SDS市場の現状と今後の製品展開
「OpenStack Swift」よりもいい? 「OpenSDS」は定着するのか
Nexenta SystemsのCEOへのインタビューによって、同社が打ち出す「OpenSDS」と「OpenStack」プロジェクトなどのオープンソースオブジェクトストレージの現状や最新の製品投入計画などが明らかになった。
Nexenta SystemsのCEOによると、OpenStack Summitで同社のオブジェクトストレージ「NexentaEdge」のデモが行われ、それに続いて統合分析・管理ツール「NexentaFusion」のβ版がリリースされる。
5月18~22日にカナダのバンクーバーで開催される「OpenStack Summit」は、米Nexenta Systemsにとって重要な節目となる。
Nexentaはこのカンファレンスで、新しいオブジェクトストレージ「NexentaEdge」のデモを行う計画だ。それに続いて、ブロック、ファイル、オブジェクトストレージを統合管理するオーケストレーションソフトウェア「NexentaFusion」のβ版リリースも予定していると、Nexentaのターカン・マナー最高経営責任者(CEO)は語る。
同社の現在の主力製品である「NexentaStor」は、オープンソースのZFSファイルシステムを採用し、ファイルストレージとブロックストレージを統合したユニファイドストレージサービスをコモディティハードウェア上で実現するストレージソフトウェア。マナー氏は、NexentaStorを利用したSDS(Software Defined Storage)を「OpenSDS」と呼んでいる。
同氏にNexentaの顧客動向や競争状況の変化、「OpenStack」プロジェクトなどのオープンソースオブジェクトストレージの現状、同社の最新の製品投入計画について話を聞いた。
――ここ半年から1年の顧客動向はいかがですか?
マナー氏 顧客からはこんな声が上がっています。「われわれが抱えているデータはかつてない膨大な量に上ります。以前は想定されていなかったこうした新たなデータセットを扱わなければならないことから、これまでのデータ管理方法はもはや経済的ではなくなっています」。また、ある顧客からは「データ量が毎年50~70%も増えているのに、来年は予算が20%減ってしまう」と嘆かれたこともあります。彼らは大変なプレッシャーにさらされているわけです。ソーシャルメディアやモビリティ、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータの新しいワークロードがその原因となっています。顧客が新タイプのクラウドインフラを探しているのは明らかです。
われわれは「顧客がデータおよびエンドユーザー環境において、コモディティハードウェアを利用して、オープンソースベースのファイルシステムと自動化ツールを構築し、ベンダーロックインを回避しながらコストを抑える新しい方法を見いだしつつある」と認識しています。これは業界における大きな変化、大きな転換です。Nexenta Systemsは、エンタープライズソリューションの提供という観点から、重要な業界トレンドの1つに対応しています。そのトレンドとは、データセンター向けからエンドユーザー向けまで、あらゆるものをソフトウェアで定義し、コモディティハードウェアで実現するイノベーションに向けて、オープンソースを利用して進められているコラボレーションです。
――顧客は通常、Nexentaのソフトウェアを購入して自社でハードウェアにインストールしますか? それとも、Nexentaのソフトウェアがハードウェアにプリインストールされているのを好みますか?
マナー氏 顧客企業は業種も営業地域も所在地もさまざまです。一般に、大企業顧客は人材が豊富で、IT部門も大規模です。彼らは、コモディティハードウェア上にベストオブブリード型システムを構築するのを好みます。こうしたシステムは、大企業が持つ競争上の強みの1つとなっています。彼らは自社固有のニーズに合わせてインフラを調整、カスタマイズ、最適化するからです。われわれや、われわれのパートナーがそれに協力しています。中小企業顧客の場合は通常、リセラーやソリューションプロバイダーを通じて、あるいはOEMベンダーから直接ソフトウェアを入手するのを好みます。米Dellや米Seagate、米SanDiskなど多くの部品メーカーと提携しています。リセラーは皆、そうした小規模顧客がすぐに導入できるアプライアンスパッケージを提供しています。
当社のビジネスモデルでパートナーが大きな役割を果たすことは明らかです。顧客を直接支援するため、自前のサービス部門、販売前および販売後サポート部門、営業部門を持っています。しかし、SeagateやSanDisk、米Western Digitalといったディスクベンダーやフラッシュベンダー、Dell、米Supermicro、台湾Quantaのようなサーバベンダーと提携するとともに、クラウドプラットフォームを手掛ける米VMware、米Citrix、米Microsoftとも組み、顧客に完全なソリューションを提供することを目指しています。
――Nexentaの顧客全体のうち、ソフトウェアを自社でインストールする顧客と、ソフトウェアとハードウェアがセットになったパッケージを入手したいと考える顧客の割合はどうなっていますか?
マナー氏 かなりの顧客が、われわれのソフトウェアがハードウェアに完全に組み込まれていることを望みます。Nexentaのビジネスの大部分では、ソフトウェアはそうした形で提供されます。しかし、Nexentaの顧客は約6000社に上り、そのうち2000社程度がサービスプロバイダーで、具体的には通信会社です。彼らの最大の競争優位性は、オープンソースツール、さまざまなシステムツール、さまざまな管理ツールを、時には自社開発の技術とともに利用して、インフラを独自にカスタマイズすることで、インフラの差別化を実現していることにあります。
――Nexentaが抱える他の4000社の顧客にはどのような特徴がありますか?
マナー氏 膨大なデータを持っている企業です。特定の業種では、他の業種よりも急速にデータが増えています。そのため、教育やヘルスケア、金融サービスがわれわれにとって大きな分野です。州政府と地方自治体、そして連邦政府機関もストレージの大口利用者です。彼らは持っているデータが膨大であるため、多くのコストを掛けています。そこでコストを削減する方法として、オープンソース技術を組み合わせたSSDC(Software Defined Data Center)のアプローチを支持しています。
――顧客はNexentaのソフトウェアをどのような容量で利用していますか?
マナー氏 顧客の韓国KT(Korea Telecom)では現在、130P(ペタ)バイト以上のシステムを実運用しています。数十Pバイトや数百Pバイトの容量で利用している顧客もいます。業種やユースケースによって、容量の規模は異なります。通常は非常に小さな容量で導入し始め、極めて急速に大容量に移行します。6000社の顧客が本番環境で運用しているシステムの総容量は約1100Pバイトです。
――ブロックストレージ、ファイルストレージ、オブジェクトストレージをそれぞれ使用している顧客の割合はどれくらいですか?
マナー氏 オブジェクトストレージが今、勢いのある旬の技術であることは明らかです。とてもホットで魅力的なため、多くの人が非常に興味を持っています。しかし、まだごく小規模な利用にとどまっています。オブジェクトストレージがNexenta製品の導入規模に占める割合は2~3%に満たないでしょう。しかし、この技術はどんどん普及が進んでいます。
われわれの顧客のほとんどはファイルストレージとブロックストレージをよく使っています。両者はほとんど同じくらい普及しています。オブジェクトストレージを除くと、Nexenta製品の導入規模に占める両者の割合は半々でしょう。ただし、顧客のうち大企業の大半では、ファイルサービスの方がブロックサービスよりも利用が伸びています。これまではブロックサービスの方がはるかに大規模に利用されてきました。しかし、今では利用が伸び悩んだり、頭打ちになっています。これに対し、ファイルサービスはまだ急速に利用が拡大し、勢いづいています。
顧客の間では、ブロック、ファイル、オブジェクトのどのストレージサービスを使うかよりも、スケールアップとスケールアウトのどちらを選択するかに関心が高まっています。ブロックとファイルはスケールアップに適し、オブジェクトはスケールアウトに適しています。しかし、同じクラスタでオブジェクトサービスとブロックサービスの両方を使用し、スケールアップを行っている顧客もいます。Nexentaの製品では通常、顧客はワークロードニーズに応じてスケールアップ型かスケールアウト型の展開を選択でき、われわれはクラスタとソリューションで3つのプロトコル全てをサポートしています。
――フラッシュを使用する顧客は多いですか?
マナー氏 Nexentaの一部の顧客はI/O要件の高いワークロードを抱えています。われわれはこうした顧客のためにオールフラッシュのリファレンスアーキテクチャを提供しています。例えば、DellやSupermicro、Quanta製のサーバにSanDisk製のオールフラッシュを搭載して提供する可能性があります。多くの顧客がこうしたオールフラッシュの実装を気に入っています。これらの実装は、市場で提供されているプロプライエタリなシステムとエンクロージャで見られるオールフラッシュの実装よりもはるかに安価です。Nexentaは、ニーズに応じてハイブリッド環境やディスクオンリー環境も手掛けます。
――どれくらいの割合の顧客がフラッシュを使用していますか?
マナー氏 通常、オールフラッシュのニーズや要件を抱えている顧客は、全体の20%またはそれ以下でしょう。例えば、そのニーズや要件は「Hadoop」アプリケーションなどのビッグデータワークロードの実行に伴うものです。また、高いI/Oパフォーマンスが必要な「VDI」(仮想デスクトップインフラ)型アプリケーションの利用に伴うものでもあります。さらに、大量のバックアップやアーカイブ、共有ファイル、ホームディレクトリ、メールストレージを持っていて、ハイブリッドストレージを使っている顧客もたくさんいます。メールストレージを使っている顧客の一部がオールフラッシュ環境に戻ってきているケースもあります。電子メールおよびメッセージング技術は、多くのデータで高度化されるものであり、ユーザーニーズに対応するために高いIOPS(1秒間に処理できるI/O数)を要求するからです。
――「OpenStack Swift」は、NexentaEdgeの潜在的なライバルですか?
マナー氏 もし顧客が望むなら、われわれはSwiftのみを採用し、他の技術は一切使わないでしょう。そして今の質問の答えは「イエス」ということになります。しかし、Swiftだけで事足りる環境はありません。多くの顧客はファイルサービスやブロックサービスも使いたいと考えますし、彼らはわれわれの製品の性能や、インライン重複排除や圧縮、レプリケーションといった機能に期待を寄せています。Swiftはこうした機能を少なくとも短期的には提供しそうもありませんし、長い目で見ても提供しないかもしれません。
――既存のオープンソースベースのオブジェクトストレージを採用しないという決断を下したのはなぜですか?
マナー氏 エンタープライズクラスの機能を持ったオープンソースのオブジェクトベースストレージが見当たらなかったからです。さまざまなプロジェクトがあり、われわれはそれらを調査し、試してもみました。私たちの顧客が高く評価するプロジェクトもありました。しかし、どのプロジェクトも、セキュリティ、管理性、信頼性に関わる主要な機能が欠けています。この3つはストレージの非常に重要な要素です。データが失われることは許されません。そこでNexentaでは、この分野で独自のイノベーションを実現しようと決めました。既存のプロジェクトでは、われわれが求めるものとのギャップが大き過ぎたからです。Nexentaは自らのイノベーションとIP(知的財産)に基づいてオブジェクトストレージを構築しました。そして自社開発した技術については、将来成熟が進んだらオープンソース化しようと考えるのが常です。社内で頻繁に、顧客や企業の利益の増進のために「この技術がオープンソース化できる段階に達しているかどうか」を議論しています。
――近い将来にどのような製品展開を計画していますか?
マナー氏 NexentaStorはさらに強化します。2015年8月末~9月初めに開催される「VMworld 2015」に合わせて新機能を発表します。NexentaEdgeは、スケールアップ/スケールアウトに対応し、オブジェクトやブロック、ファイルストレージサービスを提供する「Copy-on-write」ベースのオブジェクトストレージとして開発が進められています。来るOpenStack Summitで驚くべきデモをご覧に入れます。また、英Canonical、米Mirantis、米Solinea、インドのWipro、SanDiskといったパートナーとともにセミナーを行い、この新しいオブジェクトストレージ製品を紹介します。顧客事例も報告する予定です。
さらに、「NexentaConnect」の新しいCitrix製品対応バージョンも近くリリースします。また、NexentaFusionは、ブロック、ファイル、オブジェクトストレージを統合管理するオーケストレーションソリューションです。OpenStack Summitの直後にβ版がリリースされます。既に顧客の協力を得てクローズドβテストを非公開で行っています。
――新製品や既存製品の新バージョンが一般に出荷されるのはいつですか?
マナー氏 NexentaEdgeは2015年第2四半期です。NexentaFusion、NexentaConnectの新バージョン、NexentaStorの次期バージョンは第3四半期に出荷します。
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