ネットワークアクセス制御(NAC)の基礎知識【前編】
スマートフォンの“勝手接続”を止めさせるには?
ネットワークアクセス制御(NAC)製品を使用すれば、不正なデバイスや侵害されたデバイスを社内ネットワークから遮断することができる。本稿では、NACが企業にもたらすメリットについて解説する。
ネットワークアクセス制御(NAC)は、エンドポイントのセキュリティを確保することによって社内ネットワークへのアクセスを制御する製品だ。NAC製品は事前に定義されたビジネスポリシーを施行し、このポリシーを満たさないデバイスがネットワークに接続することは許可されない。
NAC関連のセキュリティを実現するテクノロジーやプロセスは、長年さまざまな形式で製品として存在してきた。当初は侵入防止システム(IPS)に組み込まれていたが、ワイヤレスシステムなど他の各種製品に統合されている場合もあった。だが、以前のNACセキュリティは今のように統合された形式では提供されていなかった。前編ではNACの基礎知識をお届けする。
NACとは何だったのか
NACテクノロジーはもともと、企業が物理ネットワークに接続される不正なデバイス(通常は米Microsoftの「Windows」デスクトップPCやノートPC)を検出して排除するために使用されていた。だが、テクノロジーが進化し、ネットワークに接続するデバイスの数や種類が大幅に増加するにつれて、NAC製品はワイヤレスネットワークやモバイルデバイス、BYOD(私物端末の業務利用)、クラウドベースのサービスに対応するよう変化を遂げた。
特にBYODはNAC市場の情勢に大きな影響を与えた。スマートフォンとタブレットをはじめとする私物デバイスの制御が、ここ数年でNAC製品が担う最も重要な役割の1つになっている。その結果、モバイルデバイスに適切に対応するため、NACベンダーはモバイルデバイス管理(MDM)プロバイダーとのパートナーシップを強化するようになった。
MDMプロバイダーとNACプロバイダーがパートナーシップを結ぶと、一般的にモバイル管理モジュールとNAC制御システムの統合が必要になる。MDMプロバイダーがMDM製品をNACと統合すると多くのメリットが生まれる。MDMソフトウェアはシステムに登録済みのデバイスしか認識しない。だが、NACと統合することで、ネットワークに接続する新しいデバイスも認識できるようになる。
また、MDMが制御するのはアプリケーションへのアクセスと暗号化の実施のみで、ネットワークアクセスは制御の対象にならないことが多い。NACとの統合により、モバイルデバイスにもデスクトップPCやノートPCと同じポリシーを施行したりアクセス制御を適用したりすることが可能になる。また、ネットワークアクセスを許可する前にMDMエージェントをインストールすることもできる。さらに、統合によって管理対象のシステムが1つになるので、MDMポリシーとNACポリシー間の競合が少なくなる。
ネットワークアクセス制御が必要な理由
NAC製品が便利なのは、社内ネットワークに接続しているさまざまなエンドポイントを企業が制御でき、不正なデバイスや侵害されたデバイスから身を守れるからだ。NACは、事前に定義されたポリシーを施行する。ネットワークに接続するエンドポイントは、前提条件を満たしている必要がある。前提条件には、デバイスの種類、最新パッチ適用の有無、ウイルス対策ソフトウェアの有無などが含まれる。
NAC製品はあらゆる規模の企業で使用できる。だが、特に便利なのは従業員数が多く、各種デバイス(スマートフォン、タブレット、ノートPCなど)を使用している組織だ。さらに、多くのサテライトオフィスを抱え、IT部門がネットワークアクセスを保護するのに莫大な労力を費やしている企業にも役立つ。
ネットワークアクセス制御の仕組み
NAC製品を導入すると、すぐにネットワークに接続されている全デバイスが検出および分類される。そして、企業のセキュリティチームが事前に構成したコンプライアンス規則に基づいてデバイスに対処する。「対処」とは、デバイスのネットワークへのアクセスを有効にすることだが、どの種類/レベルのアクセスをどのデバイスに許可するかきめ細かく制御される。これらの制御は、中央制御システムで定義されたポリシーによって行われる。
例えば、ポリシーは、米Googleの「Android」を搭載した全てのスマートフォンとタブレットを拒否したり、最新のサービスパックがインストールされていないWindowsを搭載している全てのデバイスを拒否したりするように定義できる。管理者はMACアドレスのホワイトリストに基づいてデバイスをブロックすることもできるので、不正なデバイスがネットワークに接続しにくくなる。
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