仮想化市場に切り込む新興企業
2015年に期待される仮想化スタートアップ企業トップ10
2015年注目の仮想化スタートアップ企業10社をピックアップ。大手ベンダーに挑戦しているスタートアップ企業もあれば、全く新しいテクノロジーを定義しようとしているところもある。
仮想化市場に切り込む新興企業
IT産業の変革のスピードは、うかうかしていると一夜にして置いてきぼりを食ってしまいそうな勢いだ。実績のある大手ベンダーから提供される新機能やアップデートは、ITプロフェッショナルの要求に十分応えられるものだろう。しかし、革新的なアイデアやテクノロジーの多くは、実はスタートアップ企業が開発したものである。
一般的に仮想化スタートアップ企業の多くは、前向きな考えを持つ経営幹部が自分の業績(と、お金)を築き上げようとして立ち上げたものだ。また、大手企業のエンジニアがスピンオフし、独自のアイデアでベンチャー企業を立ち上げ、ニッチ市場に挑戦する場合もある。
本稿では、2015年に注目を集めそうな仮想化スタートアップ企業10社をピックアップした。既存の大手ベンダーに挑戦しているスタートアップもあれば、全く新しいテクノロジーを定義しようとしている企業もある。問題は、いつの時代も新参者が成功するのは容易ではないという事実だ。これらの企業は、いずれ有名になって利益を上げるようになるかもしれない。だがその一方で、市場に受け入れられず消えていく企業もあるだろう。もちろん、今日のような競争市場においては、より大きな魚に一気に飲み込まれてしまう可能性も十分にある。
Docker:コンテナ仮想化への熱狂は続くか?
米Dockerは2014年にブレークした。何もないところから浮上し、複数の有力企業からパートナーシップを獲得しつつある。ただし、問題はDockerが立ち上げた勢いをこの先も維持できるかという点だ。OSに依存せずにアプリケーションや関連機能をパッケージ化するというDockerコンテナアプローチは、大きな可能性を秘めている。しかし、企業ITに適合するか疑問視する声は多く、既に競合企業も現れ始めた。
Bromium:エンドポイントセキュリティへの仮想化アプローチ
今日頻発するデータ漏えいや不正侵入のほとんどがエンドポイントに端を発していることを考えれば、エンドポイントとそこから広がるデータセンター全体を保護するための仮想化技術を手掛ける米Bromiumを無視することはできない。Bromiumは、外部からの攻撃を検出して排除するためにウイルス対策プログラムに依存するのではなく、エンドポイントのセキュリティにユニークなアプローチを採用。同社のソフトウェアは仮想化レイヤーにプロセスを隔離し、悪意のあるコードが他のシステムにアクセスすることを阻止する。
Eco4Cloud:VMスプロールの“グリーン”思考
省エネルギーはこれまでITプロフェショナルのTo-Doリストに含まれなかった課題だが、イタリア系のスタートアップ企業であるEco4Cloudはそこに挑もうとしている。他の企業は既存のハードウェアにより多くの仮想マシン(VM)を詰め込むための手助けをするが、Eco4Cloudのソフトウェアは省エネルギーの観点から、VMのスプロール化(無秩序な広がり)とコンピュート資源の無駄使いを監視する。同社のソフトウェアを利用すれば、ワークロードを統合するタイミングを特定でき、必要なホストの数を削減して、結果的に電力消費を抑えることが可能になる。
Maxta:SDSで注目集めるスタートアップ
米Maxtaが開発した「MxSP」ソフトウェアは、Software-Defined Storage(SDS)にベンダーに依存しないアプローチを採用。この手法では、標準的なx86マシン上にストレージをプールすることで、伝統的なSANをリプレースすることが可能になる。異機種環境のデータセンターがますます一般的になる中、複数のハイパーバイザーをサポートすることが可能なソフトウェアオンリーのアプローチを採用できる能力を持っていることは、企業の意思決定にとって重要な要素になるだろう。
Nakivo:バックアップソフトウェアで大手ベンダーに立ち向かう
米Nakivoは、新しい市場を独占しようというわけではない。同社は、既存のバックアップベンダーに挑戦し、成功を収めつつある。Nakivoは米VMwareのVMのバックアップとディザスタリカバリ(DR)にフォーカスし、2012年の創立以来、急速に業績を拡大している。同社のバックアップソフトウェアは競合他社のものと比較して低価格であり、それが歴史的に競争の激しい市場での快進撃につながっているようだ。
Nimboxx:ハイパーコンバージェンスにKVMアプローチを採用
VMwareの仮想化に依存する企業のハイパーコンバージドインフラストラクチャ製品を巡る喧噪の前では、VMwareもまだ世界を制したわけではないという事実は忘れられがちだ。米Nimboxxのハイパーコンバージドインフラ製品はKVM(Kernel-based Virtual Machine)のカスタマイズ版を用いているが、それは同社の製品が、ハイパーバイザー層をサポートするコストを別途必要とせずに利用できることを意味する。Nimboxxはまた、アプリケーションプロバイダー向けにアプリケーションOEM製品も手掛けている。
Opvizor:管理改善のための予測分析を提供
急激に変化するこの時代にあっては、効率的なインフラの構築と保守に、予測的アナリティクスが大きな力を発揮する。そして、それこそが複雑なデプロイメント(導入・展開)を管理する最新のトレンドだ。米Opvizorのソフトウェアには、オンプレミスインストールとSaaS(Software as a Service)のオプションがあり、いずれもVMwareとNetAppの設定に関わる問題をプロアクティブに認識し、解決するためのガイダンスを提供する。
Platform9:OpenStackプライベートクラウドを構築するためのSaaSを提供
OpenStackの背後にある全ての勢いと関心を差し引いても、オープンソースプラットフォームをベースにプライベートクラウドを構築することは、依然として多くの企業にとって困難な仕事だ。米Platform9が提供するSaaSは、既存のインフラと連係してプロセスを単純化するので、企業は高額な報酬を支払ってエンジニアを雇わなくても、OpenStackによるプライベートクラウドを構築することが可能になる。OpenStackが本格的に普及するのであれば、Platform9のような企業がその流れを支援することになるだろう。
Ravello Systems:クラウドのポータビリティを可能に
米Ravello Systemsは新たなレベルのポータビリティを企業にもたらそうとしている。“クラウドアプリケーションハイパーバイザー”と呼ばれる同社のソフトウェアは、ネットワーキングやストレージアーキテクチャを含む複数のVMアプリケーションを、手作業による変更を加えることなく、パブリッククラウドに移行することができる。Ravelloによると、実稼働中のVMware環境のクローンをパブリッククラウドに置き、アップグレードやパッチの適用を本番環境に展開する前にテストするといった利用法が考えられるという。Ravelloがクラウドポータビリティのニューウェーブを可能にする最初の企業だとしても驚いてはいけない。
Stratoscale:BYO型ハイパーコンバージド・スタックに注力
イスラエルのStratoscaleは今回のリストの中では、ワイルドカードといえる。新興企業は大物に挑戦するが、同時に有力な支援者が控えている場合もある。同社のプラットフォームはOpenStackをベースに、x86サーバのラック全体を単一のインタフェースで管理可能なBYO(Build Your Own:自力構築型)ハイパーコンバージドインフラに変えることを目指す。最近、ステルスモードを脱したStratoscaleは、米Intel、米Cisco Systems、米SanDiskなどの有力企業から投資を受けている。問題は、同社が競争市場においてこのまま成長を維持できるか、それともコンバージドインフラ製品戦略の開発をもくろむ大手ベンダーの買収ターゲットになってしまうかである。
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