FTやvMotionを強化
徹底レビュー:ストレージ管理者に朗報をもたらす「VMware vSphere 6」(1/3 ページ)
米VMwareの「VMware vSphere 6」のリリースから、VMwareが徹底的に仮想化したインフラを備えた完全なるソフトウェア定義のデータセンターを目指していることが見て取れる。
米VMwareが「VMware vSphere 6」をリリースしたことは一大事である。これに議論の余地はない。vSphere 6は2015年2月に開催された「VMware's Partner Exchange」で発表されたが、中でも大きなニュースだったのが「vSphere Virtual Volumes」(VVOL)の導入だ。それ以外にも、「VMware Virtual SAN」(VSAN)、フォールトトレランス、「vSphere vMotion」、高可用性、拡張性、セキュリティ、データ保護、レプリケーションなども大幅に強化されている。
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総合的に見ると、インフラが全面的に仮想化された完全なるソフトウェア定義のデータセンターをVMwareが推進していることは明白だ。仮想マシン(VM)が中心に据えられ、プロビジョニング、監視、管理はポリシーによって行われる。
このモデルでは、ハードウェアとソフトウェアの障害やその他の災害に関係なく、アプリケーションの重要度に基づいて、取得されるリソースのレベルとサービスレベル契約(SLA)の管理方法が決まる。vSphere 6のリリースは、このビジョンを実現するための大きな第一歩だ。
フォールトトレランスの強化
「vSphere 4」で導入された「vSphere Fault Tolerance」(vSphere FT)は、アプリケーションのダウンタイムをゼロに保ち、ホストで障害が発生したときにデータ損失をゼロに保つ機能だ。FTは、アプリケーションが別のホストで再起動することが求められる「vSphere High Availability」(vSphere HA)とは異なる。FTは、ロックステップ方式で2つのホストが稼働し続けるようにする理念に基づいて機能する。そのため、一方のホストで発生した障害はなかったことになり、アプリケーションは継続して実行される。アプリケーション/OS固有のエージェントや構成は必要ない。FTはアプリケーション保護の究極形だが、これまではvCPUを1基しか使用しない単純なアプリケーションに制限されていた。vSphere 6では、最大4基のvCPUを使用するアプリケーションでFTを有効にすることが可能になった。これによって、FTの機能を最も必要としているミッションクリティカルなアプリケーションへとFTの活躍の場が広がった。
これまでFTホストは、共通のデータストアとVMディスク(VMDK)を共有する必要があった。現在、この制限は取り除かれ、各ホストは異なるデータストアにそれぞれ固有のVMDKを保持できるようになった。また、vSphere 5.5では、FTが有効になっているVMのスナップショットを取得できなかった。そのため、VMをバックアップするにはエージェントを追加する他なかった。だが、vSphere 6ではこの制限がなくなり、「vSphere API for Data Protection」(VADP)がサポートされるようになった。
以前のバージョンのFTでは「Eager zeroed thick」という極めて特殊な仮想ディスクが必要だった。この制限もなくなり、仮想ディスクのフォーマットとして「Eager zeroed thick」「Thick」「Thin」がサポートされるようになっている。また、以前は厳しく制限されていたホストの互換性は、vMotionと同等レベルまで拡張されている。
vMotionのアップグレード
これまでvMotionは、1台の「VMware vCenter Server」でサポートされている2台のホスト間でしかVMを移行できなかった。vSphere 6ではその制限がなくなり、VMは異なるvCenter Server間で移行できるようになっている。また、vSphere 5.5に存在していた距離の制限もなくなり、ホストは、160キロメートル以内にあるか、ラウンドトリップ時間(RTT)が10ミリ秒未満の大都市圏以外にも配置できるようになった。vMotionは、RTTが150ミリ秒未満であれば、大陸を越えて実行することが可能だ。
データセンター間で一時的または恒久的にVMを移行するためにvMotionを使えるようになっている。一時的な移行は、負荷を分散したり、ユーザーに近い場所(コールセンター、国際開発グループなど)にアプリケーションを移動したり、直近の気象予報への対策を取ったりする際に特に便利だ。
高可性の強化
HAの理念は、同じクラスタ内の保護されたVMを実行するホスト間のハートビートを維持することだ。ハードウェア障害やOSの障害が検出されると、アプリケーションは稼働中のホストにフェイルオーバーされ再起動される。「アプリケーションのダウンタイム」は短時間発生するものの、データが損失することはない。また、ユーザーは気付かない場合がほとんどだ。
通常、HAで最も対処が困難なのはストレージの問題だ。VMwareは、vSphere 6で「Virtual Machine Component Protection」(VMCP)のサポートを追加している。VMCPは、ブロック(FC、iSCSI、FCoE)またはファイル(NFS)ストレージを「All Paths Down」(APD)と「Permanent Device Loss」(PDL)の状態から保護する機能を強化している。
以前のバージョンのvSphereは、PDL状態を検出する能力が限定されており、APD状態には対処できなかった。vSphere 6では、これらの状態が検出されるようになっている。状態はvCenterに通知され、管理者の介入なく自動フェイルオーバーが開始される。
現在、vSphere HAは、VVOL、「vSphere Network I/O Control」、IPv6、NSX機能の他、vCenter Server間でのvMotion機能をサポートしている。また、HA構成時には、最大32台のホストで最大4000台のVMを構成することが可能になっている(これは、単一のクラスタでサポート可能な最大64台のホストと最大8000台のVMに相当する)。
Microsoft WSFCとの統合
vSphereを使用しているアプリケーションで「Windows Serverフェイルオーバークラスタリング」(WSFC)を実行する場合、アプリケーションのサポートは非常に限られていた。vSphere 6では、米Microsoftの「Windows Server 2012 R2」および「Microsoft SQL Server 2012」という重要なアプリケーションへのサポートが追加されている。また、「AlwaysOn可用性グループ」もサポートされるようになっている。準仮想化されたSCSIアダプターがサポートされるため、標準のSCSIアダプターを使用するよりもクラスタ環境のパフォーマンスが大幅に向上する。現在、vMotionと「vSphere Distributed Resources Scheduler」(DRS)はWSFCで完全にサポートされている。
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