大抵のベンダーはベストプラクティスを示したガイドラインを用意している。ストレージアーキテクトは、SSD導入に際してまず遅延インパクト分析を実施すれば、SSDをどこに配備するのが最も効果的であるかを判断できるはずだ。
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