ストレージアレイに最適なのはどっち?
徹底比較:SSDオンリー vs. SSDとHDDの混在――性能測定の意外な結果は?(2/2 ページ)
フラッシュのキャッシュと階層化
読み取りキャッシュでは、アクセス頻度の高いデータオブジェクトのコピーをフラッシュストレージに保持している。このようにすることで、HDD遅延が生じることなく読み取りのリクエストを完了できる。
キャッシュの容量は限られている。そのため、ハイブリッドアレイが適切なデータをキャッシュに保持することに優れているほど、全体のパフォーマンスが向上し、アプリケーションデータの移動も素早く行えるようになる。ハイブリッドアレイで最も一般的なフラッシュストレージの用途は読み取り処理のサポートだが、大抵はキャッシュを使って書き込み処理の速度も上げている。
書き込みキャッシュでは、まず書き込みデータをフラッシュストレージに保存し、それと同時にその書き込み処理をホストに通知する。それから、そのデータをHDDにコピーする。最終的に全てのデータはHDDストレージにコピーする必要があるため、ソリッドステートストレージアレイには十分な容量の書き込みキャッシュを用意する必要がある。つまり、読み取りキャッシュ用にはそれほど多くのフラッシュストレージ容量を割けない。または、キャッシュを空にするために書き込み処理を行わない時間を設ける必要がある。このいずれかを満たせなければ、書き込みのパフォーマンスに影響が及ぶ。
フラッシュの階層化では、データのコピーをキャッシュに作成する代わりに、使用頻度の高いデータオブジェクトをHDDの領域からフラッシュストレージ領域に移動して、処理量が最大になる時間をサポートする。全ての読み取りと書き込み処理をフラッシュストレージ内で実行するのが理想だ。最終的にデータはHDD層にコピーされるが、このプロセスは、キャッシュと同じように、手動で行うこともポリシーに基づいて行うこともできる。
フラッシュストレージの使用を一般的に促進するアプリケーションにとって速度は非常に重要な要素だ。このようなアプリケーションとそのユーザーはフラッシュの速度に慣れていることが多い。予期せぬ需要によってキャッシュミスや階層化のエラーが発生した場合、アプリケーションはデータをHDDから読み取らなければならない。ハイブリッドアレイで使用するHDDは大容量だが非常に低速であることが多い。そのため、遅延によってさまざまな影響が生じる。その中でも顕著な問題は、ユーザーが容認できないほどの待機時間、オンライン処理の鈍化、運用アプリケーションのボトルネックだ。このため、ハイブリッドアレイのフラッシュストレージを効果的に使うためには、ワークロードを予測できることが重要になる。
考慮すべき他の要素
ユースケースの中にはオールフラッシュアレイやハイブリッドアレイでは上手く機能しないものも存在する。そのため、既存の環境やワークロードの条件の中に、オールフラッシュアレイやハイブリッドアレイが適合しない条件があるかどうかを最初に確認されたい。例えば、オールフラッシュアレイで最も明白な要素は必要な容量とコストだ。現在または将来的なアプリケーションのデータセットが利用可能なフラッシュストレージに対して大き過ぎる場合や追加のストレージを購入する予算がない場合、オールフラッシュアレイという選択肢は考えられない。物理容量だけではなく、データ削減後のフラッシュストレージの実効容量も確認してから決めることをお勧めする。
100%の整合性が必要でキャッシュミスや階層化のエラーを許容できない環境では、ソリッドステートストレージアレイの選択肢としてオールフラッシュアレイを選ぶのが適切だろう。オールフラッシュストレージは、金融業界、インターネット業界、高性能コンピューティング業界におけるユースケース用に最初開発されたのだが、このようなユースケースの場合もやはりオールフラッシュアレイが適切だ。またオールフラッシュアレイには効率面の長所がある。そのため、マルチテナントクラウド環境でも有効だ。マルチテナントクラウド環境では、拡張時にオーバーヘッドが少なくて済み、パフォーマンスを予測できなくてはならない。
IT担当者が、ハイブリッドアレイにおけるデータの移動をサポートするために必要な仮定を立てられない場合には、オールフラッシュアレイがさらに魅力的な選択肢になる。だが、この状況に該当しなくても、オールフラッシュアレイのシンプルさが多くの企業で支持されている。高いパフォーマンスが必要なアプリケーションをサポートできるだけのフラッシュ容量を確保する余裕がある場合は、オールフラッシュアレイを選択されたい。そうでなければ、ハイブリッドアレイを導入することをお勧めする。
ワークロードがにおけるたまのキャッシュミスや階層化のエラーを許容できる場合は、ハイブリッドアレイを選ぶのが最も経済的だ。それは投入した資金に対して、より多くのワークロードの処理速度を上げられるからだ。また、アプリケーションで必要なストレージにユーザーが詳しくなり、キャッシュパラメータを細かく調整できるようになるにつれてパフォーマンスが向上すると想定するのも妥当である。ハイブリッドアレイは大容量のHDDを搭載している。そのため、オールフラッシュアレイよりスケーラビリティが優れており、コスト効率も高い。ただし、これはHDDパフォーマンス水準の話であることに留意されたい。
実際のところは、多くの企業がハイブリッドアレイ用に購入するフラッシュストレージは、必要な量よりも少ないことが多い。その理由は、単純にどれくらいフラッシュが必要なのかを知らなかったり、パフォーマンスの向上よりも経費の削減を重視していたりすることにある。ハイブリッドアレイのベンダーにも、フラッシュの売り込みを控え目にしているという罪がある。フラッシュの売り込みを控え目にすることで、オールフラッシュアレイに対するコスト面の優位性がより際立つからだ。全体的な統計によると、新しいハイブリッドアレイの構成では、HDD容量に対してフラッシュストレージの割合が5%というのが標準的である。だが、この場合のキャッシュヒット率は3分の2になる。つまり3分の1の処理ではキャッシュが利用されない。ほとんどの環境では、フラッシュストレージを総容量の10%まで増やせば、キャッシュミスをほぼ根絶できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
AIで人を減らした企業がもう心変わり 「AIブーメラン現象」の実態
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー