相次ぐSSD関連製品のリリース
企業向けSSD市場が活性化してきた本当の理由
新しいSSD関連製品が続々と発表され、さまざまなベンダーが市場に参入してきた。彼らが狙うのは先行するコンシューマ分野ではなく、エンタープライズ市場のハイエンド分野だ。
ソリッドステートストレージ端末市場が拡大を続けている。米GridIron Systemsは先ごろ、SAN(Storage Area Network)アクセラレーションデバイス「GridIron TurboCharger」を発表し、この分野に参入した。一方、米Texas Memory Systems(TMS)は、新しい制御技術をベースとしたPCIeソリッドステートドライブ(SSD)を発表した。
SSD市場の活発化を示すニュースはこれだけではない。米EMCは5月初め、PCIeベースのSSD製品「Project Lightning」のプレビューを行うとともに、大企業向けおよび中堅企業向けに、全てSSDをベースとするストレージシステムの計画を明らかにした(Project Lightningについては、「SSDに重複排除ソフト──2011年下半期注目のバックアップ/リカバリ技術」も参照)。また米SanDiskは5月9日、SSD分野の米新興企業Pliant Technologyを3億2700万ドルで買収した。
GridIron TurboChargerの競争相手となるのは、米Dataram、TMS、米Violin Memory、米Whiptailなどのベンダーが提供するSANアクセラレーションデバイスだ。TMSの「RamSan-70」(コードネームは「Gorilla」)は米Fusion-ioおよび米LSIの製品と競合し、将来的にEMCのサーバベースのPCIe SSD製品とも競合することになる。
SANアプリケーションの性能をアップさせるGridIron
GridIronはまだ正式にデビューしていないが、既に8社の顧客が同社のTurboChargerアプライアンスを業務で利用している。このシステムについて同社に取材したところ、以下のような説明を受けた。
TurboChargerはサーバとストレージアレイの間に置かれ、Oracle Databaseなどブロックベースのアプリケーション、米NetAppのV-SeriesなどのSANストレージを利用するファイル管理ソフトウェア、米IBMのSAN Volume Controllerなどのストレージ仮想化システムを高速化する。
同アプライアンスは、遅延を減少させると同時にIOPS(1秒間当たりのI/O回数)を増大させるよう設計されている。アプリケーションがデータにアクセスするたびにそれを履歴として記録し、この情報に基づいてデータをRAM、フラッシュメモリあるいはディスクのどれに格納すべきかを判断する。読み込みに時間がかかるデータはフラッシュメモリに置かれ、ディスクに書き込まれる可能性の高いデータはRAMに移される。TurboChargerは最終的にディスクにデータを書き込み、データのマスターコピーをストレージアレイに保存する。このため、ユーザーが同アプライアンスを取り外したり電源を切ったりしても、アプリケーションの動作に影響が及ぶことはない。
TurboChargerでは2種類のモデルが用意されている。容量が2.5Tバイトの「GT1100」の価格は20万ドル。容量が6.5Tバイトの「GT1100A」の価格は25万ドルとなっている。システムをクラスタ化することが可能で、高可用性を実現するために少なくとも2台をペアにして使用するのが一般的だという。
また、TurboChargerは米Intelのマルチレベルセル(MLC)型SSDを採用する。GridIronのデイブ・アンダーソンCTO(最高技術責任者)によると、低価格のMLCはシングルレベルセル(SLC)型SSDよりも性能は劣るものの、同社独自のメモリ管理技術によって高いパフォーマンスを実現しているという。「この技術では、データがどう処理されるのか、つまり書き込まれるのか読み出されるのかを予測する。次に読み出されるデータの場合は、キャッシュではなくRAMに格納する」と同氏は説明する。
さらにアンダーソン氏によると、TurboChargerではフラッシュメモリを読み出し専用として使用するため、アプリケーションのパフォーマンスが向上し、フラッシュメモリの寿命も大幅に伸びるという。
「フラッシュメモリはネットワークに接続されるので、社内の全てのストレージとサーバはいつでもフラッシュメモリにアクセスできる」(同氏)
オンラインショッピングサイトを運営する米Shopzillaは、TurboChargerの早期ユーザーの1社だ。Shopzillaでインフラと技術を担当するバージン・エンジニア副社長は、半年間にわたるテストを経て、2010年8月に8台のGT1100A TurboChargerの運用を開始した。IBM XIV SAN上で動作する5ノードのOracle RAC 10gデータベースクラスタ(容量40Tバイト)を高速化するのが目的だ。同氏によると、GridIronのアプライアンスにより、クラスタのスループットが4.6Gbpsから10Gbpsへと2倍以上も高速化したという。
「当社にとって極めて重要なSAN環境で運用を開始した。当社のデータウェアハウスは社内で最も活発に利用されているアプリケーションの1つだ。業務上の決定は全て、このデータウェアハウスから得られる数字に基づいて行われる」とエンジニア氏は語る。
エンジニア氏によると、TurboChargerをVMwareサーバ群とファイルストレージ用システムの手前に置く計画だという。「TurboChargerはインテリジェントな頭脳を持っており、高速化する必要があるのはどれで、その必要がないのはどれかを判断できる。これは、われわれが現在向かっている方向と、5年後の到達点、すなわち全面的なソリッドステート化との間の橋渡しをする製品だ」と同氏は話す。
エンジニア氏によると、アプライアンスをインライン配備する前に、同社のデータベースのマスターコピー(同社では「ゴールデンコピー」と呼んでいる)が安全であることをベンダーに保証してもらう必要があるという。「インライン配備に対して大きな不安を感じているからだ」と同氏は説明する。「GridIronは全てのゴールデンコピーを当社のバックエンドストレージに置くと保証している。停電になったり電源を切ったりした場合でも、ゴールデンコピーがストレージ上に残されているということだ。当社の場合、機器をインラインに配備するに当たっては、こういった保証が必要だ」
TMSはサーバによるSSD管理を不要に
TMSの「RamSan-70」は、同社の新コントローラーと東芝の32ナノメートルSLC型フラッシュメモリを搭載した900GバイトのPCIeカードだ。TMSによると、RamSan-70は33万IOPSを超える性能と2Gbps以上の帯域幅を提供するという。
TMSの「Series-7 Flash Controller」は米XilinxのFPGA(Field Programmable Gate Array)と組み込み型PowerPCプロセッサを搭載する。同コントローラーはSSD管理機能を備え、サーバによる管理が不要となるのが特徴だ。
「最大の売り物は新コントローラーだ」と話すのは、米Storage Strategiesのアナリスト、ジェームズ・バグリー氏だ。「Fusion-ioのPCIe製品やTMSの以前の製品では、サーバに大きな負担が強いられる。RamSan-70では、新しいコントローラーがこういった仕事を全て引き受ける」と同氏は話す。
TMSによると、同社初のハーフハイトPCIeカードとなるRamSan-70は、従来機種のPCIe SSDカード「RamSan-20」と比べて、その容量は2倍でパフォーマンスが3倍以上に改善されているという。小売価格はカード1枚当たり1万5000ドル。
TMSでは、サーバOEMを通じてRamSan-70を販売する予定だ。データウェアハウジングやERP、科学技術、Webコンテンツなどの市場をターゲットとする。TMSのダン・シール社長によると、RamSan-70ではパフォーマンスを重視しているため、安価なMLC型ではなくSLC型のフラッシュメモリを採用しているという。「当社はコモディティー分野を狙う企業ではない。ハイパフォーマンス分野に狙いを定めているのだ」と同氏は話す。
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