注目技術の最新トレンド
「オールフラッシュアレイ」はもはや普通? 高機能と大容量で進む一般化
IBM、Violin Memory、Kaminarioのオールフラッシュストレージアレイの新モデルは、データ削減および管理機能の強化と、大容量化というトレンドに沿っている。
高パフォーマンスをひたすら追求していたオールフラッシュアレイベンダーが、急成長する市場に対応するため、ストレージの節約とデータ管理を強化し、大容量化を進めている。
米IBM、米Violin Memory、米Kaminarioが2014年にリリースしたオールフラッシュアレイ(AFA)の新モデルは、250Tバイト以上の容量を選択できるようになっており、従来のディスクアレイで定番のストレージ機能を備えている。こうした機能にはインライン重複排除および圧縮、スナップショット、レプリケーション、データ暗号化をはじめさまざまなものがある。他のAFAベンダーもこうした機能の整備にしのぎを削っており、自社製品に欠けていた機能への対応を進めている。
「フラッシュストレージアレイが成熟し、AFAがパフォーマンスアクセラレーションにとどまらず、幅広い用途に導入されるようになってきたため、これらの機能が必須になっている」と、米調査会社Evaluator Groupのシニアストラテジストを務めるランディ・カーンズ氏は指摘する。
同氏によると、第1世代のAFAは高価で容量が限られ、多くは100Tバイト未満だった。アーリーアダプターはこれらのAFAを、主にミッションクリティカルなデータベースや仮想デスクトップインフラ(VDI)、仮想サーバなど、高いIOPS(1秒当たりの読み込み・書き込み回数)が必要な単一のアプリケーション用に使用したという。
だが、フラッシュの価格低下に加え、重複排除や圧縮のようなデータ削減技術のおかげで、フラッシュストレージアレイの経済性が向上している。さらに、容量も増えていることから、AFAで複数のアプリケーションを運用しやすくなっている。
カーンズ氏はこう語る。「フラッシュアレイは顧客の環境を簡素化する。顧客はパフォーマンスチューニングをあまり行う必要がない。データの配置まで管理しなくても、優れたパフォーマンスが得られる。こうした恩恵を受けた経験から、顧客は、簡単に効果が現れると期待して、もっと多くのアプリケーションをこのアレイで運用しようと考えるようになっている」
ERPやCRM、電子商取引といったミッションクリティカルなアプリケーションでAFAが使われる場合、エンタープライズストレージ機能が極めて重要になると、米調査会社Taneja Groupのコンサルティングアナリスト、アルン・タネジャ氏は語る。
「AFAは非常にパフォーマンスの高いアレイだが、ユーザー企業にとっては、高度に制御できるものでなければならない。データ保護や高いデータ効率を実現できる機能が求められる。1社のベンダーがそうした機能を提供したら、他のベンダーは、追随しない限り太刀打ちできない」(タネジャ氏)
既に一部のAFAベンダーの業績は、こうした構図を反映したものになっている。Violin Memoryは、パフォーマンスを重視した特定用途向けAFAの分野で早くから大手の一角を占め、2012年には新興のフラッシュストレージアレイ市場で売り上げ首位を獲得した。だが、2013年には3位に転落。市場全体が3倍近くに拡大したのに対し、前年に7210万ドルだった同社の売上高は、8830万ドルと小幅な伸びにとどまったと、米調査会社Gartnerは報告している。
「Violin Memoryは、低機能のオールフラッシュアレイを手掛けていては成功を望めないことを理解した」と、米調査会社Enterprise Strategy Groupのシニアアナリスト、マーク・ピーターズ氏は語る。「彼らは製品展開で新機軸を打ち出すとともに、経営体制とマーケティングも見直している」
Violinは機能セットの強化に向けてソフトウェアエンジニアを雇い、米FalconStorから同社の技術のソースコードライセンスを購入し、米Microsoftと提携。そして2つの新しいAFA製品ラインをリリースした。1つは「Windowsフラッシュアレイ」。Microsoftの「Windows Storage Server 2012 R2」を搭載し、シンプロビジョニング、ポストプロセス重複排除および圧縮、スナップショット、ミラーリング、転送データの暗号化といった機能を提供するものだ。
もう1つは「Concerto 7000オールフラッシュアレイ」。このAFAは同期およびリモート非同期レプリケーション、ストレッチクラスタ機能(MAN[メトロポリタンエリアネットワーク]で接続されたデータセンター間で同AFAを結び、データの高可用性を実現)、高度なデータ保護などのデータサービスを提供する。インライン重複排除および圧縮機能も2014年中に追加される予定だ。
「オールフラッシュがレプリケーションやスナップショットをサポートしていなければ、グローバル企業は、50Pバイトのディスクストレージに代えて10Pバイトのオールフラッシュを展開することはしないだろう。そうしたデータ保護を必要としているからだ」と、Violinの最高マーケティング責任者兼事業開発担当上級副社長を務めるエリック・ハーゾーグ氏は語る。
市場をリードするIBMは、余分な機能を省いて高パフォーマンスを追求したアプリケーションアクセラレーション用のAFAと、フラッシュをHDDの代替と考える顧客向けの機能豊富なAFAを販売している。2014年1月に従来製品の2倍のパフォーマンスを提供する「IBM FlashSystem 840」を発表。3月には機能豊富な「IBM FlashSystem V840」をリリースした。FlashSystem 840と同社の「System Storage SANボリュームコントローラー」のソフトウェアスタックを統合したものだ。このスタックはシンプロビジョニング、インライン圧縮、スナップショット、レプリケーションといった機能を備える。
Kaminarioも2014年5月、機能を拡充し、最大物理容量を240Tバイトから307.2Tバイトに増やした新AFA「K2 v5(第5世代K2)」をリリースした。これにより、同社のAFAの1Gバイト単価は8.69ドルから2.55ドルに下がった。
2014年に機能が強化された他のAFAとしては、米EMCの「EMC XtremIO」(スナップショット、暗号化)、米Hewlett-Packard(HP)の「HP 3PAR StoreServ 7450」(ハードウェアアクセラレーテッドインライン重複排除、シンクローン、フラッシュドライブの高密度化、最大物理容量の460Tバイトへの拡大)、米Hitachi Data Systemsの「Hitachi Unified Storage VM」(3カ所のデータセンターに対応するレプリケーション)、米NetAppの「NetApp EF550」(暗号化)、米Pure Storageの「FlashArray」(レプリケーション)などがある。
一部のフラッシュアレイでは、2013年までに幅広い機能セットがサポートされるようになっていた。例えば、米Nimbus Data Systemsのアレイでは、シンプロビジョニング、インライン重複排除および圧縮、スナップショット、クローン、レプリケーション、暗号化、サービス品質といった機能が追加費用なしで既に提供されていた。
Pure Storage、米Skyera、米SolidFireもさまざまな機能に対応していたが、その種類はそれぞれまちまちだった。EMCのXtremIOはシンプロビジョニングやインライン重複排除などをサポートしており、Violinはシンプロビジョニングおよびスナップショット機能を提供していた。しかし、特定用途向けAFAの機能を拡充する動きは2014年に入って活発化しており、ベンダー数社は、まだ欠けている重要な機能を年内か2015年に投入する計画を表明している。
米調査会社Objective Analysisの主席アナリスト、ジム・ハンディ氏はこう振り返る。「米Whiptailや米Dataramといったベンダーは5年以上前、『われわれのオールフラッシュアレイは、既存の大手ストレージベンダー全社を完全に打ち負かすだろう』と豪語していた」
彼らのもくろみが外れたのは、製品の機能が貧弱だったからだと、ハンディ氏は指摘する。「機能性は、他のメーカーに差をつける大きな要素だ。オールフラッシュアレイ自体は魅力的だが、ある特定の製品が、データセンターマネジャーが運用するのに大変な手間が掛かるのであれば、その製品は魅力的とはいえない」
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