ハイブリッドvs オールフラッシュ、どちらを選ぶ?【後編】
SSDの向き、不向きを再考する
SSD導入でストレージ性能が劇的に改善する可能性がある。しかし、ハイブリッドとオールフラッシュなどの実装方法によって導入効果は大きく変わる。効果的な使い分けを伝授しよう。
大容量化や価格低下が進み、導入するユーザーが増えたといわれるSSD。HDDと共存する「ハイブリッド型」、性能重視で「オールフラッシュ」のどちらを選ぶべきか。前編「SSD導入がお得になる場合、ならない場合」に続き、関連製品を提供するベンダー各社の違いや使い分けのガイドラインを紹介しよう。
二者択一か、両方か
大手ストレージベンダーは、フラッシュ技術を取り入れて従来のHDD製品ラインを拡張している。ハイブリッドデバイスやオールフラッシュユニットを投入しているケースが多い。米IBM、米EMC、米NetApp、HPは、いずれもこれらを全てラインアップしているが、各社の具体的な実装には重要な違いがある。
IBMは「SAN Volume Controller(SVC)」の仮想化機能を拡張し、目的に応じて選べる同社の各種のオールフラッシュデバイスやハイブリッドアレイを管理できるようにしている。オールフラッシュデバイスには「FlashSystem」ファミリーなどがあり、ハイブリッドアレイには「XIV Storage System」「Storwize」「DS」といった製品ラインがある。全てのデバイスをSVCで管理できるため、IBMはハイブリッドの考え方をアレイだけでなく、エンタープライズストレージ全体に適用している。企業がスケールやパフォーマンスのニーズに応じて、メディアとアレイをそれぞれ組み合わせて展開する上で、究極の柔軟性を享受できるようにする狙いだ。
EMCの「VMAX」を使えば、ハイブリッドシステムとオールフラッシュシステムを仮想化し、単一のシステムとして統合的に扱える。VMAXの他にも同社の「VNX」「VNXe」「Isilon」などの製品群は、ハイブリッドまたはオールフラッシュとして構成することが可能だ。このため、ユーザーはいつでもソリューションを導入し、時間とともに要件が変わるのに合わせて進化させていける。さらに、同社のオールフラッシュソリューションである「XtremIO」アレイは、全ての側面においてフラッシュの能力を最大限に引き出すアーキテクチャに基づいている。
EMCはハイブリッド製品とオールフラッシュ製品を区別する必要が必ずしもないため、包括的なアプローチで市場展開を進めている。つまり、予算を気にする購入担当者には従来のHDDアレイを提供し、高いパフォーマンスが必要な場合はハイブリッド構成を、QoSの保証が求められる状況ではオールフラッシュを提供するといったことができるわけだ。どの製品ラインを推奨するかは、RAS(信頼性、可用性、保守性)の要件に基づいて判断される。顧客が最大99.9999%(シックスナイン)の可用性を必要とする場合は、ハイブリッドまたはオールフラッシュプロビジョニングのいずれかを問わず、EMCはVMAXを選ぶ。
HPの「3PAR」ストレージも、同様にHDDからハイブリッド、オールフラッシュ構成までが網羅されているが、興味深い仕掛けが施されている。同じアレイでSLC(シングルレベルセル)およびMLC(マルチレベルセル)フラッシュの両方が提供されていることだ。HPは、キャッシングレイヤーを書き込みに、フラッシュティアを読み出しに使うことを勧めている。この仕掛けは、同社の「Adaptive Optimization」ソフトウェアをベースに作られている。3PARのOSは、新しいメディアを含むあらゆるタイプのメディアをシームレスに仮想化する、クラスタボリュームマネジャーおよび仮想メモリの実装を備えている。
NetAppは「FAS」「Vシリーズ」「Eシリーズ」アレイのポートフォリオ全体にわたってフラッシュを提供しており、「EF540」はオールフラッシュシステムだ。NetAppは通常、同社のアレイで「Flash Pool」機能と組み合わせて、フラッシュを全容量の1~2%の割合で利用することを勧めている。また、電子メール、Webサーバ、アプリケーション開発、コラボレーションなどの一般的なワークロードは、ハイブリッド構成で最適に実行されると述べている。これらのユースケースにおけるワークロードは、必要なIOPSが15万未満で、3~5msの遅延を許容するという。ワークロードがもっと高いIOPSを必要とする場合や、QoS設定で許容される遅延がサブミリ秒の場合については、オールフラッシュが推奨されている。
米Oracleの「Oracle ZFS Storage ZS3」はハイブリッドアレイだが、同社は、フラッシュとDRAMを併用するアーキテクチャのおかげで、データヒット率が最大90%に達し、それらの読み出し遅延がサブミリ秒にとどまる可能性があるとしている。さらに同社は、競合するオールフラッシュシステムに対する大きなコスト優位性も宣伝している。ユーザーは、オールフラッシュに近いパフォーマンスをハイブリッドのコストで得られる可能性があるという。Oracleの「Hybrid Storage Pool」が動的かつ自動的に、DRAM、リードフラッシュ、ライトフラッシュの間でデータを移動し、アレイのパフォーマンスを最適化する仕組みだ。
RAIDの考慮点
フラッシュデバイスは他のストレージメディアと同様に、RAIDで保護する必要がある。ほとんどのベンダーは、従来のRAID技術をフラッシュで利用できるようにしているが、RAIDを使うと、HDDの場合と同様に容量単価が上がり、処理のオーバーヘッドが大きくなる。
IBMはFlashSystemストレージで、「Variable Stripe RAID」技術によってこの問題に対処している。この技術ではフラッシュコントローラーにRAID 5が組み込まれる。その結果、ラインスピードで動作するパリティベースのRAIDが構築され、ワークロードがコントローラー間で分散される。
NetAppは「SANtricity」ソフトウェア(Eシリーズに搭載)で「Dynamic Disk Pools」機能を提供している。この機能はドライブ間でデータ、パリティ、スペア容量を分散する。この機能により、NetAppは、高いパフォーマンスを維持しながら、障害が発生したドライブのリカバリを迅速化できると説明している。
Nimbus Dataは、フラッシュへの書き込みに伴う損耗を軽減するように設計されたRAID 5アルゴリズムを採用している。
使い分けのガイドライン
アーキテクチャの違いにかかわらず、ベンダーは、ハイブリッドとオールフラッシュの使い分けのガイドラインについて、おおむね見解が一致している。
第1に「許容遅延がサブミリ秒である」場合や「QoSの保証が必要である」場合は、オールフラッシュを採用すべきだ。あるいは、Oracleに言わせれば、オールフラッシュに近いパフォーマンスを提供するハイブリッド製品も、選択肢に入ることになる。QoSが要求されるアプリケーションとしては、例えば、ユーザーエクスペリエンスが極めて重要な電子商取引や、スピードが肝心な意思決定支援分析などが挙げられる。
第2に「サポートすべきワークロードが変動しやすく予測できない場合は、容量単価が低いハイブリッドデバイスがニーズに対応できる」ことが多い。Nimbus、SolidFireなどのオールフラッシュベンダーは、この経験則とは異なる答えを持っているかもしれない。実際、これらのベンダーが推す製品は、コストパフォーマンスという点で興味深い特徴を持つ。IOPS単価で有利な可能性がある。この分野のアプリケーションには、例えば、コラボレーションや電子メールの他、データライフサイクルから見て、瞬時にアクセスする必要がないデータを含むアプリケーション全てが当てはまる。
本稿筆者のフィル・グッドウィン氏は、ストレージ専門のコンサルタント兼フリーランスのライター。
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