「Salesforce World Tour Tokyo 2015」リポート
三菱東京UFJ銀行が行った現場主導のアプリ開発、「7割のコスト削減目指す」(2/2 ページ)
パッケージのクラウドサービスを賢く使おう
愛知県の保険代理店であるUCSは、三菱東京UFJ銀行と異なり、クラウドを活用したパッケージサービスの導入を紹介した。
前出のテラスカイ 佐藤氏は、「アプリケーションのカスタマイズが楽にできることも大切だが、一番良いのは作らなくて済むこと。皆さんが作っているシステムは、企業の差別化につながっているだろうか。差別化につながっているシステムは実は一握りで、多くはコモディティ化しているのではないか」と疑問を投げ掛けた。給与計算や経理処理といった業務システムは汎用的になりつつあり、多くの企業で同じものが適用できる可能性が高い。
「幸いなことに、既にさまざまな業務パッケージがクラウド上に存在する。時代は一からシステムを開発するよりも、複数パッケージを組み合わせて活用する方へと向かっている」(佐藤氏)。テラスカイでは基幹業務や周辺業務をクラウドサービスとして取りそろえ、コンシェルジュサービスを提供している。業種や業態に特化したパッケージの1つとして2015年11月に、保険代理店向けソリューション「Insurance Agency Solution」(IAS)をリリースした。IASは、2016年5月に施行される改正保険業法に対応している。UCSはこのIASを導入した。
UCS:2016年5月の保険業法改正を機に乗り越えた2つの壁
愛知県稲沢市に本社を置くUCSは、ユニグループ・ホールディングスの金融サービス事業を担う企業だ。グループには、総合小売業のユニーやコンビニエンスストアのサークルKサンクスなどがある。その中でUCSは主に、クレジットカード、電子マネー、保険代理、リースなどの事業を営んでいる。
同社のシステム面での課題は2点。1つは、2016年5月にやってくる保険業法改正への対応だ。「今後、保険代理店は保険会社と同等の販売サービスを提供することが求められ、サービスレベルを向上させ続ける仕組み作りが必要になる。保険代理店にとっては非常に大きな法改正だ」と話すのは、UCS 執行役員 営業本部の土屋 淳氏。保険業法改正に向けた情報がリリースされたのは2014年の終わりごろ。詳細なルールが下りてきたのは2015年5、6月ごろである。法改正に対応しなければならないことは分かっていても、時間があまりない。しかしUCSでは、この法改正をチャンスととらえ、マニュアルの整備やルールの策定など、事業基盤の再整備に取り組むこととした。
もう1つの課題は、既存のシステムが生保、損保、リースと事業別に構築されていたため、顧客データが分散していたことである。担当者の異動がしづらく、営業面での苦しさがあった。今回、顧客の一元管理を実施することでこの課題をクリアする。
また、保険ショップを広域に展開しているUCSでは、スーパーバイザーという地域統括者が重要な役割を担っている。土屋氏は「日々の活動支援や案件管理のきめ細かなサポートが保険ショップにおいては非常に重要。せっかくシステムを構築するのであれば、法改正に対応するとともに、スーパーバイザーにおける店舗の営業支援も可能なプラットフォームを模索していこうと考えた」と話す。保険ショップは現在、生保しか扱っていないが、将来的には損保のサービス窓口とすることも考えている。
そんなUCSが選んだツールがテラスカイのIASだ。2016年1月までに導入を完了し、同年2月に本格稼働、以後3カ月間でPDCAサイクルを最低1回は回した上で問題を抽出し、2016年5月に満を持して法改正に対応する計画だ。土屋氏はIASを採用した理由を次のように語る。「1つ目は保険業法改正に迅速な対応が可能であること、2つ目はCRM/SFA機能による営業力強化が期待できること、3つ目は当局への報告資料作成機能があること」。3つ目に関して補足をすると、大規模な特定保険募集人に当たるUCSは、当局への報告資料などを作成しなければならない。「個別にシステムを組んでいては非常に重い作業となるため、共同ゲートウェイや保険会社から契約・手数料のデータを取り込み資料を作成したい」と考え、IASを選定した。
今後は顧客情報を一元化することで、今後は集めた顧客情報を損保や生保、リースといったさまざまなサービスに活用しマーケットを広げて行く狙いだ。
業務の現場が主導した2つのIT事例をお伝えした。スピード経営や社会の変化に対応し、自らITを導入していく業務部門。こうした動きに対し、情シスはどのような立場を取るべきか。今、情シスは現場との役割分担を考える時期にきている。
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