文化的な変革をもたらすモバイルDevOps【後編】
“DevOps”は開発と運用が不仲な現場には向かない
多くの企業がモバイルアプリケーションの開発、準備、管理にDevOpsを利用するようになっている。モバイルDevOpsは楽観視されがちだが、幾つかの大きな課題がある。
モバイルDevOpsを阻むもの
DevOpsは、企業のIT部門、特にデータセンターにおける既存の価値基準を破壊するトレンドだ。エンタープライズモビリティが普及するにつれて、アプリケーションの開発や管理プロセスの改善にDevOpsを利用する企業が増えている。前編「気まぐれユーザーを満足させるモバイルアプリ開発、肝は“DevOps”」に続き、モバイルDevOpsの現状を整理する。モバイルDevOpsは楽観視されがちだが、幾つかの大きな課題がある。
1つはビジネス部門からの賛同だ。モバイルDevOpsが解決できる問題には、まだ具現化されていないものもあり、その価値を証明することは容易でない。バックエンドサービスの需要増加は、その一例だ。
ITオートメーションソフトウェアベンダーの米Puppet Labsでテクニカルマーケティングマネジャーを務めるカール・カウム氏は「DevOpsはツールでない。買うことはできず、借りることもできない。企業自体が受け入れなければならない」と語る。
開発者のスキル不足、企業文化などが課題に
だが、ビジネス部門にDevOpsを売り込むのは必ずしも簡単なわけではないと大手グローバル企業でモバイルストラテジストを務めるマーティー・レズニック氏はいう。そのため、レズニック氏と彼のチームは、投資収益率をすぐに示すことが可能な、モバイルDevOpsの特定部分に焦点を当てた。例えば、品質保証テストの自動化だ。テストの自動化により、手動テスト全体の時間を短縮することができる。
それからスキル不足という課題もある。モバイルアプリケーションには、従来の企業アプリケーションよりも、多様な設計方針があり、多くの言語で記述されている。ハモンド氏の顧客の約3分の2は自社アプリケーションの開発を外部に委託している。その理由は、自社では開発できないことだと、米Forrester Researchで主席アナリストと統括責任者を兼任するジェフリー・ハモンド氏は語る。
「基本的な開発スキル不足が深刻化している」(ハモンド氏)
さらには企業文化という課題がある。モバイルDevOpsとDevOps全般を採用する上で、最大の障害になるのが、この課題だろう。企業は、実績のある開発プロセスを変更したり、これまで別々だった開発スタッフと運用スタッフをまとめることに消極的な態度を取る恐れがある。
「当社が考える業界最大の課題の1つは、このような縦割り組織を取り壊す必要があることを、企業に認めてもらうことだ」(カウム氏)
そして、セキュリティの課題もある。セキュリティとDevOpsの間にある壁を壊すことは、開発チームと運用チームが同じ考えを共有することよりも難しい課題となる可能性がある。
「セキュリティ担当者の多くは、自らを論理的な思考回路を持ったバリケードだと考えている。だが、多くの担当者はもう少し進歩的な考え方をするようになり、自分たちがビジネスを実現する役割を担っていると認識するようになっている」(マン氏)
「DevOpsにセキュリティを含めると、ポリシー主導で開発できるという利点がある」とカウム氏は話す。例えば、セキュリティチームは、あるアプリケーションがアクセスするデータに対して可能/不可能なことを管理するポリシーを策定できる。次にDevOpsチームは、アプリケーションがそのポリシーに従っているかどうかを自動的にテストするコードを記述することができる。この作業は、アプリケーションが完成した後ではなく開発中に行う。
DevOpsの試験台となるモバイル
エンタープライズモビリティと同様、DevOpsは既存の価値基準を破壊するトレンドだ。両方を同時に採用することは、自分たち手に負えないよう作業であるように思えるかもしれない。だが、DevOpsの支持者は同時に採用する方が効率的だという。
米CA Technologiesの最高技術責任者(CTO)がいるオフィスで統括責任者を務めるアンディー・マン氏は「その方が簡単なのは明らかだ。ばんそうこうをはがすことを考えてみてほしい。痛いのは1度だけだ」と指摘する。
実際、エンタープライズモビリティはDevOps構想の開始地点として理にかなっている。エンタープライズモビリティは、まだ新しく従来のシステムやプロセスに邪魔されることがないからだ。
また、モバイル化を始めたばかりの企業では、モバイルを採用しているチームが小規模な場合が多い。つまり、何が機能して何が機能しないのかを試す余裕が十二分にあるとレズニック氏はいう。
「概してモバイルは他のことの試験台としても利用できる」(レズニック氏)
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