Software Defined Storage(SDS)製品紹介:Nexenta Systems
x86サーバとJBODの組み合わせでほぼ無制限にファイル拡張「NexentaStor」
Nexenta Systemsのストレージ専用OS「NexentaStor」は、x86汎用サーバとJBODの組み合わせによって、ほぼ無制限に拡張できるストレージ環境をより低コストで構築、運用できる。
ベンダーによって異なる、Software Defined Storage(SDS)の定義
SDN(Software Defined Networking)に代表される「Software Defined」(ソフトウェア定義)という言葉がストレージ分野でも使われ始めた。現在、複数のストレージベンダーが「SDS(Software Defined Storage)」と銘打った製品を発表している。ただ、SDSという言葉自体が特定の技術やアーキテクチャを指すわけではなく、その定義は提供ベンダーによって異なる。
2005年に設立された米Nexenta Systems(Nexenta)もそうしたSDSベンダーの1社だ。同社は2008年からストレージ専用OS「NexentaStor」を提供。2015年1月時点で約6000の企業が導入し、その管理総容量は1000ペタ(P)バイト以上だという。Nexentaではストレージの性能や機能、信頼性、可用性を維持しつつ、その導入・運用コストを抑える手法を提案している。本稿では、ネクセンタ・システムズ・ジャパン日本法人代表 松浦 淳氏の話を踏まえ、NexentaStorの特徴的な機能を紹介する。
x86汎用サーバとJBODの組み合わせでスケールアップ型ストレージ環境を構築
NexentaStorは、オープンソースのUNIX「illumos」をカーネルに採用したストレージ管理ソフトウェアだ。x86ベースの汎用サーバにNexentaStorをインストールすると、ストレージのコントローラーとして機能する。その配下に、複数のディスクを論理的に連結して単一のストレージプールとして利用可能にする方法である「JBOD」を採用したディスクエンクロージャをつなげることで、スケールアップ型のストレージ環境を構築できる。
松浦氏は「NexentaStorでは標準のx86ハードウェアを採用することで、ストレージの価格構成を明確にした。また、柔軟かつリーゾナブルにJBODを構成可能だ」と説明する。
米Citrix Systemsが実施したデスクトップ仮想化製品「XenDesktop」のVDIキャパシティー検証試験を紹介する。各ストレージベンダーの製品において、750ユーザー(1ユーザー当たり30Gバイトの割り当て)分の仮想デスクトップを作成した環境で1日のワークロード負荷テストを実施。1デスクトップ当たりのストレージコストと4KランダムでのIOPSを比較したところ、Supermicroのハードを使ったNexentaStorは15ドル/33万IOPSとなり、2位(37ドル/2.4万IOPS)、3位(41ドル/1.9万IOPS)を引き離した。
NexentaStorではFC-SAN/iSCSIといったネットワークストレージプロトコルによるブロックアクセスと、NFS、CIFS、SMBなどのファイル共有プロトコルによるファイルアクセスの両方が可能だ。また、ZFSベースのファイルシステムを採用。128ビットのアドレッシング方式を取るZFSでは、ファイルサイズやスナップショット、クローンなどをディスク容量が許す限り無制限に拡張できる。データブロックとメタデータのチェックサムや、元データは変更せず、新たな場所に書き込む「Copy-on-write」方式でデータの整合性を確保し、HA(高可用性)クラスタや自動レプリケーション機能などを備える。処理速度と耐障害性を向上させるディスクアレイ技術である「RAID-Z」によるソフトウェアRAIDでは、冗長コードを3つ付加する「トリプルパリティ」によって堅牢な冗長構成も可能だ。加えて、ストレージの物理容量によらず論理的な容量を設定できるようにする「シンプロビジョニング」やデータをディスクに書き込む前に圧縮処理する「インライン方式」のデータ圧縮、重複排除機能を利用できる。
NexentaStorのカーネルやZFSファイルシステムは、機能のフィックスや更新のたびに全てオープンソースコミュニティーへ還元している。また、HAクラスタやGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)管理機能などのエンタープライズストレージに必要な機能はNexentaが管理する。
階層型キャッシュ構成でI/O処理を高速化
NexentaStorでは、階層型キャッシュ構成によってI/O処理の高速化を可能にしている。キャッシュアルゴリズムに「Adaptive Replacement Cache(ARC)」を採用する。DRAMにZFSのメモリキャッシュARCを配置し、ソリッドステートドライブ(SSD)を読み込み用キャッシュ「Level 2 Adaptive Replacement Cache(L2ARC)」と書き込み用キャッシュ「ZIL(ZFS Intent Log)」として利用する(図2)。
大量のDRAMをARCに利用してI/O処理を高速化するとともに、読み込み・書き込み用の2つでSSDを分けて利用する。ZILにL2ARCよりも高速なSSDを採用することでパフォーマンスに影響を与える非同期の書き込み処理の高速化を可能にする。また、読み込み用にコストの安いSSDが採用できる。さらにキャッシュ間のデータ移動を自動化する機能を備える。
ハードウェアベンダーとの検証でHCLやリファレンスアーキテクチャを開発
Nexentaでは現在、米Dellや米Hewlett-Packard(HP)、米Super Micro Computer(Supermicro)などの各ハードウェアベンダーとドライバレベルでの検証作業を行い、NexentaStor が稼働可能なハードウェアをまとめたHCL(ハードウェア互換リスト)を提供している。また、リファレンスアーキテクチャを開発してサポート体制の強化を進めているという。
現在、NexentaStorのHCLはハードウェア構成のモデル別に3種が用意されている。コントローラーやDRAM、NIC(ネットワークインタフェースカード)、HBA(ホストバスアダプタ)の各コンポーネントを選択する参照モデルのハードウェア要素を網羅したHCLから、ハードウェアベンダーと共同でハードウェア構成を詳細に設計した事前検証済みモデルのハードウェア要素をまとめたHCLなどがある。
| HCL名 | 概要 | 対応ベンダー |
|---|---|---|
| Reference Architecture(RA) | CPUやDRAM、NIC、HBAなどの詳細なハードウェア構成を設計・事前検証したモデルのハードウェア要素を紹介 | デル、SuperMicro |
| Reference Architecture “Plus”(RA+) | 基本的なハードウェアの組み合わせを元に、コンポーネントを選択できる構成のハードウェア要素を紹介 | Dell、SuperMicro、HP |
| Certified Solutions(CS) | 各コンポーネントを選択する参照モデルのハードウェア要素を紹介 | Dell、SuperMicro、HP、Quanta、Inventec、Cisco Systems |
例えば、デルは各種コンポーネントの事前検証済みRAを6モデル用意している(図3)。松浦氏によると「Lenovoとも共同でRAモデルを検証中で、2015年半ばには国内でも提供できる」という。
130Pバイトの大規模なストレージ環境を構成
ここで海外の事例を見てみよう。インドのITサービス企業Wipro Technologiesでは、ストレージコストがVDI(仮想デスクトップインフラ)導入の約40%を占めるなどデスクトップ当たりのインフラコストが割高なことが課題だった。同社はDellのサーバやディスクエンクロージャとNexentaStorを組み合わせて、2Pバイトのデータを4拠点に非同期レプリケーションするシステム環境を構築した。これにより、簡単なハードウェアの増設による大規模スケールアウトを可能にしたという。
また、パブリックストレージサービスを提供する韓国最大手の通信事業者のKT(Korea Telecom)では、NexentaStorと台湾Quanta Computerのハードウェアを組み合わせて130Pバイト規模のシステムを構成した。「HDDのみ」「SSDとHDDの混在環境」「SSDアレイ」など異なるストレージ形態をNexentaStorで一元管理しているという。
高まるストレージ環境改革への期待
NexentaはNexentaStorの他、2013年にクラウド環境の高速化・最適化ツール「Nexenta Connect」をリリース。2015年中にはオブジェクトストレージ「Nexenta Edge」と統合分析・管理(オーケストレーション)ツール「Nexenta Fusion」をポートフォリオに加える計画だ。
また同社は、次期バージョンである「NexentaStor 5.0」を2015年夏にリリースする。新バージョンではAPIを公開し、管理ツールのUIを統合して、米VMwareの仮想化製品などさまざまなシステムからストレージを管理できるようにする。また、「OpenStack」などクラウド管理ツールとの連係も強化するという。
NexentaStorはハードウェアコンポーネントを自由に選択でき、そのコスト構造を明確にする。また、オープンソースベースのソフトウェア技術と標準ハードウェアを組み合わせることで、データセンター全体をソフトウェアの制御で運用したり、自動化したりするSDDC(Software Defined Datacenter)をより安価に実現できるという。
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