業務課題別おススメForce.comアプリ紹介【第3回】
Webサイト構築を支援するForce.comアプリケーション
Force.comではWebサイト構築機能として「Force.com Sites」機能がある。本稿ではForce.com Sites機能を解説するとともに、よりリッチなCMS機能を持つForce.comアプリケーションを紹介する。
Webサイトに寄せられる問い合わせをSalesforce CRMへダイレクト投稿
Salesforce CRMは社内のクローズドな環境で社員が業務管理をするために使うのが一般的だ。しかし、入力される情報や入力インタフェースを社外にも公開し、ダイレクトに共有したいという場合がある。例えば消費者からの問い合わせを受け付けるフォームページを作成して、問い合わせ内容をSalesforce CRM内のケースオブジェクトにダイレクトに受け付ける、などの場合である。
このようなニーズに対応するために、Force.comプラットフォームにはWebサイトを構築できる機能が用意されている。完全なパブリックサイトだけではなく、会員制サイトも構築可能だ。また、そのForce.comのWebサイト構築機能にはさまざまな周辺アプリも開発されており、Force.comを使ったWeb構築をより生産的で、リッチなものにしている。
業務課題別おススメForce.comアプリ紹介連載インデックス
Force.com Sites+ポータル機能
Force.com上でWebサイトを構築する最も基本的な方法は、「Force.com Sites」機能を使うことだ。これはForce.comの標準機能として無償で提供されており(Enterprise Edition以上)、Force.com上にパブリックなWebサイトを構築できる。
また、会員制のWebサイトを構築する場合は、「ポータル」機能を利用することができる。ポータル機能にはさまざまなプランが用意されており、ユーザーに対してどのような機能を提供するかによって価格体系は異なる(おおむね月額1ユーザー数十円~数百円程度)。なお、ポータル機能を利用するには、セールスフォース・ドットコムに別途申し込みを行ってライセンスを事前購入しておく必要がある。将来的なユーザーの増加が未知数の場合は、ある程度余裕を持ってライセンス数を購入しておく方が賢明だ。
Force.com Sitesの機能
ドメイン
本番組織でのForce.com Sitesのドメインは「XXX.force.com」となる。開発組織では「XXX-developer-edition.XXXforce.com」となる。XXXのサブドメイン部分は自分でキーワードを指定して取得可能かどうかを調べることができる。
負荷制限
Force.com Sitesにはページビュー(PV)、転送量、CPU時間についてエディションごとに制限が設けられている。PVについては追加購入が可能なので、必要な場合はセールスフォース・ドットコムに問い合わせるのがよいだろう。
| Salesforce組織 | 1ドメインで作成可能な Force.com Sites数 |
月間最大PV | 転送量上限 (直近24時間/1サイト当たり) |
CPU処理時間 (直近24時間/1サイト当たり)(※) |
|---|---|---|---|---|
| Enterprise Edition | 25 | 50万 | 40Gバイト | 60時間 |
| Unlimited Edition | 25 | 100万 | 40Gバイト | 60時間 |
| Developer Edition | 1 | N/A | 500Mバイト | 10分 |
| Free Edition | 1 | 25万 | 10Gバイト | 6時間 |
※CPU処理時間が24時間より大きくなっているものは、複数インスタンスの起動による稼働があり得るため。
認証
ログイン認証にはポータル機能を利用する。ポータル機能には幾つかのプランがあり、それぞれ提供機能が異なる。例えば、ポータルユーザーが標準オブジェクトにアクセスすることができない「Authenticated Sitesライセンス」や、逆にそれが可能な「Service Cloud Portalライセンス」などである。
セールスフォース・ドットコムに申し込み、これらのポータルライセンスを有効にすると、Salesforce CRMの管理画面上でポータルユーザーを追加することができる。また、セルフ登録機能を使うことで、未登録ユーザーがForce.com Sites上から新規ユーザー登録を行い、自分のポータルユーザーアカウントを有効化することができる。
ダウンタイム
Force.com Sitesで注意しなければならない点として、ダウンタイムが挙げられる。Salesforce CRMは年に数回定期メンテナンスが実施されており、その間は利用することができない。なお、各インスタンスの稼働状況は「Trust.salesforce.com」に公開されている。
Force.com Sitesで作成したWebサイトもこのメンテナンスタイム中は利用できない。その間にアクセスした場合は、メンテナンス中である旨のメッセージが表示される。ダウンタイムは自社でコントロールできない。これはクラウドサービスの宿命としての制約になるが、利用に当たってはきちんと認識しておく必要がある。
APEX/Visualforce
Force.com Sitesで公開するWebページは全てSalesforce CRM上で開発をするので、APEXやVisualforceで開発することになる。ガバナ制限(※)や技術的な制約、特徴などは全てAPEX、Visualforceと同様だ。
※Salesforce基盤上で開発を行う際のシステムリソース利用制限。特定メソッドの呼び出し回数や、一度に取得可能なレコード数などさまざまな制限がある。
Web開発の生産性を高めるCMSアプリ
CMSForce 2
| 名称 | CMSForce 2 |
|---|---|
| 提供元 | Force.com Labs(2010年11月9日) |
| 価格 | 無償 |
| 言語 | 英語 |
| Salesforce組織条件 | Enterprise Edition以上 |
Force.com Sitesを使い始めると、公開するページの情報をForce.comのデータ入力画面で管理したくなってくる。テンプレートを作ってテキスト入力するだけで似通ったページを量産できるようにしたり、事前に登録されたブロック要素を何度も使い回してメンテナンスの生産性を上げるというような、Movable TypeやWordPressでできるようなことを実現したくなる。Force.com Sitesの機能でも作り込めばできないことはないが、そのようなCMS的機能をひとまとめにしたアプリが「CMSForce 2」だ。
| 機能名 | 詳細 |
|---|---|
| ページテンプレート | 事前にHTMLベースのページテンプレートを作成、保存し、同じようなページを簡易に量産できる |
| ページ要素アイテム | ページテンプレートに挿入するページ要素アイテムを作成、保存できる。何度も使い回すようなサイドバーなどのブロック要素や、その記事に投稿するテキスト文書などをページ要素アイテムとして保存する |
| フォーム要素 | ページ要素アイテムの1つとして、フォーム要素を作成できる。フォーム要素の作成、並び順の設定、必須フラグ、データタイプ(テキスト、メールなど)などの細かい設定が可能 |
| ページ作成 | ページテンプレートとページ要素アイテムを組み合わせて、実際に公開するページを作成できる |
このように多くの機能が実装されているCMSForce 2だが、実際利用するとなると初期設定や運用中にAPEXやVisualforceの知識が求められる場面があり、非開発者には若干ハードルが高い。そもそもAppExchangeのアプリとしてパッケージできるSalesforce CRM設定には制限があり、セキュリティ設定やForce.com Sitesの設定はインストーラーによって自動で行うことができず、利用組織の管理者が自分で行う必要がある。そのため、インストールする際にはどうしてもある程度Salesforce開発の知識が必要になってしまう。
そのような課題を解決してくれる(であろう)機能として、「SiteForce」がある。
SiteForceは「Dreamforce 2010」で発表された機能だ。まだ正式リリースはされていないが、SiteForce自体はForce.com上でパブリックなWebサイトを構築するための機能全般を指しているようで、既存のForce.com Sites機能もSiteForceの1つとして捉えられているようだ。しかし、現在判明しているSiteForceならではの独自機能として、CMS機能がある。
このCMS機能はまだデモでしか発表されていないが、非常に充実した機能を持っているようだ。正式リリースされれば、CMSForce 2をしのぐ機能になり得ると筆者は考えている。
CMSForce 2はForce.com上にインストールする1つのAppExchangeアプリだが、SiteForceはネイティブに近い形で動作している。デモ動画の3分辺りでそのインタフェースが公開されているが、ドラッグ&ドロップでページ上の多くのパーツ操作が完了しており、操作感の良いフルAjaxインタフェースのようだ。画像、テキスト、フォーム、ソーシャルアイテムなど、多くの要素を直感的なUIで配置可能になっている。正式リリース時期は未定で、機能提供されるエディションなども明かされていないが、非常に待ち遠しい機能の1つといえる。
阿部友暁
株式会社ウフル 取締役/最高技術責任者(CTO)
携帯着うたシステム開発、インターネットラジオサイト「ねとらじ」創設、デジタルサイネージシステム開発と、インターネット畑を転々とした後、現職。現在はクラウドシステム開発を通じて、インターネット技術の他分野への応用の可能性を追求中。Force.comを中心としたクラウド技術ブログ「deferloader」を執筆。
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