理想的なクラウド基盤を構築する方法【第6回】
運用がITの要になる日は近い? クラウド化で変わる情シスの運用業務(2/3 ページ)
2.運用自動化は必要か?
運用自動化は必要か。結論から言えば必要である。その説明は後ほどとして、まずは運用自動化とは何かを説明したい。
運用自動化や「ランブックオートメーション」というキーワードは、ここ数年よく聞くキーワードである。ここでの意味は、システム自動化(業務処理やバッチ処理などによるシステム上で実施する処理を自動化)ではなく、運用オペレーションにおける「作業工程」の自動化を指す。一般的な運用自動化のステップを以下に整理する。
運用自動化ツールは、運用自動化を実現するための補助的な仕組みである。運用自動化ツールの代表的な動作を以下に記載する。
運用自動化はなぜ必要なのか。1つは、運用の競争力を強化する意味で必要である。運用における競争力の源泉はスピード、効率化、品質担保であり、言い換えればビジネススピードに追従可能な高いスキルと品質が保たれた状態を指す。これはクラウド化にかかわらず重要である。
もう1つは、運用自動化ツールをオーケストレーションツールとして利用できることが、クラウドへの備えという意味では必要な要素となる。状況に応じシステム構成を柔軟に変更できることはクラウドのメリットである。このメリットを最大限に享受していくためには、オーケストレーション機能は必要不可欠といえる。具体的には、オンプレミスではSEの作業だったシステム構築の領域も、クラウド化に伴い自動化の対象に入ってくる。
システム構築の定型化、自動化が行われれば、システム設計の定型化にも自然とつながるはずだ。一連の流れを定型化することによってメニュー化が可能となり、コストや工数の明確化も実現しやすくなるだろう。
プライベートクラウドを導入した企業における悩みに、運用業務が増えてしまい業務が逼迫(ひっぱく)しているという話をよく聞く。その理由には、管理が複雑なったという側面もあるが、運用業務領域が拡大しているということも忘れてはならない。オンプレミスではSEが実施していた業務が、運用業務にすり替わったという場合が多い。ハイブリッドクラウドも同様の流れになるだろう。運用自動化ツールをオーケストレータ―として利用することで、増え続ける運用業務の効率化を実施することができる。
運用自動化ツールは比較的新しい製品カテゴリであるが、国内外主要メーカーの製品も一通り出そろっており、クラウド環境の有無にかかわらず検討に最適な状態が整ったといえる。簡単ではあるが、主要な運用自動化ツールの一覧を、以下に記載する。
| ベンダー/製品 | 特徴 |
|---|---|
| HP Enterprise Operations Ochestration |
運用自動化ツール市場をけん引し、海外/国内ともにトップレベルの導入実績を誇る。用意されるテンプレート数が豊富で、さまざまな環境への対応が可能。デバッグ機能も充実 |
| 日立製作所 JP1/Automatic Operation |
JP1ブランドの運用自動化ツール。JP1製品間での連係が可能で、他のJP1製品の設定投入や変更を行うサービステンプレートがあらかじめ用意されている。品質やサポートに定評がある |
| 富士通 Systemwalker Runbook Automation |
Systemwalkerブランドの運用自動化ツール。運用操作部品を組み合わせることで、自動運用プロセスの定義が行える。スケジュール機能が充実しており、実行管理が容易 |
| 野村総合研究所 Senju Service Automation |
Senju Familyの機能として提供される。ジョブ管理の要素も保持しつつ、ITILプロセスの実装によって、申請や承認といったワークフローの自動化も視野に入れている |
| 日本マイクロソフト System Center |
System Centerの一部として運用自動化の機能が提供されている。製品の設置環境によっては、オンプレミスと「Microsoft Azure」のハイブリッドでの管理が可能 |
| IBM SmarterCloud Orchestrator |
IBM SmarterCloud Foundationの一部として提供されている。GUIを使って設定・自動化できるセルフサービスポータル機能を持ち、クラウド構成の作成、プロビジョニングなどの作業を効率的に設定、自動化できる |
各メーカーが提供しているほとんどの運用自動化ツールは、PDCAサイクルを前提に作られており、そこに対応する機能(デバッグ機能や分析機能など)が実装されている。注意したいこととしては、運用自動化ツールはPDCAサイクルが機能しないと宝の持ち腐れになってしまう点だ。そのためには、常に運用の最適化をチェックする仕組みや体制が必要であると同時に、情報システム部門にはある程度のプログラミングスキルが必要となる。
さて、ハイブリッドクラウドという視点ではどうか。ハイブリッドクラウドの運用管理に求める最大の期待は、マルチクラウドオーケストレーター機能だろう。残念ながら、マルチクラウド間でのマシン移行やシステム移行などが現実化していない現在では、マルチクラウドオーケストレーター機能の実現は難しい。ベンダーロックされた限定的なクラウド環境下であれば可能な場合もあるが、真のハイブリッドクラウド管理を実現していくためには、もう少し時間がかかりそうだ。
では、現在ではどのようなツール選択を行うのが最適なのかを次の章で解説したい。
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理想的なクラウド基盤を構築する方法
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