トラフィック制御アプリケーションもリリース
SDN市場の“てっぺん”狙う 「OpenDaylight」ベースの新製品で勝負に
「OpenDaylight」ベースの新たなSDNコントローラーを発表した米Brocade。オープンソースSDN市場のリーディングベンダーを狙う同社の戦略が反映された、新製品の実力を探る。
米Brocade Communications Systemsは2015年9月、オープンソースのSDN(Software Defined Networking)コントローラーである「OpenDaylight(ODL)」の商用版をアップグレードし、ODLの最新版における機能改良を反映させた。SDNコントローラーは、ネットワーク構成や機器設定を集中制御するソフトウェアのことである。
BrocadeはこのODL商用版を使い、SDNでスイッチやルーターからのトラフィックを効果的に制御できるように支援する2つのアプリケーションも併せてリリースした。同社はオープンソースSDN技術の主要プロバイダーを目指しており、今回のSDNコントローラーとアプリケーションのリリースは、この戦略を前進させる。
「全体的に見て、BrocadeはODLのリーディングベンダーの座を狙っている。ODLに手を加えた堅牢なバージョンを提供しているだけでなく、独自の関連アプリケーションも充実させている」。米調査会社IDCのアナリスト、ブラッド・ケースモア氏はこう語る。
9月に提供開始されたBrocadeのODL商用版のアップグレード版「Brocade SDN Controller(旧称: Vyatta Controller)2.0」は、ODLの「Lithium」(バージョン名)をベースにしている。新版ではLithiumと同様、仮想スイッチ「Open vSwitch」の管理プロトコルである「OVSDB」のインタフェースと、クラウド基盤ソフトウェア「OpenStack」のネットワークプラグイン「Modular Layer 2(ML2)」に関する強化がなされている。
SDN Controller 2.0はOVSDBにより、トンネル通信プロトコル「VXLAN(Virtual eXtensible LAN)」によるネットワークトポロジーを管理できる。VXLANは、既存のレイヤー3インフラにオーバーレイネットワークを構築できるプロトコルであり、ネットワークエンジニアによるクラウドコンピューティング環境のスケールアウトを容易にする。
ML2によって、OpenStack環境との連係も可能にしている。OpenStackは、大手クラウドサービス事業者のデータセンターで採用されている、モジュラーアーキテクチャのオープンソースクラウド基盤ソフトウェアだ。
さらにSDN Controller 2.0は、Lithiumのコントローラークラスタリング技術も利用可能にしている。これにより、企業が展開できるコントローラー数の制限をなくしている。大規模ネットワークを運用したり、コントローラーのバックアップを作成したりする上で便利だ。Lithiumの前のバージョンまでは、1つのクラスタで最大3つのコントローラーしか使えなかったと、Brocadeの製品管理ディレクターを務めるケビン・ウッズ氏は説明する。
Brocade SDN Controller 2.0対応アプリケーション
OpenDaylightは、企業やクラウドサービス事業者がOpenStackをベースとしたクラウド環境を構築する際に役立つ技術だ。OpenStackは企業にとって魅力的な選択肢である。ただし、多くのIT部門には、この利用のために必要な専門知識やノウハウを持った人材が不足している。
そのため、こうした企業の多くは、Brocadeのようなベンダーが「実運用に耐えるソフトウェアと必要なサービスおよびサポートをパッケージ化して提供する」ことを期待していると、IDCのケースモア氏は指摘する。
IDCによると、サーバやストレージ、イーサネットスイッチを含むITインフラ市場において、クラウドインフラの市場規模は2015年に前年比で26%以上拡大し、334億ドルに達する見通しだ。これはITインフラ支出全体の3分の1に当たる。さらに、プライベートクラウドインフラがクラウドインフラ市場全体に占める割合は3分の1を超えるという。
2019年にはクラウドインフラ市場が550億ドルに迫る規模に成長し、ITインフラ市場全体の半分近くを占めるようになると、IDCは予想する。プライベートクラウドインフラ支出は約190億ドルまで伸びる見通しだ。
こうした市場拡大を踏まえ、Brocadeは自社のSDNコントローラーの使い勝手を高めるアプリケーションを投入している。その具体例が、2015年9月に無料提供を開始した「Brocade Topology Manager」だ。Topology Managerは、企業のネットワークトポロジーを検出して図として表示する機能を備える。管理者はそのネットワークトポロジー図を参照して、スイッチやルーターのリストを作成したり、それらの機器を簡単に検索したりできる。
Topology Managerとともにリリースされた関連アプリケーションの「Brocade Flow Manager」では、このネットワークトポロジー図を使用して、包括的なフロービューを基にネットワーク分割を実行したりできる。また、上述したSDN Controller 2.0は、Brocadeが2015年6月にリリースしたトラフィック管理アプリケーション「Brocade Flow Optimizer」をサポートしている。Flow Optimizerは、ネットワーク攻撃を緩和するようにトラフィックを管理するために利用できる。
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