仮想化構築の第一歩
2015年、「失敗しない仮想化技術選び」の答えは“コンバージド”?
社内で仮想化を計画しているが、多くの要素があって混乱する。仮想化への第一歩として、どのようなポイントを考慮して計画を進めればよいかを紹介する。
仮想化設計を計画する際は、ハードウェアからハイパーバイザーまで、多くの要素(レイヤー)を考慮しなければならない。本稿では、仮想インフラのさまざまなレイヤーを検討するとともに、どのように製品を選択し、自社環境を設計するかの指針を提供し、新たな仮想化の進め方を見ていく。
仮想化設計で行うべき重要な決定の1つが、ハイパーバイザーを選択することだ。ハイパーバイザーのレイヤーは、インフラで実行される全ての仮想ワークロードの配備や設定、管理の自動化を支える。自社の仮想化設計のためにハイパーバイザーを選択する前に、次の点を検討する必要がある。
- 現在および将来の自社のITワークロードに対応できる拡張性があるか
- Software-Defined(ソフトウェア定義)のサービスを提供するという観点から見て、関連ソフトウェアとの相性はどうか
- 管理レイヤーで運用できるか
- 適切なコンピューティング機能を提供するか
- 仮想環境で稼働するアプリケーションに必要なパフォーマンス機能を備えているか
仮想化ホストは物理ハードウェアを必要とする。リソースを有効活用するため、ホストには常に、合理的な範囲でできるだけ多くの仮想マシン(VM)を配置しなければならない。
もしVMを増やす場合、自社のこれまでの成長率と今後の拡張計画も踏まえるとよいだろう。例えば、支社の開設を計画している場合、ハイパーバイザーレイヤーで仮想化ホストを追加すれば、開設が容易になる。逆に、事業部門の廃止を計画している場合、簡単にスケールダウンできるだろう。ハイパーバイザーレベルでのスケールアップおよびダウンの柔軟性の度合いは、管理ツールの選択時に考慮すべき重要なレイヤーだ。
また、仮想化設計では、仮想環境で稼働するシステム(ワークロード)の可用性も考慮するべきだ。仮想化ソフトウェアの更新プログラムがリリースされたら、現行の仮想化ホストをアップグレードする必要がある。アップロードの間、仮想化ホストで動作するワークロードの可用性を確保することが不可欠だ。具体的には、仮想化ホストをクラスタ化して高い可用性を実現しなければならない。さらに、仮想化プラットフォームには代替システムに自動的に引き継ぎをするフェイルオーバー機能が不可欠だ、アップグレード前にワークロードを別のホストに移動できるようにすることが必要になる。
仮想化設計におけるもう1つの考慮点として、アプリケーションのサポートが挙げられる。現在展開している仮想化ホストでは業務アプリケーションがうまく稼働しているかもしれないが、これらのアプリケーションの更新が必要になったら、どうなるだろうか。自社が使っているアプリケーションのベンダーに連絡し、「どのような更新計画があるか」「計画されている変更によって、仮想化ホストに影響があるか」を確認する必要があるかもしれない。
今では多くのアプリケーションベンダーが、1台のサーバに複数の仮想的なアプリケーション環境を構築する「コンテナ型仮想化」を考慮して新たな開発に取り組んでいる。このため、コンテナ型仮想化をサポートするサーバ/仮想化ホストを展開するとよいだろう。
また、さまざまなベンダーの仮想化ソフトウェアを使って仮想化ホストを展開すると、プライベートクラウドソフトウェアの導入を決定した場合に、多くの選択肢があるというメリットもある。
全てのパブリッククラウドベンダーが、全てのワークロードを、どの仮想化ベンダーの技術が使用されるかにかかわらずサポートするわけではない。例えば、Hyper-Vで動作するVMでアプリケーションをホストしていて、米Amazon Web Servicesのパブリッククラウド「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)に移行しようと計画している。この場合VMは、オープンソースのハイパーバイザー「Xen」をベースとしてAmazon EC2でサポートされるように変換する必要がある。
一方、仮想化ホストで提供される最も重要なサービスには、ストレージとネットワーキングが含まれる。
ストレージサービスは、必要なストレージプロトコル、ストレージアレイ、ストレージネットワークのサポートを提供する。仮想化ソフトウェアの選択は、物理ストレージレイヤーに直接的な影響を与える。例えば、仮想化ホストで実装されているストレージサービスが、必要なストレージプロトコルとストレージアレイをサポートしていなければ、ベースにある物理ストレージインフラは使えない。この場合、インフラ全体をアップグレードする必要があるかもしれない。
すなわち、仮想化ホストは、例えば以下のような機能を持つものを選択しなければならない。
- ダウンタイムを伴わないオンラインでのストレージ拡張
- 物理ストレージレイヤーとの統合によるブロックベースストレージおよびファイルベースストレージのサポート
- 仮想化ワークロード容量の向上
だが、容量を使い切ってしまう心配はない。仮想化ワークロードに割り当てるストレージ容量はいつでも追加できる。問題は、仮想化ホストでサポートされるかどうかだ。ホストが、稼働中でのストレージ拡張をサポートしていなければ、管理は難しくなるだろう。
また、仮想化ネットワークサービスは、物理ネットワークインフラの管理に必要なプロトコルサポートを提供することに加え、仮想化ホストで動作するVMの隔離をサポートできなければならない。
柔軟な管理を実現するコスト効率のよいアーキテクチャが、“コンバージドネットワークアーキテクチャ”だ。従来のアプローチは、個々のネットワークの要素ごとに冗長化を図り、可用性と冗長性の高いネットワークを構築するというものだった。例えば、多くの企業が、独立したスイッチ、ネットワーク経路、ケーブルを使用する専用イーサネットネットワークを展開している。このアプローチは、現在は効果的かもしれないが、ネットワークを取り巻く今後の変化への効率的な適応という点で、限界がある。冗長性が物理ネットワークレイヤーで管理されるため、ネットワークの要素管理のオーバーヘッドが大きくなるからだ。
ほとんどの仮想化ベンダーがコンバージドネットワークアーキテクチャをサポートしている。このアーキテクチャでは、ストレージトラフィックとネットワークトラフィックが同じスイッチとケーブルを介して伝送される。コンバージドネットワークアーキテクチャでは、1つのネットワークアダプターでVMや管理などのさまざまなトラフィックをサポートできる。
しかし、コンバージドネットワークアーキテクチャでは、トラフィックを隔離することが重要だ。トラフィックの隔離は、一連のQoS(Quality of Service)機能を提供することで実現できる。
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