2014年は「DaaSの年」だったが、2015年は?
「Windows 10」か「Chromebook」か、2015年のデスクトップ仮想化の主役は?
専門家はDaaS、BYOD、Linuxのサポートを2014年の大きなトレンドだと考えている。2015年にはこれらのテクノロジーにまつわる弱点を解決する方法が誕生することを期待している。
本稿では、仮想化に関する2014年の最大のトレンドを振り返ってみたい。2014年のトレンドは、2015年に待ち受けている状況を判断する一助にもなる。
デスクトップ仮想化市場は、ベンダーによる製品の発表、リーダーの交代、戦略の微調整に関するニュースであふれていた。だが、ベンダー固有のトピックは、米TechTargetを代表する3人の専門家が2014年最大のトレンドとして挙げたものとは異なる。
TechTargetの寄稿者でもある3人の専門家は、「モバイル」「BYOD(私物端末の業務利用)」「サービスとしてのデスクトップ(DaaS)」「Linux」および米Microsoftの「Windowsの進化と結末」が2014年最大のトピックだと述べている。また、このようなトレンドにまつわる弱点を解決する方法が2015年に誕生すると予測している。2014年の動向と2015年に待ち受けているものに関する各専門家の見解を以下に示す。
ブライアン・ポージー氏
個人的に2014年最大のトレンドだと感じたのは、「VDI(仮想デスクトップインフラ)」とBYODの境界が曖昧になったことだ。ユーザーがモバイルデバイスから仮想デスクトップにアクセスする頻度は高くなっている。その結果、「MDM(モバイルデバイスの管理)」、セキュリティおよびサポートが多くの注目を集めた。
2015年には、クロスプラットフォームのサポートがさらに重視されるようになると考える。仮想デスクトップ、仮想アプリケーション、従来のアプリケーションが、各種デバイスで同じ外観を持ち同じように動作することを保証するための大きな後押しがあるだろう。また、どの種類のデバイスを管理するときでも一貫した操作性を確保するために、MDMベンダーは積極的な取り組みを行うはずだ。この分野については足らないところが目立つ。
数日前、機能にほとんど一貫性がない、あるMDMツールを調査していた。ある機能はWindows PCで動作するが、米Googleの「Android」搭載デバイスでは動作しない。一方、Android搭載デバイスで動作するが米Appleの「iOS」搭載デバイスでは動作しない機能もあった。これはごく一般的な問題で、すぐにでも対処する必要があるものだと個人的には考えている。
ロバート・シェルダン氏
興味深いと感じたのは、これからリリースされるWindowsデスクトップOSの将来だ。また、この点については今後も目が離せないだろう。
Microsoftは仮想化周辺のライセンス構造を2014年に緩めた。だが、この変更は「ソフトウェアアシュアランス(SA)」の契約者を対象としたもので、Enterprise Editionの製品に限られている。そのときですら、MicrosoftはDaaSについて言及しなかった。つまり、中小企業は蚊帳の外に置かれたも同然だ。また、「Windows 8」は苦戦を強いられている。これまでの導入は、Windows 8に移行せざるを得なかった顧客が導入した結果にすぎない。「Windows XP」のサポートは終了し、「Windows 7」のサポートが終了する日もそう遠くはない。Windows 8を使用することを強いられた消費者と企業はMicrosoftの対応を快く思っていない。
ここにクラウドコンピューティング、モバイル、HTML5、仮想化の進歩が加わることで、何でも可能な領域に移行しつつあるように思える。このような可能性の1つとして、デスクトップ産業におけるMicrosoftの牙城を崩すテクノロジーが出回っていることが挙げられる。
仮想化によってシンクライアントコンピューティングという概念は、いつでも実現できるようになりつつある。その結果、OSの重要性が大幅に低下している。社内で仮想化を行うか、DaaSを経由するかは関係ない。つまり、Googleの「Chromebook」のような選択肢が新たに出現するのを目の当たりにする可能性がある。管理者は、デフォルトの設定を使用してLinuxを搭載したデスクトップPCでWebベースのアプリやシンクライアントを実行できる。Google、米NASA、スイスCERN、米国防総省といった名だたる組織が、既にLinuxを搭載したデスクトップPCを使用している。
Windowsは依然として世の中の主要OSとして君臨している。この状況を支えるのは、Windowsベースのアプリケーションとサービスだ。だが、Microsoftですら、多くの分野でクラウドベースモデルへの移行を進めており、この方向に進み続けることを約束している。
例えば、Microsoftの「Microsoft Office 365」は、iOSデバイスとAndroidデバイスで、無料で利用できるようになった。また、Microsoftの「Microsoft Office Online」(旧称、Office Web Apps)には、複数の種類のWebブラウザからアクセス可能だ。Windowsがその姿をすぐに消すことはないが、近いうちに変化があるのは間違いない。将来、デスクトップ仮想化、特にDaaSは、私たちが現時点では認識すらしていない方法で重要な役割を担うだろう。
アリステア・クック氏
何年も前からVDIをSSDに配置することを説いてきた。だが、2014年は、VDIにSSDを使用していない顧客よりも、使用している顧客と話すことが多かった1年だったと考える。新しいベンダーが市場で勢いを増し、VDI用の優れたストレージを提供している。例えば、米Nimble Storageや米Pure Storageなどだ。既存のベンダーも、フラッシュのパフォーマンスを活用したストレージの提供に適宜取り組んでいる。デスクトップ1台当たりほぼ無制限のIOPSを提供するというコストパフォーマンスの向上により、VDI導入最大の弱点は解決されている。
2014年はDaaSがブームになった。「DaaSの年」といえるほどではないが、複数の大手ベンダーが突如としてDaaSをサポートするようになった。DaaSには興味深い用途が幾つかある。その最たるものは、Windowsデバイスを使用しなくなったときに、Windowsアプリケーションの寿命を延長できることだ。2015年には、ぜひとも本物のモバイルシンクライアントにお目にかかりたい。米VMware、米NVIDIA、GoogleがChromebookから仮想デスクトップにアクセスできるようにしたことは、かなり興味深い出来事である。より安定したインターネット接続がホテルで提供されるようになれば、旅行先にChromebookだけを持って行き、クライアントPCの紛失や破損について心配することもなくなるだろう。
2015年には、データセンターの非仮想化ベースのデスクトップに関心が集まると予想している。仮想マシン(VM)ではなく、物理コンピュータにリモートデスクトップセッションホスト(RDSH)を導入しているある顧客と次のような話をした。VMでRDSHを実行するとVMにかなりの負荷が掛かる。一方、64ビットOSなら、RDSHは最新サーバの性能を十分に活用することができる。
米Hewlett-Packardの「HP Moonshot System」などのカートリッジベースのコンピューティングは、さらに密度を高めることを可能にした一歩進んだブレード構造の段階だ。
それからオープンソースのVDIもある。仏パリで2014年11月に開催された「OpenStack Summit」で、OpenStackのクラウドからVDIのデスクトップを提供するという初期段階にあるプロジェクトに関する話を聞いた。ハイパーバイザーのライセンスコストがVDIのコストに占める割合は大きくない。だが、コストを抑えられる機会は利用するに越したことはないだろう。Linux搭載デスクトップPCベースのVDI製品は既に出回っている。仮想化プラットフォームと仲介料金が無料になったらどうなるか考えてみてほしい。この状況で残念なのは、VDIがアプリケーションに他ならず、多くの企業ではLinuxのアプリケーションではなく、Windowsのアプリケーションを使用していることである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[NTTPCコミュニケーションズ株式会社] 「回線速度不足」だけが原因ではない? Web会議の遅延を解決する方法とは -
製品資料
[東京エレクトロン デバイス株式会社] 工場の可用性向上に重要な「7つの領域」と対策 OTセキュリティ強化の基礎知識 -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 問い合わせ対応で本来の業務が進まない、総務や情シスの負担をどう減らす? -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 自社データから高精度な回答を生成、簡単に生成AIチャットボットを構築する方法 -
技術文書・技術解説
[アトラシアン株式会社] IT運用や従業員サポートは生成AIでどう変わる? 使い方や導入の流れは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
全社標準Copilotに絶望? MS Copilotで問い合わせ6割減できた企業は何が違った
-
2
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
3
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
4
ITエンジニア1265人調査 生成AIを使い込むほど「人の確認」が重い理由
-
5
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
6
機械学習について、正しく説明している文章はどれ?
-
7
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
8
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
9
動くコード=安全ではない AIコーディング爆速化でセキュリティ崩壊を防ぐ鉄則5選
-
10
マンガで解説:KSK2稼働で何が変わる? 税務調査の高度化に備えるデータ管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
「スクラム」と「カンバン」の違いとは? アジャイル型開発手法を徹底比較
-
8
AI時代に成功するための「ナレッジマネジメント」ベストプラクティス
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー