仮想環境の“データ保護”製品選定【バックアップ編】
仮想環境のバックアップを難しくする2つの課題
サーバ仮想化が普及した現在においても、仮想環境の運用課題として上位に挙がるのがバックアップだ。ストレージ/バックアップの専門家に、仮想環境のバックアップで無視できない2つの課題とその解決策を聞いた。
サーバ仮想化が普及期を迎えた今もなお、バックアップ/リカバリに関する悩みが後を絶たない。TechTargetジャパンが2014年10月に実施した「仮想化運用管理に関する読者調査」によると、仮想化導入後の課題として2番目に多かったのが「仮想環境のバックアップ」(37.1%)であった。また、2014年4月に実施した「バックアップ/リカバリに関する読者調査」では、仮想環境における課題の1位が「バックアップに時間がかかる」(50.0%)であった。回答者の半数が仮想環境でバックアップを取り終えるまでに多大な時間を費やしていることが分かる。
今回は、伊藤忠テクノソリューションズで仮想環境のデータ保護、可用性(HAクラスタ)、災害対策(DR)/事業継続計画(BCP)に関する案件対応、技術検証を行っている木島 亮氏に、昨今の仮想環境におけるバックアップ課題とその解決策についてインタビューした。なお、木島氏が過去にTechTargetジャパンで執筆した連載「仮想環境のバックアップ製品 選定ポイント」はPDFでも提供している。まとめて読みたい方は、以下からダウンロードしていただきたい。
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仮想環境のバックアップで無視できない2つの課題
VMware環境において先に挙げたバックアップ課題「バックアップに時間がかかる」を解決するには、VMwareが提供するバックアップのAPI「vStorage API for Data Protection」(VADP)、そしてバックアップ製品の「重複排除」機能が鍵となる。バックアップ製品選びの際にも、この2点に着目して選定することが重要だ。特に、バックアップ製品の重複排除機能に「永久増分バックアップ」が含まれているどうかは、中大規模環境では重要なポイントとなる。
課題1:容量増大でフルバックアップが終わらない
木島氏がまずバックアップ課題として挙げたのが、「仮想環境のデータ容量増大によって、フルバックアップが取り終わらない」という問題だ。2015年に入り、木島氏の元には100Tバイト級の大型バックアップ案件の相談が増えているそうだ。サーバ仮想化や仮想化統合基盤(プライベートクラウド)の導入によって、ハードウェアだけでなくバックアップ製品も統合しようという動きが出てきたことが起因している。システムごとに分散していたバックアップ製品を統合するのだから当然、1つのバックアップ製品でまかなうバックアップ対象の数および容量は増える。
また、そもそも「サーバを仮想化することで、1システム(ホスト1台)当たりのバックアップ容量は増えるケースが多い」という。物理環境ではファイルとデータベース(DB)データだけをバックアップし、システム(OS)データまでは行っていない企業も一定数ある。ところがサーバ仮想化をすることで、OS丸ごとのバックアップが取りやすくなる。システムデータを取っておけば、障害復旧の際に手順を簡素化できるため、「サーバ仮想化をきっかけにバックアップ範囲をシステムデータまで広げるケースが多い」のだという。
こうした背景を受けて、従来のバックアップに限界が生じてきている。従来の手法では、週末にフルバックアップ、平日に増分バックアップを取る運用が一般的だ。小規模環境ではこれでも良かったが、「10Tバイトを超える中規模以上の環境では、時間内にフルバックアップが完了できないケースも発生する」という。毎週末に全システムのフルバックアップを取得していては想定時間内に完了しない。。そのため、全システムを毎週フルバックアップするのではなく、例えばシステムを4つのグループに分け、1つ目のグループは第1週の週末に、2つ目のグループは第2週の週末に……という具合に、フルバックアップをずらして取得するという。しかし、「構築当時はグループ分けをする運用でも回るが、仮想マシンやホストの台数が増えると、結局フルバックアップが取り切れなくなる。また、後からホストを増やすときや、仮想マシンを別のグループに移動させる際には、スケジュール調整が煩雑になる」といった問題が起こる。
そこで永久増分バックアップが力を発揮する。重複を排除した増分バックアップを日々短時間で取得し、前日までのバックアップデータと合成することで、内部的にはあたかも毎日フルバックアップを取っているかのような運用が可能になる仕組みだ。短時間でフルバックアップを合成できる上、バックアップサーバのスケールアウトも計画しやすくなる。ちなみに、ファイルサーバのようにファイル数の多い環境をバックアップする際にも有効だ。
ただし、永久増分バックアップをサポートしている製品でも、ネットワークバックにのみ対応しているものもあるため気を付けたい。木島氏は「永久増分バックアップがVADPバックアップに対応しているバックアップ製品を選ぶことが大事」とアドバイスする。なお、永久増分バックアップの詳細な仕組みについてはPDF版「比較表で理解する 仮想環境のバックアップ製品 選定ポイント」の第3章で詳しく解説している。
連載:仮想環境のバックアップ製品 選定ポイント
- 第1回 【技術解説】仮想化特有の課題がある、VMware環境の“従来型”バックアップ
- 第2回 失敗しないVMware環境に最適なバックアップ製品の選び方(VADP編)
- 第3回 失敗しないVMware環境に最適なバックアップ製品の選び方(重複排除編)
- 第4回 【徹底比較】VMware環境に最適なバックアップ製品の機能を大解剖
- 第5回 【徹底比較】コストを詳細分析、VMware環境の主要バックアップ4製品
連載インデックス「仮想環境のバックアップ製品 選定ポイント」
課題2:バックアップとレプリケーションを一元管理できない
バックアップで大規模案件が増加していることは先に述べた通りだが、大規模案件ではDRサイトを構築することもあり得る。木島氏が次に挙げたのが、バックアップの遠隔地保管における運用課題だ。
木島氏は「DRサイトを構築するに当たり、ローカルサイトでバックアップを行うだけではなく、リモートサイトにもバックアップデータをレプリケーションすることが必須である。ところが、ローカルサイトのバックアップ用NAS/SANストレージからセカンダリサイトのNAS/SANストレージにレプリケーションすると、バックアップした全データが複製されてしまい時間がかかる。バックアップデータは変更データではなく常に新規データになるからだ。そのため、バックアップ用ストレージに重複排除ストレージを用いることがこれまでは多かった。重複排除ストレージを用いることでレプリケーションの転送データ容量は少なくすることができるが、バックアップはバックアップサーバ(バックアップソフト)が、レプリケーションは重複排除ストレージが管理することになる。その結果、バックアップとレプリケーションが別管理になり、運用が複雑になる」と問題を指摘する。複製データをリストアするには、リモートサイトのバックアップサーバに取り込む必要あり、サイト切り替えを実施した際は、バックアップ運用を継続するために設定変更が必要になるからだ。
この課題について木島氏は、「1つのバックアップ製品でバックアップとレプリケーションを管理できる統合型バックアップアプライアンスを選択した方が良い」と述べる。それによって、リモートサイトでバックアップの複製データを自動認識し、サイト切り替え時には即時リストアが可能となるのだ。
バックアップとレプリケーションの一元管理についても、連載およびPDF版で詳しく解説している。興味のある方はダウンロードしていただきたい。
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