ハイブリッドクラウドへの道は険しい
AWSとVMwareのハイブリッドクラウド連係に立ちはだかる数々の難問(2/2 ページ)
ハイブリッドクラウドのセキュリティ
VMware環境は定義上、IT管理者がインフラ全体のセキュリティをきめ細かく管理することが可能だ。一方、AWSは、ユーザーがOSよりも上の部分のセキュリティに対してのみ責任を持つ共同責任方式で運用される。ワークロードのセキュリティを確保する方法もベンダーによって異なり、ベンダーとユーザーの両者が同等のセキュリティコントロールを確保するのが難しい場合も多い。
航空業界向けにグローバルデータサービスを提供している米FlightStatsでプラットフォーム技術を担当するアレックス・ウィザースプーン副社長は「当社のデータセンターでは、AWSよりも強固なセキュリティを保証できる」と話す。
だが、ウィザースプーン氏によると、AWS環境では工夫を凝らす必要があるという。FlightStatsがAWSのインフラを管理していないからだ。
「AWSのインフラの上から同環境にセキュリティを追加するという形で管理する必要がある」と同氏は語る。
AWSとVMwareの根本的な違いの1つとして、インフラにおけるファイアウォールの役割がある。社内のファイアウォールであれば、複雑なルールセットを設け、特定のユーザーをホワイトリストまたはブラックリストに登録するといったことも可能だ。これに対し、AWSの「セキュリティグループ」では許可されたルールだけを使用する。「許可」ルールと「拒否」ルールを備えた「ネットワークACL」を管理者が作成することも可能だ。
「Amazon VPC(仮想プライベートクラウド)」、セキュリティグループ、ネットワークACLおよび最近リリースされた「AWS WAF(Webアプリケーションファイアウォール)」を利用すればAWS上のワークロードのセキュリティを確保することは可能だが、AWSのセキュリティインフラの仕組みと社内セキュリティの仕組みの違いを理解した上で調整するというのは、管理者にとって新たな負担となる。
VMwareと米Zerto(仮想データ複製ソフトウェアメーカー)の両社で勤務した経験のある独立コンサルタントのイアン・ペレス・ポンス氏は「問題は、IT運用という観点から両方の環境をいかに管理するかということだ。それも、完全に別々のチームとツールセットが必要にならないようにする必要がある」と指摘する。
「でないとハイブリッドクラウド環境のせいでITスタッフの仕事が倍に増えてしまう」とポンス氏は話す。
企業文化にとってのチャレンジ
技術的な制約はいずれ克服できる。だがなかなか克服できないハイブリッドクラウドのチャレンジもある。それは、クラウドインフラが企業文化および現在のIT部門の体制を根底から揺るがすということだ。
例えば、米Ditech Financialでは、AWSベースのパブリッククラウドのリソースとVMwareベースのプライベートクラウドをそれぞれ異なるチームが管理している。同社は全体としてハイブリッドクラウドを利用しているといえるが、両チームの間で共通に利用しているツールは少ない。
「クラウドプロバイダーを利用する上で最も重要なポイントはクラウド的な考え方をすることであり、これは人々にとって受け入れるのが最も難しいことだ」とDitech Financialのチーフクラウドアーキテクトを務めるジェイソン・マクマン氏は話す。「われわれは現在、社内インフラと社外インフラを組み合わせることによって従業員をクラウドに慣れてもらうプロセスを進めているが、その真の狙いは彼らの考え方を変えることにある」
前出Booz Allen Hamiltonのメータ氏によると、どのようなタイプのクラウドインフラを立ち上げるかが最大のチャレンジではないという。
「最大のチャレンジは、クラウドコンピューティングの真の恩恵を受け入れるためには企業文化が変化しなければならないことだ」(メータ氏)
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