Salesforce Chatterでできること・できないこと【第2回】
ChatterとTwitter/Facebookの違いと、Chatter利用時の注意点
Twitter、Facebook、Yammerといった最新のコラボレーションツールや既存グループウェアとChatterは何が違うのか? また、セキュリティをはじめとするChatter利用時の注意点を解説する。
連載の第1回「Salesforce Chatterの基本機能とエディションによる違い」では、Chatterの基本機能と現時点で分かっているエディションごとの違いを紹介した。本稿ではChatterとほかのコラボレーションツールの違いと、Chatter利用時の注意点を解説する。
Chatterとほかのツールとの違い
Twitter/Facebookとの違い
ChatterはTwitterやFacebookと比較されやすい。米Salesforce.comも「Chatterは企業版Facebook」と公言しており、それはある意味で正しく、分かりやすい表現だ。ユーザーインタフェースや基本機能がTwitterやFacebookに非常に似ているため、それらをはじめとするWebコミュニケーションを普段から行っているユーザーにとって、Chatterはとても親しみやすいツールだろう。
大きく異なる点として挙げられるのは、Chatterでは完全にクローズドでセキュアな環境を利用できることだ。Chatterの中核を成すのは、自分でフォローすることを選択したユーザーやグループ、取引先、商談からの最新情報のフィードなどである。当然、フォローする対象はすべてユーザー自身が決める。
一方、TwitterやFacebookはつながる対象が“人”である。Chatterは、会社の同僚などの“人”に加え、チームやプロジェクト、商談や見積もりなどの社内の“情報”をフォローすることができる。会社の資産や状況を対象としてフォローすることにより、広い社内でリアルタイムに進化する“今”を自身の中に自動的に取り込むことが可能となる。
Yammerとの違い
社内Twitterツールとしては、既に10万社以上で導入されているYammerが有名だ。筆者の印象では、Yammerは社内Twitterというより社内Facebookを目指しており、その証拠にTwitterよりもずっと多機能化されている。ChatterとYammerの大きな違いは、エンタープライズアプリケーションとのコラボレーションである。もともとエンタープライズアプリケーションのプラットフォームであるSalesforce上でChatterを導入することで、人以外のさまざまな企業情報がフォロー対象となり、人対人に限らないダイナミックな企業内コラボレーションが実現される。
IBM Lotus NotesやMicrosoft SharePoint Serverとの違い
社内コラボレーションツールとしては、昔からIBM Lotus NotesやMicrosoft SharePoint Serverがある。Chatterとの違いはさまざまあるが、1つは「ダイナミックか、固定的か」という部分だ。Chatterでは自分のフォロー対象が自動的にプッシュ型で語りかけてくるので、常にビジネスの細かい背景を把握することができる。そこには出会いがあり新しい情報の源泉がある。思い付きや緩い発言も許容されるChatterでは、コミュニティーや商談に潜む埋もれた資産が発見されやすく、そこから新しい文化やチャンスが発見されやすいだろう。
Chatter利用時の注意点
1.セキュリティ
Chatterに関するセキュリティは、Salesforce組織に実装されているセキュリティ機能がすべてそのまま適用されるため、Chatterのために特別セキュリティ設定を行う必要はない。ユーザーに割り当てられた共有モデルやデータへのアクセス権限はそのままChatterでも引き継がれる。例えば、あるユーザーは自分が所有する取引先レコードへのChatter投稿はもちろん閲覧可能だし、自分より下位のロール階層のユーザーが所有する取引先レコードへのChatter投稿もすべて閲覧可能だ。
ただし、Chatterのプロファイルおよびプロファイルへの発言は、すべてのユーザーが閲覧可能となっており、これを制限することはできない。つまり、自分自身のタイムラインへのフリーな発言は全公開となり、商談などのレコードへひも付いた発言はひも付け先のレコードや組織全体のセキュリティ設定が適用されるということになる。
また、組織の管理者がユーザーの発言を削除することはできるが、キーワードフィルタリングのような機能も標準では存在しない。特定のキーワードを不適切発言として制限したり、承認制にしたい場合には、現状では自社で開発を行う必要がある。
2.Chatter無効化時のChatterレコード
一度Chatterを有効化したSalesforce組織において、Chatter設定を無効にした場合は、Chatterに関するデータは消えることはない。再度Chatterを有効にすれば以前使っていたChatterに関する情報は復活してくれる。
3.Chatter有効化時の既存Salesforce組織への影響
Chatterを有効にしても、既存Salesforce組織のアプリケーションやカスタム設定に何も影響を及ぼすことはない。今までのSalesforce組織の設定はそのままでChatterを利用できる。
Chatterの思想を考慮した運用を
前提としてChatterでは能動的に自分からアクションを起こさないユーザーは、何も得ることができない。自分で組織内のターゲット(人や情報)を探し、フォローをすることがすべての始まりになる。自分で選んだフィードをフォローすることで、効率的に情報を享受できるようになり、そのフィードのメンテナンスを通じてより洗練された情報管理が可能となるわけだ。
また、Chatterのタイムラインは基本的にリアルタイムである。大企業で利用する場合などは、すべてのタイムライン内容を完全に追いかけようとすると限界がある。Chatterはあくまで「今」を共有する場として位置付け、本当に重要な情報はメールで送信するなどの切り分けをする文化を育てることも、運用上重要なポイントになるだろう。
また、自由な発言の場にしすぎて、社内文化に悪影響を及ぼすリスクを持っていることも考慮する必要がある。特にリテラシーの高低差で、ユーザーの発言状況にムラが出てしまうのはどうしても避けられない。誰もが参加しやすい空気を保つことを心掛けるために、モデレーターのような管理者を置くようにするのもよいだろう。発言数やフォロワーの多いユーザーと協力して、業務に合ったタイムラインの雰囲気作りを行うのも有効だ。
Chatterはあくまで業務目的で使うツールであることを社内に周知し、上司に見られると不都合が生じるような情報は投稿しないように注意を喚起するとよいだろう。
阿部友暁
株式会社ウフル 取締役/最高技術責任者(CTO)
携帯着うたシステム開発、インターネットラジオサイト「ねとらじ」創設、デジタルサイネージシステム開発と、インターネット畑を転々とした後、現職。現在はクラウドシステム開発を通じて、インターネット技術の他分野への応用の可能性を追求中。Force.comを中心としたクラウド技術ブログ「deferloader」を執筆。
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